1.背景
我が国は、本年6月の国連環境開発特別総会において橋本総理大臣より、ODAを中心とした環境協力の包括的な中長期構想として「21世紀に向けた環境開発支援構想(ISD)」を発表した。その行動計画において、温暖化対策に関する支援が示されている。
本年12月に、京都において開催される気候変動枠組み条約第3回締約国会議の議長国として、ODAを中心とした温暖化対策途上国支援を一層強化するために、本構想の温暖化対策途上国支援策として、「京都イニシアティブ」を発表する。
2.京都イニシアティブの理念
(1)人類の安全保障(Global Human Security)
地球温暖化問題は、人類生存の脅威であり、広い意味での安全保障の問題である。
(2)自助努力と連帯(Ownership&Partnership)
温暖化対策は、途上国が主体的に取り組むとともに、地球的規模の問題解決のため先進国と途上国が共同して対処することが重要である。
(3)持続可能な開発(Sustainable Development)
開発と環境保全の両立を目指し、温暖化対策と経済開発の双方に資する適切な技術移転や資金協力を実施していく。また、貧困が環境破壊の要因となっている国においては、貧困からの脱却を図るための支援を行う。
3.京都イニシアティブの3つの柱
(1)「人づくり」への協力
平成10年度から5年間で、3000人の温暖化対策関連分野の途上国における人材育成に協力する。
- (A)大気汚染
- (B)廃棄物
- (C)省エネルギー
- (D)森林の保全・造成
(2)最優遇条件(0.75%、40年)による円借款
温暖化対策関連分野への協力を積極的に進めていくため、主として以下のような分野に対して国際的に最も譲許的な条件(金利0.75%、償還期間40年)の円借款を行う。
- (A)省エネルギー
- (B)新・再生可能エネルギー
- (C)森林の保全・造成
(3)我が国の技術・経験(ノウハウ)の活用・移転
我が国の公害・省エネ対策の過程での技術・経験(ノウハウ)を活用し、温暖化対策に関する途上国の実状に適合した技術の開発・移転、調査団の派遣やワークショップの開催を行う。
- (A)工場診断調査団の派遣
- (B)技術情報ネットワークの整備
- (C)途上国の実状に適合した技術の開発・移転
- (D)ワークショップの開催