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地球環境

日本の国際防災協力


2005年1月18日
国連防災世界会議


会議成果の実施とフォローアップの重要性

国連防災世界会議(WCDR)を意味ある会議とするためには、世界の災害被害の実質的な軽減に向け、会議の成果文書となる「兵庫行動枠組」を踏まえ、加盟各国、国際機関他関係者により具体的行動が起こされ、適切にフォローアップされる必要がある。

我が国は、世界全体で災害に強い国・コミュニティづくりが促進されるよう、幾多の災害を経験して培った防災に関する知識や技術を最大限活用し、国際防災協力を積極的に推進する。


ODAを活用した防災協力イニシアティブ (概要全文

我が国は、ODA大国として、防災を含め世界の開発援助に積極的に取り組んできており、例えば、モルディブ共和国において、1987年から無償資金協力で建設した離岸堤や海岸護岸が、今回の津波被害を最小限にするなど、着実な効果を発揮している。

我が国は、開発援助を行う際に、防災の視点が取り込まれるよう「防災協力イニシアティブ」を提唱する。これに基づき、ODAを通じて、開発途上国の自助努力や、人づくりを支援する防災協力を積極的に行う。


アジア防災センターを通じた地域防災協力の強化

今般の地震津波災害からも明らかなように、災害のリスクを軽減するためには、同じような気象特性、地形・地質的条件を有する地域レベルでの緊密な協力関係は不可欠である。我が国は、アジアの一員として、世界有数の災害多発地域であるアジアにおける各国の連携を強化するため、神戸にあるアジア防災センターを通じた防災協力をさらに推進し、その成果を世界に提供する。

アジア防災センターは、パプアニューギニアにおいて、1998年のアイタペ地震津波の教訓を踏まえ、住民向けのわかりやすい津波パンフレットを作成し、普及・啓発を実施した。2000年に発生したマグニチュード8級の地震では、津波による死者は発生しなかった。このような防災協力プログラム等を通じ、アジア各国における本会議の成果を実践する取組みを支援していく。


国際レベルの連携プロジェクトの推進

(1) 災害復興過程における災害に強い国・コミュニティづくりの推進

 災害復興過程において、被災地における災害の脆弱性を検証し、次の災害に備える災害予防の観点を取り込んだ復興計画に基づいて、被災地域の復興開発を図る必要がある。防災の観点を組み込まない開発や災害復興を繰り返すだけでは、貧困と災害の悪循環から脱することはできず、持続可能な開発を達成することは困難となる。

 このため、災害復興過程における災害に強い国・コミュニティづくりを多様な分野、多様な主体間の連携、調整により包括的に推進する国際協力の仕組みを、国連の適切な関与の下に構築する必要がある。

 我が国は、阪神・淡路大震災をはじめ、幾多の災害からの復興過程で得た教訓やノウハウを積極的に活用し、UNDPやISDR、OCHA、アジア防災センターと連携しつつ、国際的な復興支援の活動を、兵庫県神戸市を拠点として推進する。

(2) 国際洪水ネットワーク(IFNet)の推進

 世界で頻発する洪水被害を軽減するため、一昨年我が国が主催した第3回世界水フォーラムを機に発足した国際洪水ネットワーク(IFNet)の活動を推進し、各国の団体や世界気象機関(WMO)等の国際機関等と協力して、洪水対策に関する情報の共有を図る。

(3) 水災害・リスク管理に関する国際センターの設置

 国連教育科学文化機関(UNESCO)の協力により水関連災害とそのリスク管理に関する研究、研修、情報ネットワーク活動を行う「ユネスコ水災害・リスクマネジメント国際センター(仮称)」を日本に設置することについて、本年秋のユネスコ総会で承認を得るべく取り組む。

(4) 地球観測サミットにおける災害対策の推進

 一昨年のG8サミットで日本が提案した地球観測サミットについて、衛星データの共同利用等を通じ、異常気象現象の探知、災害状況の迅速かつ的確な把握が可能となるよう貢献する。


防災に関する情報集(Portfolios for Disaster Reduction)の構築

我が国は、WCDRの成果をフォローアップする具体的なツールとして、国連において、「防災に関する情報集(ポートフォリオ)」といった、情報共有の仕組みを設けることを提案。

具体的には、次のような内容の情報の共有が有効と考える。

(1) 防災行動集(Portfolio of Disaster Reduction Actions)  加盟各国や国際機関等が「兵庫行動枠組」に基づいて実施する主体的な防災行動の内容を紹介し、会議成果の具体化の進捗状況を国際社会で共有する。

(2) 優良事例・教訓集(Gallery of Best Practices and Lessons Learnt for Disaster Reduction)  「兵庫行動枠組」を各国が実施していく際の参考になる、世界でのこれまでの防災行動における優良事例や教訓を紹介する。災害被害の軽減に実質的な効果が認められるノウハウや教訓の共有を通じて、世界の防災行動が促進されることが期待される。

(3) 防災技術集(Catalog of Technologies for Disaster Reduction)  防災に関する既存の技術や今後研究開発すべき技術に関する情報を広く国際社会で共有する。特に低コストでも、扱いやすい技術であれば、普及しやすく、高い防災効果を望むことが可能である。


「防災に関する情報集」は、加盟各国をはじめ多様な関係主体によりインプットされ、更新されてこそ、意味を持つものであり、各国の自発的な協力を期待する。


国連における防災協力機能の強化~会議成果の効果的なフォローアップ~

「兵庫行動枠組」の具体化についての達成状況を適切にフォローアップする仕組みを国際社会の中で確立していくことが重要。

その際、既存の国連機関の能力を最大限活用し、関係機関の間の連携・調整を強化することが望ましく、機関間の活動の重複は整理されることが適当。

そうした国連の努力の下に効率的、効果的なフォローアップが行われるよう、我が国もISDR事務局などの活動に対する支援を続けていく。

アナン事務総長の提案で設立された、国連水と衛生に関する諮問委員会において水災害に関する議論が進展することを期待。

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