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「日本と中・東欧:京都メカニズムを通じた協力」ワークショップ
(概要と評価)

平成17年2月24日

 外務省は、2月21日、東京にて、経済産業省、環境省及び中・東欧地域環境センター(REC;ハンガリーに本拠を置く国際機関)と共催で、中・東欧諸国 (ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア)政府の環境省幹部等及びREC関係者を招き、多数の日本の民間企業関係者の出席を得て、本件ワークショップを開催した。

  1. 背景

     京都議定書(温室効果ガス削減数値目標と実施の枠組を定めた国連気候変動枠組条約に基づく協定)が2月16日に発効し、日本は、第1約束期間である2008年から2012年の間において、温室効果ガスを1990年比で6%削減することが義務づけられることとなった。
     一方、中・東欧諸国等の市場経済移行国においては、エネルギー効率の低い旧式の設備が多く使用されており、こうした設備をエネルギー高効率的なものに変えること等による温室効果ガス削減のポテンシャルが高い。そのため、日本と中・東欧諸国の間では、共同で温室効果排出削減プロジェクトを実施し、当該事業から得られた排出削減量等を投資国等が自国の目標達成に利用するという京都メカニズム上の「共同実施」(JI:Joint Implementation)を活用する余地が大きい。
     現状では未だそのような協力は本格化していないが、今後、中・東欧諸国とJIを進展させるためには具体的にどのような方策を採ればよいか、日本と中・東欧諸国間で議論するために本件ワークショップを開催した。

  2. 概要

    (1)外務省からの冒頭挨拶に続き、RECの理事を務める柳澤幸雄・東京大学教授の冒頭挨拶、日本側関係者(環境省、経済産業省、日本カーボンファイナンス(株)、海外投融資情報財団)からのプレゼンテーションが行われた。
     これに引き続いて、REC及び中・東欧諸国の参加者からのプレゼンテーションが行われた。
     その後、傍聴していた民間企業関係者等からの質問を受ける形で質疑応答が行われた。

    (2)柳澤教授よりは、中・東欧諸国は、JIを始め、環境分野における市場としてのポテンシャルが高く、制度的リスクも比較的低いので、日本企業にもっと注目して欲しいとの発言があった。

    (3)日本側のプレゼンテーションにおいては、未だ日本企業によるJIの実績はないものの、中・東欧諸国でF/S(フィージビリティー・スタディー)を行ってきた結果として、JIの実施には潜在的な可能性が高いこと、JIの実施にはリスクを伴うことから、各種公的補助制度があり、設備補助(アップフロント・ペイメント)の導入・活用等、その充実に努めていること、また、JIを担当する中・東欧諸国政府関係者等の人材育成や情報交換に対し支援を行っていること等について説明を行った。その他、海外事業から生じる排出量クレジット購入のために日本カーボンファイナンス⑭が設立されたことについて紹介があった。

    (4)RECよりは、中・東欧諸国における温室効果ガス削減約束の履行の現状や、欧州連合(EU)の排出量取引制度(EUETS)の開始が日本とのJIに与える影響を説明し、JIを通じた協力が有望と見込まれる国や分野等についての分析がなされた。

    (5)中・東欧諸国の参加者よりは、各国の環境対策やJI案件の承認プロセス、国内体制整備の状況、優先分野、日本以外の国とのJIの進捗状況等についてそれぞれ説明があった。

    (6)質疑応答セッションでは、今後の情報提供のあり方、JI実施に当たって政府間文書(MOU)が必要か、等といった点について活発な質疑応答が行われた。

  3. 評価

    (1)京都議定書が2月16日に発効した直後のタイミングで、京都メカニズムの1つであるJIについて、100名近くの日本企業関係者等が傍聴する中、中・東欧諸国の環境政策担当者と活発な意見交換を行ったことは、日本企業に対してJIに関する情報を提供するという観点から、有意義であり、日本と中・東欧諸国の間の協力関係強化に資するものとなった。

    (2)今回のワークショップを通じて、日本と中・東欧諸国とのJIは大きな潜在力があることが指摘されたが、同時にJIは、実際に案件を実施しようとしても、どの程度の排出量クレジットの獲得につながるかが分からない等といった不確実性が大きいことや、EUETSの開始が日本とのJI協力に制約要因となる側面もあること等が指摘された。このような議論を通じ、中・小規模の再生可能エネルギー案件(例:バイオマス)のように、優先分野やプロジェクトの規模を絞って、選択的に事業を実施すれば、有効な分野は充分あることが明らかになったが、これは、今後、関係者が実際に効果的にJIに取り組んでいく上での有益な参考となった。

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