I-11 中国への環境協力
わが国が積極的に環境協力を進めている国として中国があります。中国は、急激な経済発展により深刻な環境破壊が進んでおり、またその影響が黄砂の飛来等となってわが国にも及んでいます。そのため、わが国は2001年に策定・公表した対中国経済協力計画で環境対策を重点分野に挙げ、積極的に取り組むこととしています。実際にも、2001年度の円借款の半分以上が環境関連事業となっており、その事業も多岐にわたっています。
2002年10月、日中両国は、国交正常化30周年を記念し、北京において日中環境協力週間を行いました。この週間中、両国官民の環境保護協力関係者が一堂に会し、日中環境協力に関し包括的な意見交換を行う「第4回日中環境協力総合フォーラム」をはじめ、日中間の環境協力をテーマとした行事が集中的に開催されました。
近年の環境協力は、資金協力と技術協力の連携を図りつつ、プロジェクトを実施しています。例えば、日中環境開発モデル都市構想はモデル都市専門家委員会の提言に基づき、大気汚染対策を中心としたプロジェクトに対し円借款の供与を行いました。また専門家を派遣し、モデル都市に指定された各都市の環境管理能力の向上を図っています。これらによって大連、貴陽、重慶3つのモデル都市の環境は改善しつつあります。
また、環境協力の一環として、わが国は中国において植林を行っています。特に、荒廃地が広がり、黄砂の発生源の一つと考えられている黄土高原を中心とした黄河中流域では、有償資金協力、無償資金協力により植林を行うと共に、技術協力により、乾燥地に適した植物の研究支援を行っています。これらによって砂漠化地域における植生回復、黄砂の飛散の抑制に寄与することが期待されます。