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国連麻薬特別総会
(概要と評価)


平成10年6月12日


ポイント

  • 今次麻薬特総には、米、仏等31カ国の首脳を含む153カ国の代表が出席し、21世紀に向けた国際麻薬戦略の道標となる政治宣言及び6つの作業文書が決議 として全会一致で採択された(我が国より高村政務次官が首席代表として出席)。
  • 今次特総の成果として、(1)2008年までの麻薬撲滅のためのグローバルな戦略が承認されたこと、(2)従来国連の場では供給面に偏りがちであった薬物対策の一つの柱として、需要削減対策が合意されたこと等が挙げられる。
  • また我が国としては、今次特総の準備段階から積極的に参加してきた結果、我が国の考え方(特に需要削減対策、覚せい剤対策、青少年対策等にプライオリティーを付与すべきこと等の諸点)が、採択された決議に十分反映された。

1.概要

(1)国連麻薬特別総会(第20回国連特別総会)は、6月8日から10日までクリントン米大統領、シラク仏大統領等31カ国の首脳を含む153カ国及び5国際機関が出席してニューヨーク国連本部に於いて開催された。我が国からは、高村外務政務次官、関口警察庁長官ほか薬物関連省庁幹部が出席した。高村政務次官は、代表演説に於いて、去る5月26日に公表された我が国「薬物乱用防止5カ年戦略」を紹介するとともに、覚せい剤対策や青少年対策等の重要性、UNDCP(注)を中心とした国際協力、とりわけ東南アジアへの協力推進について強調した。
 同特別総会は、10日、最終セッションに於いて、21世紀に向けた国際麻薬政策の道標となる3つの決議案、すなわち、(イ)政治宣言、(ロ)需要削減基本原則、及び(ハ)世界の薬物問題に対する国際協力向上のための提案(覚せい剤、原料物質、司法共助、資金洗浄、代替開発に関する提案)を全会一致で採択した。

(2)今次特総の成果としては、(イ)アルラッキUNDCP事務局長が提唱している「2008年までの麻薬撲滅のためのグローバルな戦略」の考え方が基本的にエンドースされたこと(なお、同戦略の内容については、今後のフォローアップ会合で詰めていく必要がある)、(ロ)供給削減と並ぶ薬物対策の一つの柱として需要削減の基本的原則に関する初めての国際的文書に合意したこと、(ハ)青少年対策を含む乱用予防対策の重要性が強調されたこと、(ニ)21世紀の乱用薬物ともいえる覚せい剤に焦点を当てた行動計画を採択し、国際社会がヘロイン、コカイン等の伝統的麻薬に加え、覚せい剤についても本格的にその対策に取り組むこととしたこと等があげられる。

2.評価

(1)我が国は、今次特総のために開催された6回の準備会合に関係省庁から多数の幹部、専門家が出席するなど、準備過程の早い段階から積極的に参加した。この結果、今次特総において、我が国の重点事項である覚せい剤対策、需要削減対策を文書としてまとめることに成功したほか、我が国の考え方、立場を政治宣言、行動計画等の文書に十分反映させることができた。

(2)今次特総に際し、高村政務次官には、時間が限られている中、精力的に二国間会談を行って頂き、特にイラン外相には日本国内でのイラン人の薬物犯罪への対処、ミャンマー内相には国際社会に受け入れられるためにも薬物問題への真摯な対応につき国際的にアピールすることが重要であること、アルラッキUNDCP事務局長には覚せい剤対策に重点を置くべきこと等を伝えて頂いた。他方、関口警察庁長官は中国等の取締当局幹部と法執行面の協力について協議を行った。

(3)本特総で注目すべきこととして、我が国が薬物対策を進める上で、重要視している中国、東南アジア諸国が地域協力に大変熱心な姿勢を示し、覚せい剤対策についても、UNDCPと共同で宣言を出す等極めて重視していることが明らかになったことである。これは、これらの諸国としても、薬物乱用対策への国際協力の必要性を痛感している証左であると考えられる。

(4)今後は、今回採択された宣言、行動計画を速やかに実施するために、関係省庁の連携を一層強化し、薬物乱用防止5カ年戦略(注)に則って、国内対策を充実させるとともに、国際協力を推進していく必要がある。国際協力については、中国、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア等が地域協力の推進を図っているところ、我が国としても、UNDCPとも協調しつつ、関係省庁の積極的な参加により、これら東南アジア諸国に対する覚せい剤対策等の薬物分野の協力を一層推進することが必要である。
 さらに、コカ、ケシ、大麻の不正栽培撲滅等を目指すグローバル戦略がエンドースされ、今後、その具体的内容、財源等について議論されることも予想されるところ、我が国としても右協議過程に積極的に参加していくことが求められよう。

3.我が国参加省庁

 外務省の他、警察庁、大蔵省、文部省、厚生省、海上保安庁の各省庁より担当課長以上が今次会合に出席した。

(注)

1.国連薬物統制計画(UNDCP)
 国連薬物統制計画(UNDCP)は、国連における薬物対策活動の中心機関として、国連内の薬物対策活動の調整、薬物関係条約の実施確保、各種の薬物対策プロジェクトの作成・資金提供等を行っている。
 このUNDCPに対し、我が国は厳しい財政事情にもかかわらず、毎年数百万ドルの拠出を実施し、限られた予算を有効に使い積極的に貢献してきている。

2.薬物乱用防止五カ年戦略
 総理を本部長とする薬物乱用対策推進本部が、我が国の中期的な薬物乱用防止対策の指針として定めたもので、本年5月26日の薬物乱用対策推進本部の本部会合で正式に採択されたものである。
 内容は、現在が「第三次の覚せい剤乱用期」にあるという認識に基づき、その終息を図ることを基本目標とし、さらに個別の目標を掲げ、それぞれ現状認識と具体的な対策について定めている。

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