I-14 わが国のポリオ撲滅への貢献
ポリオ(小児麻痺)は、ウイルスが原因で起こる極めて感染力の強い病気で、3歳以下の子供がかかりやすく、神経系の麻痺を引き起こす恐ろしい感染症です。日本でも、50~60年代に大流行し大きな社会問題になりましたが、生ワクチンの一斉投与による取組等によって、野生株によるポリオ患者の発生報告は80年が最後となりました。
日本は、世界保健機関(WHO)が定めた「西暦2005年までにポリオを世界から根絶する」という目標を支持しています。さらに、日本国内でのポリオ対策の取組の経験を生かして、WHO、国連児童基金(UNICEF)、米国国際開発庁(USAID)をはじめとする国際社会のパートナーと連携しながら、世界各地で積極的に支援を展開しています。
ポリオ対策としては、UNICEFを通じた支援として、93年から2001年までの9年間に6億人の子供達にポリオ・ワクチンを供給しました。この他、コールド・チェーン(保冷機材)やポリオ・ウイルス診断用機材の供与、専門家や青年海外協力隊の派遣など、現在までの日本の支援総額は、248億円にのぼっています。これは、米国、ロータリーインターナショナル、英国に続く世界第4位の貢献額です。
また、WHOのポリオ根絶事業に対してもわが国は従来から支援を行っており、特に日本が最大の貢献を行ってきた西太平洋地域(日本、韓国、中国、ベトナム、カンボジア、ラオスを含む37か国及び地域)では、その成果として2000年に、野生株ポリオの発生が終息したことが確認され、ポリオ根絶宣言を行いました。日本は、引き続き、まだポリオが根絶されていない南アジア地域、アフリカ地域に対して支援を行っていきます。
小児にポリオ・ワクチンを投与する青年海外協力隊員(カンボジア)