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日本政府(議長国)提案の背景及び説明

平成9年10月17日
外務省
1.数値目標
(1)これまで数値目標を提示しているのは、EU及びAOSIS(小島嶼国)のみ。今回日本が発表した数値目標は、議長国として交渉を前進させる立場から、主要国の交渉の基礎になり得るようなものとして考えた提案である。

(2)その内容は、デンバーサミットコミュニケ及び国連環境特別総会で確認された原則である「意味があり、現実的で衡平な目標」

 (イ)「意味がある」目標
(i)「基準削減率1990年比5%削減、但し0~5%の範囲内で差異化等による調整」の結果、附属書・国各国とも1990年比削減(2008年から2012年の平均)となるが、このことは一部の国々(英、独など)を除き、2000年に1990年レベル安定化は困難との現実に照らせば意味のあること。法的拘束力のあることも、現在の気候変動枠組条約(2000年までに1990年比安定化は努力目標にすぎない)に比べて意味がある。
(ii)以上は、第I期の目標についてであり、第II期の排出量は第I期の排出量を越えないこととしている。第I期についての上記提案を第一歩として、2100年には世界人口一人当たりの二酸化炭素排出量を1トン以下とするという長期的な目標(IPCCによれば、同レベルが二酸化炭素の濃度の安定化のため不可欠)の達成を目指すもの、との位置づけ。
(iii)我が国の場合、差異化を行うことにより1990年比2.5%削減となるが、基準年を1990年ではなく、より実態に近づけて1994年と仮定した場合には、1994年比で約9%削減することとなる。また、2010年では排出量が1990年比で約21%増加する見通しであることを考慮すると、この見通しからの削減分は、1990年の約23%分にも相当することとなる。従って、産業、民生、運輸等の各部門での大きな努力が必要。
 なお、EU提案の「90年比15%減」は独の25%減、英国の10%減(いずれも1990年比)に起因するところ大であるが(独、英以外の13ヶ国では1990年比0.7%増)、94年比で考えれば、独は15%減、英国は5%減となる(注:今次日本提案は見方によっては厳しいものである旨強調)。

 (ロ)「現実的な」目標
(i)我が国について、個別の施策毎に二酸化炭素排出削減量の積み上げを行い、ぎりぎりの政策努力を積み重ねて排出量をようやく90年比ゼロにできるかどうかという状況。その政策措置としては、運輸部門において、自動車の燃費を2010年までに燃費を20%以上改善すること、民生部門において、家屋の断熱強化、冷房温度を28度、暖房温度を20度、新エネルギーを現在の3倍に増やす等が見込まれている。
(ii)今回の提案は、将来の技術革新、エネルギー事情、産業構造の変化等によって規定される、現状においては予測不可能な不確定な部分を含む。
(iii)各国の2010年までの二酸化炭素排出見通しは以下の通りであるが、右を考慮に入れれば、EU提案にいう一律15%削減より実現可能な、現実的な目標。

米国 23.4%増 (1990年比)
日本 20.9%増 (1990年比)(注1)
18.6%増 (1990年比)
1.5%増 (1990年比)
14.5%減 (1990年比)(注2)

       (注1)日本の数字については、エネルギー起源の二酸化炭素のみ
          (通産省二酸化炭素排出実績見通しによる)。
       (注2)独に関しては、2005年時点の値。

 (ハ)「衡平」な目標
(i)各国の置かれた経済的、歴史的な立場の違いに配慮するため、GDP当たり排出量、1人当たり排出量、人口増加率を指標として、差異化を可能なものとした。
(例)日本の場合:省エネ努力によるGDP比排出量は減(鉄鋼業界は、1973年から現在までにエネルギー原単位は、約20%削減等)。豪、加、米国の場合:移民増による人口増加。

2.途上国対応
 途上国については、現行条約上の義務の具体化、明確化につき途上国の合意を得るよう今後の交渉で求めていくも、ベルリンマンデートに従い新たな義務は求めない考え。他方、今後の排出量の増加見通しを踏まえ、排出削減努力への途上国の将来の参加を促していくと共に、途上国の温暖化への取り組みに対しても援助等を通じて側面支援を行うものである。

(1)現行条約上の義務の具体化・明確化
 2000年以降の取り組みについて、途上国に対し新たな義務を課さずに先進国及び市場経済移行国の条約上の義務を強化することを中心とした議定書を第3回締約国会議で採択するとしたベルリンマンデートを念頭において、途上国には新たな排出削減義務を導入せずに、今次議定書においては、現行の条約上課せられた義務を具体化・明確化していくことを提案。

(2)将来への参加
  他方、2010年には途上国の二酸化炭素排出量が先進国の排出量を越える見込みであることに鑑み、中長期的な途上国の関与が必要との観点から、京都会議での以下の合意を提案。
(i)より進んだ途上国の自発的参加 
(ii)京都マンデート等の形での将来の参加の検討のスタート

(3)支援措置
 GEF等多国間援助及び二国間援助を通じ、途上国の求める資金、技術移転を強化すると共に、これを通じ途上国の温暖化防止取り組みを支援していくことを提案。

目次


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