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軍縮・不拡散


NPT運用検討会議第3回準備委員会の概要


平成16年5月7日


 4月26日より5月7日まで、ニューヨークの国連本部において2005年NPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議第3回準備委員会が開催された。議長は、スジャトナン・インドネシア外務次官が務め、我が国からは、美根軍縮代表部大使(代表団長)、高須在ウィーン代表部大使、天野軍科審他が出席した。


1.今次準備委の位置づけ

(1) 今次準備委員会は、2005年の次回運用検討会議に向けた準備プロセスの一環であり、2002年の第1回準備委員会及び2003年の第2回準備委員会に引き続いて開催された。2000年運用検討会議最終文書において、今次準備委員会ではこれまでの準備委員会の議論の成果等を踏まえつつ、運用検討会議への「勧告」(recommendations)を含むコンセンサス・レポート(以下「報告」と言う)を作成するよう努力することが求められていた。

(2) 今次準備委員会は、昨年に引き続き、北朝鮮やイランの核問題が国際的に注目を集め、また、ブッシュ政権の核政策に非同盟諸国等が批判を強める中で行われた。この様な状況下、2005年の運用検討会議に向けて条約実施を促進し、如何にしてNPT体制の堅持・強化を図り得るかが今次準備委員会の課題であった。


2.準備委の結果

 非同盟諸国を中心とする非核兵器国と核兵器国との間の意見対立等の結果、今次準備委の「報告」案の全てに合意を達成することはできず、合意の成立した部分(主な決定については下記3.参照)のみを「報告」として2005年運用検討会議に送ることとなった。「報告」案の内、未合意の手続き事項(暫定議題、背景文書)及び合意に至らなかった実質事項に関する「勧告」については、準備委議長が議長ペーパーとして取りまとめ、これらが合意されていないことを明記した上で提出することとなり、また、「報告」案の関連で各国又は地域グループから出された諸提案は、作業文書として「報告」に言及されることとなった。この「報告」案とは別に議長により作成された議長総括(今次準備委員会での議論の概要を議長が自らの責任でとりまとめたもの)についても、作業文書として「報告」に言及されることとなった。


3.2005年運用検討会議に関する主な決定事項

(1)日程:5月2日~27日
(2)場所:ニューヨーク
(3)議長:デュアルテ・ブラジル軍縮・不拡散担当大使


4.我が国の対応

(1) 今次準備委員会に先立ち、我が国は本年3月末にジャカルタにおいてNPTに関するワークショップをインドネシアと共催し、ワークショップにおける集中的かつ幅広い議論を通じて今次準備委員会の事前準備に貢献した。

(2) 我が国は、一般討論演説及び各議題毎の演説を行うと共に、我が国の立場を包括的に述べた作業文書並びに核軍縮及び95年中東決議の履行に係る報告を提出した。

(3) 北朝鮮の核問題に関して、早い段階から米国及び韓国と密接に調整を図り、我が国の立場を議長総括に反映させるべく、他の六者会合の当事国である中国、ロシア、更には議長等と協議を重ねた結果、下記5.(1)(イ)の通り、議長総括に我が国の基本的考え方が反映された。

(4) 軍縮・不拡散教育に関し、我が国は同作業文書の共同提案国8カ国のコーディネーターとして、美根慶樹軍縮代大使より同作業文書の紹介を行った。また、我が国は同作業文書の趣旨を踏まえ、我が国の具体的な取組みを紹介する作業文書も併せて提出した。

(5) 我が国は、IAEA保障措置の強化・効率化を早期に実現するため、IAEA追加議定書の普遍化を重視するとの主張を行った。今次準備委員会期間中にEU15カ国が追加議定書を締結するとの成果があった。また、我が国はこれまで様々な普遍化努力を行ってきたが、準備委期間中にもIAEAが開催した説明会にて高須幸雄ウィーン代大使より参加者に対し追加議定書普遍化の必要性を訴えた。


5.議長総括の要旨

(1) 地域問題

(イ) 北朝鮮
 締約国は、北朝鮮の核計画に大きな懸念を表明した。締約国は、北朝鮮に対し即時にNPTを遵守するように求めた。北朝鮮は完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄を即時に約束し、履行することを求められた。締約国は、朝鮮半島は非核化されなければならないことを強調。締約国は、現行の六者会合の枠組み内での外交的・平和的手段を通じた本問題の解決の重要性を強調。

(ロ) イラン
 イランの追加議定書の署名及び暫定実施の約束を歓迎しつつも、早期批准を要請。3月のIAEA理事会に提出した事務局長報告において、イランはIAEAと活発に協力してきている点が認められているが、同時に、懸念事項に焦点が当てられている。3月のIAEA理事会決議に従い更に明確にすることが必要とされていることに留意。

(ハ) リビア
 大量破壊兵器及び運搬手段の開発計画を廃棄するとのリビアの自発的な決定を歓迎。前向きな一歩であることを認めつつも、開発計画の進展につき懸念は残っている。リビアのCTBT批准、追加議定書の署名等を歓迎。追加議定書の早期批准の実現を奨励。

(2) 核軍縮

(イ) CTBTの早期発効及び核実験モラトリアムの重要性を強調。

(ロ) カットオフ条約の即時交渉開始、兵器用核分裂性物質の生産モラトリアムを要請。

(ハ) モスクワ条約は肯定的な第一歩であり、米露に対してこれを透明かつ検証可能な条約にすることを求める。

(ニ) 非戦略核兵器の更なる削減の重要性を強調。

(3) 核不拡散
 包括的保障措置協定及び追加議定書の重要性を強調。追加議定書の普遍化の必要性を再確認。効果的な輸出管理及び包括的保障措置が原子力の平和的利用の協力にとって重要であることを強調。

(4) 原子力安全とセキュリティ
 核テロ防止の必要性を再確認するとともに、IAEAの既に行っているイニシアチブを強く支持。核セキュリティ基金への拠出の重要性を強調。原子力安全、放射線源防護、放射性廃棄物管理の安全、安全な放射性物質の輸送の重要性を強調。

(5) 原子力の平和的利用
 IAEAが実施している技術協力活動に対する支持を表明。同活動を更に発展させるために十分な資金がIAEAに供与されることの重要性を強調。

(6) 消極的安全保証(NSA)
 非核兵器国は核兵器国による核兵器の使用又は威嚇から効果的に保証されるべきであることを再確認。

(7) 非核兵器地帯
 中央アジア非核兵器地帯に関して、中央アジア諸国と核兵器国との協議が良い成果をもたらすことへの希望を表明。

(8) 条約の普遍性
 インド、イスラエル、パキスタンに対し、非核兵器国として即時かつ無条件にNPTに加入することを求めた。

(9) 軍縮・不拡散教育
 軍縮・不拡散教育はNPTの軍縮・不拡散義務の完全履行の強化に重要であることに合意。



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