気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)における
外務大臣ウェルカム・スピーチ
平成9年12月1日
大木議長閣下、並びにご列席の皆様、
本日、気候変動枠組条約の第3回締約国会議の開催に当たり、我が国の古都、京都に皆様をお迎えできますことは誠に喜ばしい限りです。また、京都府、京都市をはじめとし、本会議の開催のために尽力された関係者の皆様に深く御礼申し上げたいと思います。
この美しい古都を訪れるとき、私は、祖先が偉大な歴史を築き上げ、それを我々に残してくれたことに心から感謝するとともに、ここで1200年の昔から歌人が詠み上げた歌を想い起こしつつ、自然を慈しむ人の心に改めて思いを強くいたします。我々の祖先は四季折々の移り変わりを繊細に感じ取り、自然とともに生活してまいりました。
地球温暖化問題は、我々がより快適で便利な生活を希求していく中で、自然に様々な負担を加え続けてきた結果、近年に至って急速に深刻なものとなってきております。この問題は、我々人類の子孫のみならず、我々を取り巻く生態系にも深刻な影響を与えずにはおきません。我々は、この問題を持つ意味を真剣に受け止め、自らの手で、このかけがえのない地球の環境を再生させて行かなければなりません。もちろん、それには困難や痛みを伴うことでしょう。しかし、今その取組を始めなければ、子孫にこの美しい地球を残すことはできません。どのような地球を築き、それを子孫に残すのか、それは今世界に生きる我々に課された歴史的責務であります。
この京都会議は、2000年以降の温暖化防止のため、地球全体として、温室効果ガスの排出をどれだけ抑えられるかをグローバルに取り決めるための重要な会議であります。具体的には、先進締約国による法的拘束力を持つ温室効果ガスの削減目標を合意する必要があります。また、今後一層の経済発展が見込まれる途上国についても、地球全体の将来を視野に入れた努力をお願いせねばなりません。その際、先進国から途上国への適切な支援も不可欠でありましょう。
振り返って見ますと、地球温暖化問題に世界が取り組み始めてから10年にも至っておりません。それにも拘らず、我々は2000年以降の温室効果ガスの排出削減という壮大な挑戦に挑むわけであります。我々のこの会議場での一挙手一投足を、全世界の人々が、固唾をのんで見守っています。
本日から始まる10日間は、これまでの準備会合での状況を踏まえますと、厳しい交渉の毎日となることが予想されます。しかし、人類の歴史を変え得る10日間であることを自覚し、議論を十分尽くし、世界の人々が待ち望む最終合意に達することを切に希望いたします。
ホスト国を代表いたしまして、京都会議の成功と、ここに集まられた皆様のご健勝を祈りつつ、開会の辞とさせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。