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(5)アフリカ地域
2001年12月には、東京においてTICAD閣僚レベル会合を開催し、98年のTICADIIからそれまでの援助実績について報告を行ったほか、今後TICADIIIに向けてどのような協力を実施していくか話し合いました。わが国は、TICADIIで採択した東京行動計画において教育、保健、水供給の分野で約900億円の無償資金協力を実施することを表明しましたが、2003年2月現在で約800億円の支援を実施しています。
今後の取組としては、開発に大きな障害となっている感染症対策に関し、わが国がケニア、ガーナ、ザンビアで実施している感染症対策プロジェクトを3つの拠点と位置づけ、連携を図るとともに周辺国への協力についても活用していきます。さらに、2002年3月には、ザンビアにおいて南部アフリカ諸国の保健担当者を集め、HIV/AIDS対策ワークショップを開催しました。この他にも人材育成の分野について、ケニアにあるジョモ・ケニヤッタ農工大学内に「アフリカ人づくり拠点」を設置し、人材育成を促進する拠点とすることとしています。
アフリカ諸国には、重債務貧困国(HIPC)が多く含まれていることから、円借款の割合は約1.6%と低く、無償資金協力と技術協力が殆どを占めています。
無償資金協力については、TICADにおいても重点分野としている教育、保健・医療、水供給の3分野が約5割を占めており、貧困対策のための社会開発支援を中心に行っています。
技術協力に関しては、教育、保健・医療、農業に関する協力を中心に実施しています。2001年度には、約2,500人の研修員受入れ、約270人の専門家派遣、約280人の青年海外協力隊員派遣等を行いました。また、アジアにおける経験をアフリカ諸国に伝達すべく、アジア諸国による第三国研修や第三国専門家派遣等の南南協力を推進しています。
わが国は、開発支援とともに平和の定着・難民支援をアフリカ協力の車の両輪としています。しかし、コンゴ民主共和国やアンゴラにおいては、かつて内戦が行われ、ジンバブエにおいては土地収用問題や非民主的な統治が行われるなど、平和と安定に向けた問題は山積しています。わが国は地雷除去や民主化セミナー等を通じて平和の定着と民主化に対する支援を行い、解決に向け努力しています。
また、アフリカ地域には世界で42か国ある重債務貧困国(HIPC)のうち33か国が集中しており、これらの国々の債務救済問題に対して拡大HIPCイニシアティブの適用などの措置が講じられています。債務救済により利用可能となった資金の有効的な活用のために途上国のオーナーシップの構築を重視し、キャパシティ・ビルディングや、タンザニアやザンビア等では貧困削減戦略文書(PRSP)実施に向けた支援を積極的に行い、貧困削減と開発のための支援を実施しています。
2001年度のわが国のアフリカ地域に対する二国間援助は、約8億5,100万ドルで、二国間援助に占める割合は約11.4%です。
図表II-15 アフリカ地域における援助実績
