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3 円借款で進む人づくり-マレーシア・高等教育借款基金計画-



 マレーシアは、貿易、投資などをはじめとしてわが国と密接な相互依存関係にあり、わが国にとって政治・経済面において重要な存在となっています。特に81年にマハディール首相が「東方政策」(注)を提唱して以来、わが国に学ぶ姿勢を示している親日的な国です。2001年からは、第8次マレーシア計画の下で国家経済開発が行われ、「k-economy (knowledge economy、知識集約型経済)」への移行を目指しているところであり、そのためにも、高度な知識、技術を備えた人材の育成が急務となっています。こうした背景から、わが国は、マレーシアに対し、特に理工系を中心に高等教育機関の質、量の両面の拡充を支援しています。その一つが円借款事業である「高等教育借款基金計画」です。
 高等教育借款基金計画は、マレーシアの経済発展に必要な中核エンジニアの育成を目指し、マレーシア国内での教育を経た上で、日本の大学の理科系学部への留学を支援するものです。借款資金は、マレーシアの教育財団を通じて、マレーシア国内での日本語の取得などの研修費や、留学にかかる奨学金の供与などに充当されます。また、99年からは、日本での留学費用の削減のため、学部レベルでの編入制度(ツイニングプログラム)を新たに導入しました。
 この事業によって、第一期では、95年度入学から99年度までの5期、約300名の留学生がわが国に派遣され、第二期でも約400名の留学生の派遣が予定されています。
 マレーシアでの研修では、日本語が鍛えられます。「先生は日本語授業、日本語の教科書、ノート記入は日本語。生徒は真剣そのもの。」(2000年度ODA民間モニターの意見)。留学生の喜ぶ声も伝わってきています。「友達もだんだんと増え、いろいろなことにも慣れてきたので、日本での学生生活が面白いと思うようになりました。」(97年に来日した留学生の意見)。
 ここで育った留学生は、マレーシアの経済発展に貢献するとともに、親日家となって世界各地で活躍することが期待されます。


日本語を勉強するマレーシアの研修生



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