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人権・人道

(仮訳)

配布
一般
E/C.12/2002/12
2002年11月29日
原文:英語

最終見解に関する締約国の意見:日本(2002年11月29日)
E/C.12/2002/12(最終見解/意見)


経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会
第29会期
2002年11月11日-29日


事務局ノート
最終見解に関する締約国の意見

日本

1.経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会は、2002年11月11日から29日に開催された第29会期において、委員会による最終見解の採択のあとで、関係締約国が最終見解に関する意見を委員会に提出する場合、これらのコメントは、委員会の文書として、提出されたとおりに公表され、委員会の年次報告の中で言及されることと決定した。締約国によるこれらの意見は、周知目的のみのために公表される。

2.よって、この文書は、2002年7月16日に日本政府により提出された、第26会期(2001年8月13日-31日)において日本の第2回政府報告(E/1990/6/Add.21 and Corr.1)の審議のあとで委員会が採択した最終見解(E/C.12/1/Add.67)に対する意見を含んでいる。

1.昨年8月31日に貴委員会が示した我が国第2回政府報告に対する最終見解について、幾つかの明らかな事実誤認が含まれており、又、我が国政府として貴委員会に対し、更なる説明の必要性を感じる事項が含まれるので、以下の通り、我が国政府の意見を貴委員会に改めて伝えることとしたい。

2.はじめに、貴委員会の最終見解の中では次の事実誤認が見られる。

(1) パラ11、21及び34に関し、貴委員会は日本が第8条2項を留保していると指摘しているが、実際に我が国が留保しているのは、第8条1項(d)である。また、パラ21に関し、そもそも第8条1項(d)の規定に拘束されない権利が留保されているのであるから、同盟罷業の権利の制限に関しA規約第8条第2項に違反しているとの委員会の指摘は当たらない。

(2) パラ21に関し、ILO87号条約は、その文言、条約採択時の審議経過、これまでの見解等に鑑み、ストライキ権の問題を扱う条約とは解されていないことから、我が国の公務員に対するストライキの禁止が、ILO87号条約に違反するとはいえない。

(3) パラ21及び48に関し、ILO条約勧告適用専門家委員会では、ストライキ権の制限は「国家の名の下に権限を行使する公務員」または、「その中断が住民の全体又は一部の生活、個人の安全若しくは健康を危うくするような厳密な意味の不可欠な業務」に限定されるべきであるとの見解を示しているところである。したがって、委員会が「不可欠な業務に従事していない公務員」について、ストライキ権が制限されるべきでないとすることは、上記ILOの見解に照らしても不適切である。

(4) パラ26、53に関し、既に審査においても繰り返し説明しているとおり、アジア女性基金は、フィリピン、韓国、台湾の政府・当局若しくはそれらの委託を受けた関係団体により元慰安婦として認定された方々を対象に、これまで285名の元慰安婦の方々に日本国民及び日本政府の真摯な気持ちの表れである「償い事業」をお届けしている他、インドネシア及びオランダにおいてもそれぞれ本件問題に関連した事業を実施しており、事業を受け取られた元慰安婦の方々からは感謝の声も寄せられている。よって「当該慰安婦によって受け入れられる措置とはみなされてきていない」との指摘は当たらない。
 また、国民の募金を原資とする「償い金」以外のアジア女性基金の事業資金及び運営資金については、その全額を政府が負担しており、「主として民間の財源から資金が調達されている」との指摘は正しくない。
 日本政府としては、本問題を含め、先の大戦に関わる賠償、財産及び請求権の問題については、サン・フランシスコ平和条約及びその他関連条約などに従って誠実に対応してきたところである。しかしながら、いわゆる従軍慰安婦問題は、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であるとの認識の下、今後とも、本問題に対する国民及び日本政府の真摯な気持ちの表れであるアジア女性基金が所期の目的を十分に達成できるよう、最大限の協力を行っていく考えである。

3.次に、以下の事項については、リストオブイシューに対する政府回答及び審査の際の政府説明において既に十分説明を尽くしたものであるが、最終見解においては、残念ながら貴委員会の十分な理解を得られていないようであり、その結果、事実誤認あるいは誤った因果関係の把握に基づいた勧告の内容となっているおそれがある。なお、以下の2つのケースは代表的なケースであり、その他にも同様のケースがみられるところであるが、それらのケースについては、次回報告で言及させていただくことも検討したい。

(1) パラ59の教科書検定制度に関し、教科書に対する国の関与の在り方はその国の実情等に応じて様々であるが、我が国においては、民間が著作・編集した教科書について、全国的に定められた教育課程の基準(学習指導要領)や検定基準に基づき、国が誤った記述やバランスを欠いた記述などについて修正を求め、合格したものの中から教育委員会等が採択して学校で使用するという検定制度を採っている。
 我が国の教科書では、学習指導要領に基づいて、基本的人権の尊重や平和主義、国家間の相互の主権の尊重や協力、国際協力の意義などの内容が必ず取り上げられている。また、我が国は、近隣のアジア諸国との間の国際理解と国際協調の見地からの配慮を求めること等を内容とする検定基準に基づき厳正かつ適切に教科書の検定を実施している。
 したがって検定制度によって、我が国の教科書の記述は、人権及び基本的自由の尊重、多様な集団の間の理解、寛容及び友好などを求める「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の第13条等に沿ったものとなっている。
 また、教科書以外の教材についても、学校での使用については、学校教育に有益適切であるもののみが、各学校の判断で使用されることとなっており、各教育委員会の管理・指導・助言の下、適切な運用がなされているところである。
 我が国においては、以上で述べたような制度の下で教科書の作成や検定が行われており、その結果、教科書その他の教材が規約等の内容を反映するように公正かつ均衡のとれた記述となっている。

(2) パラ27、28の阪神・淡路大震災にかかる対策に関し、日本政府、兵庫県・神戸市等は、医療、避難所、食料、水、その他必需品の提供に加え、他の先進国にも例を見ない多種多様な施策により、被災者に対する生活支援を迅速かつ適切に行ってきたことにつき、貴委員会が正確に理解されるよう求める。
 例えば、被災した高齢者及び障害者に対して、「生活援助員」が入居世帯を支援する「高齢者・障害者向け地域型応急仮設住宅」の建設や、コミュニティの形成に配慮して、高齢者が孤独に陥ることなく共同生活ができるコレクティブハウジングの建設を行っている。さらに被災者の精神面のケアについても、これまでのコミュニティを維持するためグループで恒久住宅に移れる措置や保健婦に加え「生活援助員」による各家庭への訪問の実施など、きめ細かなケアを実施している。特に家族を失った被災者に対しては、「こころのケアセンターの設置」や「こころのケア推進員」の養成・派遣等の事業を実施しているほか、被災児童の心の安定を図る教育復興担当教員の配置を行うなど、きめ細かい支援を実施している。
 また、被災者の住宅債務の支払いについては、自力で住宅を再建する被災者に対する利子補給等の支援、既往債務の償還期間の延長、二重ローン債務者に対する一定割合の補助等の特例措置を講じてきた。
 日本政府は、これら多種多様な施策により、被災者に対する生活支援を適切に行ってきたと考えている。

4.次に、最終見解の中に含まれたいくつかの原則的な事項について説明しておきたい。

(1) パラ10及び33に関し、我が国は、 貴委員会の見解は一つの意見として参考とするが、A規約を含め条約の一義的な解釈権を有するのは、あくまで個々の締約国であり、我が国としては、条約の規定を直接適用し得るかについては、当該規定の目的、内容及び文言等を勘案し、具体的な場合に応じて判断しているところであり、A規約の規定の直接適用性に関する我が国の立場は審査に際して説明したとおりである。

(2) パラ34及び48に関し、我が国の行った留保については、締約国として条約法条約に規定する正当な手続に従って行っているものであるところ、貴委員会がその権限の範囲内において正当な関心を有することは理解し得るが、これらを撤回するか否かは締約国の主体的な判断に委ねられるべきであると考える。

5.最後に、以下の事項については貴委員会が最終見解の中で取り上げ得る事項かどうか疑問なしとしないものである。

(1) パラ21、48に関し、そもそもILO87号条約はストライキ権の問題を扱う条約とは解されていないしILOにおいてストライキ権を明示的に取り扱った国際文書も存在しない。また、ILOの条約勧告適用委員会及び条約勧告適用専門家委員会において、日本の公務員の労働基本権の制約がILO関連の条約に違反する旨指摘された事実はない。よって、ILO条約の解釈権限を持たない貴委員会が、「ILO87号条約違反に当たる」との判断をすることは、貴委員会の権限の範囲内かどうか疑問を有する。
 ちなみに、ILOの条約勧告適用専門家委員会において、公務員に対するストライキ権や交渉権の制限に関し、代替措置の存在を前提に、ILO第98号条約に適合するものとみなすことができる旨言及されたことがある。


6.その他、我が国各省庁からの意見を別添する。

7.今回の貴委員会最終見解については、以上の点を指摘した上で、我が国として今後の規約履行の参考とし、規約のより効果的な履行をはかるために、今後も貴委員会との対話を続けていきたいと考える。

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