本編 > 第I部 > 第4章 > 第1節 「第2次ODA改革懇談会」最終報告
川口外務大臣は、本年2月中旬に「開かれた外務省のための10の改革」(骨太の方針)を発表し、その柱の一つとしてODAの効率化・透明化に取り組む方針を示しました。もとより、ODA改革は今に始まったことではありません。従来より政府は、ODAの効率的・効果的な実施のための改善や評価システムの拡充等を図る努力を積み重ねてきており、特に近年はODAに対する国民の理解と支持を得るためにその透明性の向上につとめてきたところですが、今後とも「骨太の方針」も踏まえて、更なるODA改革を進めていく考えです。以下、ODA改革の取組及び今後の方向性について説明します。
第2次ODA改革懇談会は、ODAを巡る国内外の状況変化(厳しい経済・財政状況やODAに対する国民の支持の低下、急速なグローバル化に伴う援助ニーズの変化等)を踏まえ、今後のODAのあり方について提言を得るべく、2001年5月、外務大臣の私的懇談会として設置されたものです(座長:渡辺利夫拓殖大学国際開発学部長)。
同懇談会は、まず2001年8月に「中間報告」を公表し、ODA改革の基本的方向性を示しました。また、中間報告公表後、ODAに対する国民の声を直接聞き、懇談会の議論に役立てるために、ODAタウンミーティングを全国4カ所で開催しました。その後、2001年9月に議論を再開し、中間報告で示されたODA改革の主要テーマについて、外部の専門家の意見も聴取しながら議論を行ってきました。
「最終報告」はこのようなプロセスを経てまとめられ、2002年3月末、渡辺座長より川口外務大臣に提出されました。最終報告の提言は、「国民参加」、「透明性の確保」、「効率性の向上」の3つのキーワードに集約され、川口外務大臣の「骨太の方針」の方向性とも一致します。同最終報告は、国民参加を中心概念として、(1)国民の心、知力と活力を総結集したODA、(2)戦略を持った重点的・効果的なODA、(3)ODA実施体制の抜本的な整備、という3つの柱からなるODA改革の具体的方策を提示しています。
川口外務大臣は、最終報告の提言をできることから直ちに実施していく方針を示しており、特に「ODA総合戦略会議」は早速スタートすることとし、また、第三者による監査制度の導入も透明性の向上のために重要である旨述べています。
外務省は、「ODA総合戦略会議」の第1回会合を2002年5月にも開催すべく準備を進めています。また、ODA改革については、外務省改革に関する「変える会」でも、この最終報告をもとに議論されました。
図表-5 「第2次ODA改革懇談会」最終報告の概要
