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II-5 「アリガト、ジュパン」


30年近く前、わが国の総理がインドネシアを訪問した際、首都ジャカルタにおいては、大規模な反日デモが行われ、日本に対する抗議を叫ぶ暴徒が滞在先のホテル前広場を埋め尽くしました。しかし、それから四半世紀経った今、これまでの日本からのODAや民間企業の投資・技術移転の結果、対日意識が大きく変わり、抗議の声が「アリガト」に変わっています。
2001年9月の米国におけるワールド・トレード・センターなどへの同時多発テロの後、アメリカがアフガニスタン空爆を開始した際、イスラム教徒が2億1千万人の人口の約9割を占めるインドネシアでは大規模な反米デモが起きました。そのような中、わが国は、テロを強く非難し、いち早く米国支持を表明したため、対日感情の悪化を懸念する向きもありました。しかし、そんな時に開催された日本の草の根無償資金協力で改修されたイスラム系孤児院(兼小学校)での式典においては、「アリガト、ジュパン」の声が自然にわきあがってきました。このような中にあっても、インドネシアの人は日本のODAに関する感謝の気持ちを忘れなかったのです。


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