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本編 > 第I部 > 第3章 > 第4節 > (1) 案件選定・調達における透明性の強化


第4節 ODA事業の各過程における透明性・効率性の向上

Point
1. 円借款の候補案件リスト(ロングリスト)の公表や無償資金協力実施適正会議の開催を通じ、透明性を向上。
2. JBICにおける環境社会配慮確認のためのガイドラインの策定・公表。JICAも環境ガイドラインの改訂作業に着手。
3. その他、調達、監査、評価についても各種の施策を通じて取組を強化。


(1) 案件選定・調達における透明性の強化
個々のODA事業に関しては、プロジェクト・サイクルの始め(案件選定段階)から終わり(事後評価)に至るまで、あらゆる段階において透明性を確保し、不正が行われないように努力しています。
案件の選定段階においては、円借款の候補案件リスト(ロングリスト)の公表、無償資金協力実施適正会議の開催等が挙げられます。円借款の候補案件リストは、これまで4か国(ベトナム、チュニジア、モロッコ、中国)について公表されていましたが、2002年11月、新たにインドについても公表されました。同リストは複数年にわたる候補案件のリストであり、リストへの掲載をもって円借款の供与を意味するものではありませんが、作成後は原則としてリストに掲載された案件から各年度ごとに正式要請を受け、案件を選定の上供与されることになります。リストの作成・公表により、中長期的観点からの円借款のより効果的・効率的な発掘・形成が可能となり、他の援助国・国際機関との連携が促進されることが期待されます。
また、ODA事業を行う際には、ODA事業が環境・社会面に与える影響を事前に十分にチェックすることが必要です。JBICについては、公聴手続きを行い、有識者やNGO等から幅広い意見を聞いた上で2002年4月、海外経済協力業務(ODA)と国際金融等業務(OOF)の環境ガイドラインを統合し、新たに「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を策定・公表しました。新環境ガイドラインは、環境面に留まらず住民移転や先住民族・女性への配慮等社会配慮もJBICが確認すべき内容として含んでおり、2003年10月1日から全面的に施行することとしています。さらに、JICAにおいてもこれまで各セクター別の環境ガイドラインが策定されていましたが、外務省「行動計画」に従い、JBICの新環境ガイドラインを参考にしつつ、NGO等広く国民各層の意見を聞きつつ環境ガイドラインを改訂中です。
ODA案件の調達段階においては、これまでも、無償資金協力、有償資金協力、技術協力ともJICA、JBICの調達ガイドラインに従って原則途上国側が入札を行い、その結果をJICA、JBICが確認し、受注企業名のみならず、契約金額も公表される等、透明性を確保する措置が取られてきました。また、入札において不正が行われた場合は、不正を行った業者は一定期間ODA事業の入札・契約から排除される仕組みが整えられています。2002年には、非ODA事業であった北方四島支援事業に関して外務省予算からの拠出金で行われている事業における不正であったことから「偽計業務妨害」容疑で逮捕された者が属するわが国の3企業に対し、例外的にODA事業における不正行為と可能な限り同等の対応を取りました。


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