資料編 > 第３章 > 第１節 > 34 開発途上国貿易促進協力事業の概要と実績
82年度
日本貿易振興会（ジェトロ）では、我が国の開発途上国における経済活動（貿易・投資・技術提携）を拡大するとの観点からアジア地域を中心とした開発途上国の輸出産業育成・対日輸出促進等を支援するために、開発途上国貿易促進協力事業を展開してきた。その後、時代の要請に対応し、開発途上国への投資促進や裾野産業育成等の産業基盤強化、環境面での技術協力など、事業の充実化を図ってきている。
輸出産業の育成、対日輸出の促進、人材育成への協力、裾野産業支援等の技術協力、途上国への投資促進等を目的に、専門家の派遣、研修員の受入、有力者・ビジネスマンの招へい、買付ミッションの派遣、展示会・商談会・産業交流会の開催等の事業を実施。
現地の貿易振興機関、商工会議所等のカウンターパートからの要請を海外事務所等を通じて受け、要請案件の内容、実現性、我が国産業界や進出日系企業群等のニーズとの関係や効果及び地域的バランス等を十分に検討、選定し、経済産業省の承認を得たうえでジェトロ本部が、これを決定する。
案件の決定後、ジェトロ本部および海外事務所とカウンターパートとの密接な連携のもと国内外で事業を実施する。
（A）輸出産業育成を支援する事業
専門家の派遣や研修員の受入れを通じた現地中小企業等の製品改良、市場開発、ノウハウの移転等の事業を実施。また、各国貿易振興機関のスタッフ研修、投資調査員・市場調査員の受け入れにより、日本市場の開拓方法や商品プロモーションのノウハウについて実地に調査研究などを実施。
（B）対日市場参入に協力する事業
産品発掘専門家の派遣とサンプル展示商談会の開催、産品輸入ミッションの現地活動支援、国内で開催する見本市等への参加支援、産品展示会開催、ビジネスマンの受入れなどを実施。
（C）産業基盤強化を支援する事業
アジア諸国の産業基盤強化を目的とした広域産業交流会の開催、業界育成指導専門家の派遣、海外投資アドバイザーの派遣、裾野産業育成に対する協力、工業化促進に資する投資案件への支援協力、経済・技術協力のための海外見本市開催・参加支援、エネルギー・環境技術等を普及するための支援などを実施。
98年度と同様に、99年度においてもアジア向け事業が最大で、これにアフリカ、中南米、東欧、中央アジア等が続いている。
（A） 開発途上国の対日輸出増大に寄与するため、99年度は、コロンビア、ペルー（東京、札幌）、アフリカ諸国を対象に4件の展示会を、2000年度には、メキシコ、サウジアラビア（東京、大阪）、エジプト、ウズベキスタンを対象に５件の展示会を各々国内で開催した。また、わが国で開催される専門見本市への開発途上国の参加支援を99年度は中国、インドネシア、マレーシア等44か国を対象に、2000年度は、タイ、マレーシア、インドネシア等61か国を対象に実施。2000年度に新規にインターネット上でアジア11か国を対象に見本市を開催。開発途上国に対する経済協力の一環として、開発途上国への経済協力や産業技術向上に役立つ製品、技術を紹介するために、海外で99年度は４件、2000年度は４件の展示会を実施。
（B） 開発途上国から有力者を99年度はペルーから１名、南アフリカから１名、エジプトから１名、エチオピアから１名、ケニアから１名、計６名を、2000年度はサウジアラビア、ウズベキスタン、コスタリカ、フィジーから各１名、計４名招へいした。
（C） 開発途上国から対日輸出に携わる中堅ビジネスマン等を、99年度は41名、2000年度は27名招へい。
（D） 開発途上国への投資を促進するため、各国より投資誘致ミッションを受け入れ、セミナー等を開催した。海外投資セミナーを99年度は46件、2000年度は69件開催（後援含む）した。また、開発途上国のうち、我が国の投資重点国に常駐専門家を派遣し、投資・技術提携促進につながる各種支援事業を実施。
（E） 開発途上国からの輸入を促進するため、99年度は、ベトナム、エジプト、ウルグアイ等へ６名、2000年度は、ブルガリア、セイシェル、タイ等の開発途上国へ5名の専門家を派遣し、対日輸出有望商品の発掘等を行った。また、99年度はバルト三国の生活雑貨等、2000年度は東欧のワインフェア、太平洋諸島国コレクション等専門家が発掘した産品を用いたサンプル展示商談会を東京及び地方で開催した。さらに、開発途上国の輸出製品の品質向上を支援するため、99年度はパレスチナ、メキシコ、チリ等に５名、2000年度はトルコ、フィジー、ガーナ等に５名の専門家を派遣した。また、99年度はコロンビア等、2000年度は、エジプト、ルーマニア等の商品に関し日本市場におけるモニタリング調査を行った。その他、産品輸入のさらなる拡大のため、候補産業・産品を選定するための事前調査をチリ、ナイジェリア等で行った。また、対日輸出の前段階として第三国への輸出可能性を探るため、米国市場における中南米諸国のオーガニック食品の調査を行った。さらに、商談を行うことを目的として派遣されたコロンビアからの対日輸出促進ミッションの受入れを行った。
（F） 開発途上国の輸出産業振興や投資誘致の基礎となる企業の経営基盤を強化するため専門家を派遣し、セミナー等を開催。99年度は、ケニア、チェコ、グルジア等へ７名、2000年度はトルコ、クロアチア、メキシコ等へ５名を派遣した。また、投資誘致を支援するため、99年度は、エジプト、チュニジア等へ４名、2000年度は、ブラジル、エルサルバドル等へ１名の専門家を派遣するとともに、99年度にはブラジル、マダガスカル等から２名、2000年度はパナマ、ナイジェリア等から４名の投資調査員を受入れた。さらに、現地企業の経営管理能力等の向上のため99年度は、コーカサス三国等へ４名、2000年度は、バルト三国、中南米諸国等へ３名の巡回指導専門家を派遣した。
（G） 開発途上国の現地産業界基盤の強化のための専門家派遣、及び現地講習会を開催。また、我が国と現地企業との投資・技術提携や部品供給・調達の促進のため関連企業情報を整備・提供するとともに、第３国企業も含めた提携促進事業を実施。さらに、域内産業の交流を促進し、インダストリアル・リンケージを深める場として、展示会、商談会、シンポジウム、セミナー等を国内外において開催。99年度は中国（上海）で開催。2000年度はインドネシア、シンガポールで開催。
（H） 開発途上国の我が国市場理解を促進すべく、調査員を、99年度に３名、2000年度に６名を受け入れた。また、開発途上国の貿易振興機関のスタッフ研修として、99年度に９名、2000年度に10名を受け入れ研修を実施。さらにそのうち、99年度は４名、2000年度は９名につきマレーシアで対日輸出促進の現状等に関しての研修を実施。また貿易振興機関の相互協力促進のためのフォーラムを開催、99年度は11名、2000年度は10名を招へいした。さらに、貿易振興ノウハウ移転を目的として、99年度は韓国、チェコ、ルーマニア、エジプト、ヨルダン、チリ、バングラデシュ、モーリシャスに専門家を派遣、2000年度はエジプト、ミャンマー、カンボジア、中国、オマーン、ホンジュラス、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチンに専門家を派遣した。
（I） 海外からの輸出促進ミッションにつき商談会のアレンジ、企業訪問アポイントメントの取り付け等の協力を99年度は95、2000年度は67の使節団に対し実施。
（J） アジア諸国の貿易・産業の振興に総合的結果的に協力するためタイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、中国、インド、パキスタン、スリランカ、ベトナム、ミャンマーを対象に以下の事業を実施。
（I） 現地中小企業育成のため、中小企業経営者等を招へいし企業訪問、工場見学等を通じ育成に努めた。また各国の中小企業者にとって必要な適正技術の指導・普及を目的として我が国の諸制度、法令、技術基準等に関する情報・資料を英訳し関係機関に提供。
（II） 各国の製品輸出開発に資するため、各国産品の我が国でのモニタリング調査及び商品専門家の派遣、対日輸出促進ミッションの受入協力等を実施した。
（K） 我が国からの投資を通じた開発途上国の発展に協力するため、専門家による現地調査、コンサルティング等を実施。
（L） グリーン・エイド・プランの対象国であるタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、中国、インド、ベトナムを対象に、わが国のエネルギー環境技術の移転・普及協力のための調査・指導及び現地業界指導者等の受入れを実施。
（M） 部品等据野産業の育成を支援するため、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、中国、インドにおいて調査、指導等を実施するとともに、専門家等の受入れ等を実施。
（N） 外貨獲得型産業の育成が急務とされる中南米諸国の輸出拡大支援のため、専門家派遣、研修員受入れ、見本市参加支援等からなるパッケージ支援事業を、ブラジル、アルゼンチン等を対象に実施。
（O） 東欧等諸国の輸出拡大支援等のための専門家派遣、研修員受入れ、見本市参加支援等からなるパッケージ支援事業を、ハンガリー、ポーランド等を対象に実施。
（P） 農水産品の貿易拡大を進めるため、99年度は熱帯果汁ピューレを、2000年度はハーブを各々対象に、先進国、途上国双方から専門家を招へいしフォーラムを開催。
（Q） APEC諸国等の中小企業指導機関担当者等を我が国に受け入れ、ワークショップを開催したほか、現地指導を実施。
（R） アジア経済高度化に向け、アジア各国等の有識者によるフォーラムを我が国において開催。
（S） アジア諸国の対日輸出拡大を支援することを目的に、日本から派遣される買い付けミッションの現地での活動を支援した。99年度は、フィリピン、インドネシア、韓国へのミッションを支援、2000年度は、インドネシア、フィリピン、インド、ベトナムへのミッションを支援した。
（T） アジアの経済構造改革を早急に進めるため、99年度においては日中両国の産官学による専門家・研究員の派遣（27名）及び受入れ（52名）、現地・国内における共同研究（「中小企業政策」等６テーマ）を実施し、３月に日中双方で成果普及セミナーを開催した。2000年度については日本より中国へ専門家を44名派遣、現地において５テーマにつき共同研究を実施し、３月に北京において成果普及セミナーを開催した。
（U） わが国の開発途上国に対する経済協力を推進するための基礎的情報収集及び調査を行った。また中央アジアにおける日本企業のビジネスチャンスの拡大を支援するため、現地調査・情報収集を実施した。
http://www.jetro.go.jp/
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