(仮訳)
核軍縮に係わる日本の報告
(NPT第6条及び1995年の「核不拡散及び核軍縮のための原則と目標」決定のパラグラフ4(c)の実施に係る日本の報告)
2003年5月5日
2000年NPT運用検討会議最終文書にて全ての締約国が核軍縮及び中東に関する「定期報告」を提出することが合意された。この合意を受け、日本は、2002年の第1回準備委員会に引き続き、2003年の第2回準備委員会においても、以下の報告を提出した。
- 2000年NPT運用検討会議最終文書のNPT第6条に関する章のパラグラフ15のサブパラグラフ12に従い、NPT第6条及び1995年の「核不拡散及び核軍縮のための原則と目標」決定のパラグラフ4(c)の実施について日本が採った措置について報告する。
2005年NPT運用検討プロセスの円滑かつ成功裡の開始への貢献
- 日本は、2005年NPT運用検討会議第1回準備委員会及び今次第2回準備委員会において、核軍縮、核不拡散、及び原子力の平和利用に係る日本の立場を作業文書で明確に示した。
包括的核実験禁止条約(CTBT)早期発効に向けた努力
- 日本は、国際原子力機関(IAEA)の保障措置と共にNPT体制の主たる柱の一つを成すCTBTの早期発効の重要性を強調する。この観点から、日本は、以下を含む様々な外交努力を行ってきた。
(i) |
2002年9月14日、川口順子外務大臣は、豪、蘭の外相と共に、CTBTフレンズ外相会合を共催した。同会合には、CTBT批准国の外相が参加し、可及的速やかなCTBTの署名・批准を求める呼びかけを含む外相共同声明を発出した。
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(ii) |
日本は、国際監視制度(IMS)の一環として、国内に設置される監視施設の建設を順次始めると共に、CTBT国内運用体制を立ち上げた。
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(iii) |
また、IMS設立のための地震探知技術分野での技術協力を供与する等、CTBT未批准国の批准を促した。
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兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)交渉開始のための準備努力
- ジュネーブ軍縮会議における軍縮代表部大使の演説で改めて述べたように、日本は、CDにおけるFMCT交渉の開始の重要性と緊急性を強調する。また、2003年3月、日本は、豪、UNIDIR(国連軍縮研究所)と共にワークショップ「多国間における軍備管理条約の検証促進」を主催した。FMCT交渉開始に向けての機運を維持、強化するため、約120名の参加者が、将来の検証体制全般について、また、特にFMCTに関する実質的な議論を行った。
国連総会に核軍縮決議案提出
- 1994年以来1999年まで毎年、日本は、国連総会に核兵器の究極的廃絶を呼びかけた決議案を提出。2000年以降、2000年NPT運用検討会議の最終文書にて合意された核軍縮に向けた13の実際的措置を反映させた「核兵器の全面的廃絶への道程」決議案を提出している。核兵器の無い平和で安全な世界の実現を目指す日本の決議案は、国際社会の圧倒的多数の支持票を得て採択されてきている。
ロシアに対する非核化協力
- 2002年6月、カナナスキス・サミットにおいてG8首脳は、不拡散、軍縮、テロ対策及び原子力安全の問題に対処するために「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」を発表した。日本は、本構想のために、当面2億ドル余りの貢献を行うことを表明した。そのうち1億ドルは、G8の対ロシア余剰プルトニウム処分プログラムに拠出される。2003年2月、日本とロシアは、G8グローバル・パートナーシップの下で日露の最初の協力プロジェクトとなるヴィクターIII級原潜解体事業を実施することを決定した。
軍縮・不拡散教育の促進のための努力
- 2002年8月、国連軍縮・不拡散教育専門家グループは軍縮教育に関する報告書を国連事務総長に提出した。この報告書の実施を求める決議案が第57回国連総会において無投票で採択された。日本は、この報告書の勧告を実現させる努力の一環として、2002年11月、著名な軍縮教育家を招聘した。同人は、本邦滞在中、東京、広島、長崎の高校で核軍縮の必要性に関する講義を行うとともに、被爆者やNGOとの意見交換を行った。
- 日本は、1982年以来、450名以上の国連軍縮フェローシップの参加者を日本に招聘している。将来の軍縮外交を担う若手の参加者は、広島・長崎を訪問し、原爆がもたらす恐ろしく且つ長く続く影響を体感する機会を得ている。日本は、これまで同様同プログラムに貢献していく。
- 国際社会に対し、原爆の破壊的な影響につき十分な情報を提供すべきである。核兵器が再び使用されないとの日本国民の願いを踏まえ、日本政府は、2002年11月から2003年3月までカナダのオタワにおいて開催された広島・長崎原爆展を含め、様々な機会に地方自治体とNGOの海外における原爆展開催努力を後援している。
- 日本の軍縮・不拡散に関する現状を説明し、同問題に対する幅広い理解と支持を得るため、日本政府は、「日本の軍縮外交」と題する本を発行した。
非核三原則
- 日本は、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの非核三原則を堅持している。小泉総理を含むこれまでの歴代の内閣は、累次にわたり今後とも非核三原則を堅持していく旨表明している。
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