資料編 > 第3章 > 第1節 > 33 (財)海外漁業協力財団(海外漁業協力事業)の概要と実績
第3次国連海洋法会議を契機とした沿岸国による200海里水域の設定及び外国漁船の締め出しの動きを踏まえ、我が国漁船の海外漁場の確保を図るためには、これら関係沿岸国からの多様な漁業協力要請に迅速に応えていくことが必要不可欠となった。このため、73年6月、海外漁場の確保と海外漁業協力とを一体的に推進する目的で設立された。
海外漁業協力財団は、技術協力事業と貸付事業を有機的に連携させ、関係沿岸国の漁業開発振興に協力するとともに、我が国の海外漁場確保にも資するとの基本方針の下に事業を実施している。具体的には、入漁協定を締結している等我が国と漁業関係が深い沿岸国を対象に、これら諸国からの協力要請に基づく、漁業技術の習得等のための研修生の受入れ、漁業分野の専門家の派遣及び水産資源回復のための増養殖、水産関連施設の修理・修復、沿岸漁業開発、水産流通網の整備・魚食普及等の各種プロジェクト方式技術協力を、迅速かつきめ細かに実施している。また、我が国漁業者が行う海外漁業合弁等協力事業を促進・支援するために、貸付事業を行っている。
技術協力事業については、関係沿岸国からの要請に基づき、十分な事前調査と関係漁業団体、監督官庁との協議を行い、当該関係沿岸国の漁業振興及び我が国漁船の海外漁場確保との関連で効果的かつ妥当と認められる案件を選定、決定している。
貸付事業については、海外漁業協力事業を行う本邦邦人等からの資金の借入れ申込みを受け、海外漁業協力財団貸付規程等の定めるところに従って審査を行い、決定している。
技術協力事業については、関係沿岸国政府との協議のうえ当該国政府との間で締結する覚書及び実施計画書に基づき、速やかに実施している。
貸付事業については、貸付の決定後、貸付けの相手方より約定書等、貸付の実行に必要な書類を徴求するとともに、債権の保全のために必要な措置を講じ、海外漁業協力事業資金の実需に応じて貸付金の交付を行っている。
技術協力事業においては、99年度は、研修生受入が104人、専門家派遣が34人、プロジェクトが22件であり、2000年度は、研修生受入が120人、専門家派遣が44人、プロジェクトが20件であった。
貸付事業においては、99年度は、アルゼンチン、ペルー、フォークランド諸島における沿岸漁業等の開発振興に必要な資金について3か国・地域、7件の貸付けを実施し、2000年度は、アルゼンチン、ペルー、フォークランド諸島における我が国と合弁事業を行っている現地法人の漁船購入等の設備資金及び沿岸漁業等の開発振興に必要な資金について3か国・地域、4件の貸付けを実施した。
99年度は、研修生受入はアジア地域が62人、次いで中南米地域が18人となっている。専門家派遣は、アジア地域が16人、次いでアフリカ地域が8人である。プロジェクトは、大洋州が11件、次いでアフリカ地域が7件となっている。
2000年度は、研修生受入はアジア地域が66人、次いで中南米地域が25人となっている。専門家派遣は、アフリカ地域が18人、次いで中南米地域が10人である。プロジェクトは、大洋州が11件、次いでアフリカ地域が5件となっている。
太平洋関係島嶼國8か国(キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ソロモン、フィジー、ナウル、パラオ、ツバル)においては、専門家がこれら関係島嶼国を巡回し、水産関連施設の修理・修復を行いながら当該施設のメンテナンスに係る技術移転を図る協力を実施しており、小規模ではあるが、小回りの利く、相手国のニーズに迅速に対応した技術協力で、当該関係島嶼国から高い評価を得ている。
また、インドネシアにおいて実施している漁業訓練に関する協力では、99年度までに合計471名の同国の青年をまぐろ延縄漁船員として養成した。これら訓練修了生は、同国のマグロ漁業振興の担い手として活躍するとともに、我が国マグロ延縄漁船にも乗船している。2000年度からは、漁船員養成を安定的かつ効率的にするため、訓練活動の現地体制化を担う現地人指導員の養成を目的として、19名の指導員候補生に対し、必要な訓練を行った。
さらに、我が国遠洋いかつり漁船にとってアルゼンチン共和国における排他的経済水域は最大の漁場であり、同国の国内法に基づき入漁を行っているが、2000年度より同国政府の要請を受け、タイ類及びヒラメ類の種苗生産開発のプロジェクトを開始し、両国間における漁業分野の友好関係の維持促進を図っている。
http://www.ofcf.or.jp
図表-133 海外研修生受入事業

図表-134 専門家派遣

図表-135 プロジェクト方式の技術協力
