I-8 地雷問題への取組
カンボジアやアフガニスタンなど長年の紛争に苦しんだ地域を中心として世界中に数千万から1億も埋設されていると言われている地雷は、婦女子を始めとする非戦闘員に対しても無差別な被害を与え、人道上極めて大きな問題であるのみならず、紛争終結後の復興と開発にとって大きな障害となっています。
赤十字国際委員会(ICRC)やブトロス・ガーリ国連事務総長(当時)の尽力により90年代初頭から地雷問題に対する国際社会の取組が活発化し、97年12月、カナダのオタワにおいて対人地雷の使用、貯蔵、生産、委譲等を禁止する対人地雷禁止条約(オタワ条約)が署名開放され、99年3月1日に発効しました。
わが国は、オタワ会合において同条約に署名し、98年9月30日に批准しました。また、オタワ会合においては、「犠牲者ゼロ・プログラム」を提唱し、世界の地雷除去・犠牲者支援を推進すべく、98年より向こう5年間を目途に100億円程度の支援を行う旨表明し、2002年10月末で100億円の支援目標を達成しました。
同時に、取組をさらに強化するための措置の一環として、2002年8月よりは、対人地雷のみを処理する車両や地雷探知機については、武器輸出三原則等上の武器の定義に当たらないとし、その輸出に際し許可を必要としないこととしました。
わが国においては地雷問題に対する国民の関心も高く、政府も国際機関やNGO等と協力しつつ世界各地で地雷除去や犠牲者支援のための取組を行っています。例えば、アフガニスタンにおいては、2002年1月以降数度にわたりUNDP等に資金拠出を行ったほか、現地NGOに対し草の根無償資金協力を行いました。さらに、地雷探知・除去技術開発のための専門家からなる政府調査団の派遣や、アフガニスタン地雷対策センター(MACA)への邦人職員の派遣など人的貢献も行っています。わが国による支援は、現地において極めて効果的であったと感謝・評価する声が高く、今後のわが国の支援に対しても大きな期待が寄せられています。(地雷対策に関するわが国ODA実績については、第III部(資料編)第2章第6節図表III-32参照)

地雷の被害に苦しむ主な国
対人地雷問題に関する支援実績の割合