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平成15年5月9日
軍備管理軍縮課 4月28日より5月9日まで、ジュネーブの欧州国連本部においてNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議第2回準備委員会が開催され、105の締約国が参加した。議長は、モルナール・ハンガリー国連代大使が務め、我が国からは、猪口軍縮代表部大使(代表団長)、高須在ウィーン代表部大使、天野軍科審他が出席した。 1. 今次準備委の位置づけ (1)今次準備委は、2005年の次回運用検討会議に向けた準備プロセスの一環であり、昨年開催された第1回準備委員会と同様に、「条約の完全実施と普遍性を促進するための、原則、目標、方途を検討する」ことがその主目的であった。 (2)今次準備委員会は、北朝鮮のNPT不遵守とNPTからの脱退宣言、そしてイランによる原子力活動に係る懸念が国際的に問題となるなどの厳しい環境の中で行われた。 (3)この様な状況下、2005年の運用検討会議に向けて条約実施を促進し、如何にしてNPT体制の堅持・強化を図り得るかが今次会合の課題であった。 2.議論のポイント (1)地域問題 (イ)北朝鮮 北朝鮮を巡る核関連問題に関し種々の懸念が表明され、締約国は、北朝鮮のNPT脱退の決定は国際核不拡散体制に対する深刻な挑戦であるとして、核兵器開発計画を早期の、検証可能で、かつ不可逆的な方法で廃棄すること、NPT上の義務である保障措置を遵守すること等を求めた。また、北朝鮮問題は平和的に解決されるべきであり、この観点から先般北京にて行われた3者協議を歓迎すると共に、今後関係国の参加を含む多国間による解決が図られるべきであるとの見解が広く表明された。北朝鮮の正当な安全保障上の懸念は手当されるべきとの見解も一部の国より示された。 (ロ)イラン 多くの締約国がイランに締約国の信頼を高め、また懸念を払拭するため、IAEAに全面的かつ前向きに協力し、可能な限り早急に追加議定書を締結することを求めた。 (2)核軍縮 (イ)米露モスクワ条約(2002年5月署名)については、我が国を含む幾つかの国がこれを歓迎したが、配備からの撤去は核兵器の不可逆的削減に代替するものではないとの見解も示された。 (ロ)CTBTの早期発効、核実験モラトリアムの継続、FMCT交渉の早期開始、非戦略核兵器の削減と透明性措置が広く主張された。 (ハ)米は、核実験モラトリアムを引き続き維持し、核実験を再開することは考えていない旨、また、新たな核兵器は開発していない旨述べた。英、仏は、一方的核軍縮措置について述べた。 (3)核不拡散 IAEA保障措置が重要との認識の下、包括的保障措置協定及び追加議定書の普遍化の重要性が強調され、追加議定書の普遍化に向けたIAEA及び関心国のこれまでの努力が歓迎された。 (4)軍縮・不拡散教育 軍縮・不拡散教育は、未来の世代にとって軍縮・不拡散体制を強化する観点から重要とされた。 (5)原子力安全とセキュリティ 核テロ防止基金への拠出等によるIAEAへの協力の必要性が確認された。放射線源のセキュリティ強化の重要性が強調され、本年3月の国際会議の成果が歓迎された。 (6)原子力平和利用 輸出管理、IAEAを通じた技術協力の重要性が強調された。この関連で、強化された保障措置の履行が原子力に係る国際協力の前提条件であることが認識された。 3.我が国の対応 (1)我が国は、一般討論演説及び各議題毎のステートメントを行うと共に、我が国の立場を包括的に述べた作業文書並びに核軍縮及び95年中東決議の履行に係る報告を提出した。 (2)北朝鮮問題に関して、早い段階から米国、韓国、中国等の関係国と調整を図り、我が国の立場を議長サマリーに反映させるべく関係国及び議長と協議を重ねた結果、議長サマリーに我が国の基本的考え方が概ね反映された。 (3)東ティモールのNPT加入については、4月24日の矢野副大臣よりのホルタ東ティモール外務・協力上級大臣への働きかけ及びこれに対する前向きの回答につき猪口軍縮代大使が一般討論演説で具体的に紹介し、更に今次会合開催中(5日)に東ティモールの加入が実現したことをいち早く報告し、各国よりは相次いでこれを歓迎する旨の発言がなされた。 (4)我が国は、IAEA保障措置の強化・効率化を早期に実現するため、IAEA追加議定書の普遍化を重視するとの主張を行い、各国ともこれまで以上に追加議定書の普遍化の必要性を強調していた。また、昨年12月のIAEA保障措置強化のための国際会議の主催等IAEA追加議定書普遍化に向けて我が国が行ってきた努力に対して、複数国より名指しで評価が示された。 (5)軍縮教育に関し、我が国は同作業文書の共同提案国のコーディネーターに指名され、猪口軍縮代大使より同作業文書の紹介を行った。 4.今次準備委員会に対する評価 (1)今次会合は北朝鮮の核問題、イランの原子力活動に係る疑惑等の厳しい問題に直面した会合であったが、加盟国はこれらの問題を取り上げる一方で、条約の普遍化、核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用等の従来の課題についても各国の考え方を述べ、全体的にバランスの取れた会合となった。 (2)今次会合においては、各国から提出された報告の数は昨年に比べて増加し、これら報告や各国ステートメントに基づき、昨年に比べてより活発な議論が行われたことは、相互理解や透明性の向上に役立ったと考えられる。 |
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