2005年NPT運用検討会議第3回準備委員会
軍縮・不拡散教育に関する作業文書(仮訳)
(共同提出国:エジプト、ハンガリー、日本、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、ポーランド、スウェーデン)
- はじめに
この作業文書の目的は、エジプト、ハンガリー、日本、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、ポーランド及びスウェーデンによって第2回NPT準備委員会に提出された軍縮・不拡散に関する作業文書(NPT/CONF.2005/PC.・/WP.18)を発展させ、政府、国連、その他の国際機関、市民社会及びNGOが、教育及び研修プログラムにNPTに関する情報を含めることを推奨することである。昨年の文書は、共同提出国が、第3回準備委員会においてより詳細な作業文書を提出することに言及していた。
昨年提出された作業文書は、国連が実施した軍縮・不拡散教育に関する研究の背景の概要について説明している。2000年11月20日、国連総会は、「軍縮・不拡散教育に関する国連の研究」と題する決議55/33Eを無投票で採択した。決議では、事務総長が、政府専門家グループの協力を得てこの問題に関する研究を準備し、第57回会期総会に報告を行うように要請していた。
2年間の準備の後、この研究(A57/124)は、2002年10月9日、第57回会期の第一委員会に提出された。2002年11月22日無投票で採択された「軍縮・不拡散教育に関する国連の研究」と題する決議57/60の中で、国連総会は、この研究に含まれた勧告は、加盟国、国連、他の国際機関、市民社会、NGO及びメディアによって適宜実行されるべきものとし、事務総長に対して、国連総会第59回会期に勧告の実施状況を報告することを要請した。更に、国連の研究の勧告33は、加盟国及び軍縮担当事務次長が、国連総会第一委員会での発言の中にこれらの勧告の結果に関する情報を含めるよう奨励している。
- 背景
現下の不安定な安全保障環境においては、大量破壊兵器の危険性とそれを乗り越えるための手段について人々に伝えるべき差し迫った必要性がある。長期的に継続する平和は、紛争の原因と平和的解決方法に関する深い理解を共有することによってのみ確保される。この点において、教育は、重要であるが、将来の世代の軍縮・不拡散を強化するために十分に活用されていない手段である。
軍縮・不拡散教育及び研修の全体の目的は、知識と技術を個人に伝えることによって力を与え、国民及び世界市民として具体的な軍縮・不拡散措置の達成に貢献させることである。軍縮・不拡散教育は、特にNPTにおける軍縮・不拡散義務の完全実施に向けて前進するために重要である。軍縮・不拡散教育は、これまで蓄積されてきた知識の継続を可能にし、NPTに関連する仕事をしている者が、条約やNPT体制全体について理解することを手助けする。更に、軍縮・不拡散教育は、核兵器がもたらす危険性に関するNPT締約国の認識を高めることに資すると共に、政府、外交官及び国際機関が、この目的のために実施してきている活動について一般の人々に情報提供を行う。
- 実施
共同提出国は、
- 1978年に、第1回軍縮特別総会(SSOD・)として知られる、第10回国連特別総会が、軍縮教育の緊急性を宣言した最初の国際会議であること想起し、同会期中に提案されたフェローシップ・プログラムが継続していることを歓迎する。
- 軍縮教育の発展に対して特別な力点を置かれるべきとするUNESCO軍縮教育世界会議の最終報告の重要性を認識する。
- 締約国に対し、教育及び研修活動を通じてNPTの目的を促進する上での締約国、国際機関、NGO及び学術機関の役割と責任を認識することを推奨する。
- 軍縮・不拡散教育に関する国連報告を歓迎する。また、特に、
- 各国が取り得る特定の立場に拘わらず、国連の研究に含まれる勧告が実行可能であることを認識し、国家、集団及び個人が適切かつ実行可能な範囲でこれらを実施していくことを奨励する。
- 各国政府に対し、たとえ小さくても報告書に含まれた勧告を実施し、それにより、草の根レベルでの軍縮・不拡散教育のモメンタムを集めるに向けて具体的な措置を取るべく努力することを奨励する。
- 軍縮・不拡散についての膨大な資料が既に存在し、増え続けていることを認識すると共に、それらをできるだけ広く伝えていくために、整理して、使いやすい形で利用可能とする必要があることを再確認する。
- 2005年NPT運用検討会議が、国連の研究に高いレベルの重要性を付与することを奨励する。
- 国連軍縮局の援助の下での、軍縮・不拡散教育に関する国連関連機関の間の横断的グループの創設及び多くの国連関連機関による軍縮・不拡散に関する資料の作成を歓迎する。
- 前述の宣言や文書にも拘わらず、現在、入手可能な情報の豊富さに言及するまでもなく、軍縮・不拡散教育分野においては、教材の翻訳、照合、普及及びこれらを異なる聴衆や社会経済グループのために様々なレベルにおける教育に含める更なる努力が求められていることに注目する。
- NPTへの理解をより深める観点から、締約国が、締約国自身、NGO及び学術機関の専門知識を使い、国連、国連軍縮局及びIAEAを含む関連国際機関と共に、可能な立場にある他の締約国の協力を得て、NPT運用検討会議の結果及び条約実施に向けた各国の取り組みに関する情報を含む教育・研修プログラム及びワークショップを開催することを奨励する。
- 締約国が、教育機関における軍縮・不拡散の文化を醸成するという研修目的のため、拡散の結果及び課題並びに軍縮の重要性を扱った教材を発展させ且つ普及させていくことの必要性を認識することを奨励する。
- 他国が、この作業文書を支持すると共に、軍縮・不拡散分野における自らの取り組みに関する情報を、2005年運用検討会議で自発的に紹介することを奨励する。
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