1.気候変動枠組条約
(1)地球温暖化防止のため温室効果ガスの濃度を安定化させることが目的。現行条約では2000年以降の取り組みについては規定されていない。
(2)第1回締約国会議での決定(ベルリン・マンデート)に基づき、2000年以降の取組みを定める議定書を検討中。本年12月に京都で開催される第3回締約国会議での採択が目指される。(「京都議定書」)
2.議定書に関する日本政府提案
(1)温室効果ガスの排出抑制削減目的
- (イ)附属書I国(先進国及び市場経済移行国)は、2008年から2012年に、1990年の温室効果ガス排出量を原則5%削減する。以下の条件に当てはまる国はそれぞれ下記の削減率を採用する。
- (a)1990年のGDP当たりの排出量Aが、1990年の付属書1国全体のGDP当たりの排出量Bより低い国:削減率(%)=5%×(A/B)
- (b)1990年の一人当たりの排出量Cが、1990年の付属書1国全体の一人当たりの排出量Dより低い国:削減率(%)=5%×(C/D)
- (c)1990~95年までの人口増加率が、同時期の付属書1国全体の人口増加率を上回る国については、これを考慮した方式を作成する。
- (ロ)温室効果ガスには二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素を含む。
- (ハ)将来の技術革新、エネルギー事情、産業構造等の不確定要素を勘案し、条文には柔軟性をもたせるよう明記する。
(2)政策措置
- (イ)附属書I国は、(a)エネルギー利用の効率化、(b)非化石エネルギー等の導入、(c)革新的な技術開発、(d)国際的な技術協力及び技術移転、(e)吸収源及び貯蔵庫の保護及び強化の各分野において後刻定める附属書のうち適当な政策を採用し措置をとる。
- (ロ)締約国の会合は政策措置について指標を決定する。附属書I国はこの指標についての努力目標を設定する。
(3)途上国についての考え方
- (イ)2010年には途上国全体の総排出量は先進国のそれを上回ると見られており、中長期的には排出抑制を強化していく必要がある。
- (ロ)今次京都会議においては、現行条約上の既存義務の着実な進展を図る一方、今後の新たなマンデートを検討課題とする。
- (ハ)中進国については自発的参加による義務を求める。
- (ニ)途上国が必要とする資金、技術移転については、GEF、二国間援助等の既存の枠組みにより支援する。
(4)情報の提出及び検討
- (イ)附属書I国は排出抑制削減目的、政策措置等に関する情報を提出し、専門家チームが検討する。
- (ロ)排出抑制削減目的達成が困難な締約国には締約国会合が勧告を行う。