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軍縮・不拡散


軍縮・不拡散、核兵器廃棄支援分野における
日本国政府とロシア連邦政府との間の協力の促進に関する覚書


 日本国政府及びロシア連邦政府(以下「双方」という。)は、ロシアにおける核兵器の安全な処理及び廃棄をはじめとする大量破壊兵器の拡散防止が、現在の国際社会における共通の課題であるとの共通の認識の下、日本国政府が1993年以降日露核兵器廃棄協力委員会(以下「委員会」という。)を通じ約3千5百万ドル相当の核軍縮プロジェクトに対し資金協力を実施してきたことを踏まえ、以下の共通認識に達した。

 日本国政府は、今後、この関連で、ロシアに対する協力の継続として、ロシア極東の原子力潜水艦解体、国際科学技術センター(ISTC)の活動、ロシア連邦における余剰兵器プルトニウム管理・処分といったプロジェクトに対し資金協力を行う意向である。

 ロシア連邦政府は、日本国政府による支援の枠組みにおける協力の発展のため、税制上の特典及び許認可の付与並びに諸問題の迅速な解決のために努力する。

1. ロシア極東における退役原子力潜水艦の解体処理の分野における協力
 双方は、極東におけるロシアの退役原子力潜水艦の安全な解体処理は、軍備管理・軍縮の観点のみならず環日本海地域の環境保護の観点からも国際的に重要かつ緊急の課題となっているとの立場である。この関連で、この課題に適切に対処することは、日露両国のみならずアジア太平洋地域全体の安全にとり大きな意義を持つ。
 双方は、1999年7月26日の委員会総務会の決定に従い、委員会の財源により、優先順位に従い列挙された以下のプロジェクトのそれぞれにつきプロジェクト・スタディーを着実に実施するとともに、今後これらに続く新たなプロジェクトの選定作業に入る。
長期間係留されている多目的原子力潜水艦からの使用済み核燃料の搬出、その輸送・密封用コンプレックスへの搬入、ズヴェズダ船舶修理工場における使用済み核燃料の貯蔵施設の建設及びボリショイ・カーメニとスモリャニノヴォとの間の鉄道の再建
ズヴェズダ船舶修理工場におけるヴィクター級原子力潜水艦1隻の解体
原子力潜水艦より搬出した使用済み核燃料の入った輸送・密封用コンプレックスを鉄道車両への積載地点に搬送するためのコンテナー船としてのタンカー「ピネガ」の改造
2. ウラジオストク地区における液体放射性廃棄物処理施設(「すずらん号」)の建設の終了
 双方は、日本国政府が委員会に拠出した資金を用いて建設されたウラジオストク地区における液体放射性廃棄物処理施設(「すずらん号」)の建設が終了したことを、ロシアの退役原子力潜水艦から生じる液体放射性廃棄物の安全な処理の確保に大きく貢献するものとして、歓迎する。このプロジェクトが実現する際には、日本海における環境保護状況の改善及び環境面の安全水準の向上を促進するとともに、生態系にとって安全な環境の確保に資することとなる。
3. ロシア連邦における軍民転換促進に係る協力
 双方は、ロシア国内における軍民転換の促進は、軍縮の促進のみならず、産業設備及び人的資源の有効活用を通じてロシア国内経済の構造改革にも資するものであるとの見解を共有する。双方は、こうした見解に基づき、以下の分野において作業を継続する意向である。
(1) 国際科学技術センター(ISTC)の積極的活用
 日本国政府は、ロシア国内における軍民転換を実際に進める上で、過去に大量破壊兵器及びミサイル運搬システムの開発に従事していた科学者の民生部門への転換とこれら科学者の経済的自立が不可欠であるとの認識の下、この分野で重要な役割を果たしているISTCの活動を引き続き積極的に支持する。ロシア連邦政府は、日本国政府の取組を評価するとともに、この分野の協力プロジェクト実施のため、ロシア政府とISTCの間の調整作業に特別な配慮を払うことを確認する。
(2) 軍人再教育支援の拡充
 日本国政府は、ロシア極東における退役軍人及び退役予定軍人の民間部門への転職を支援することを目的とし、「日本センター」におけるセミナーの活動及び同セミナー成績優秀者を対象とする訪日研修プログラムを拡充する。
 この分野における日露協力の更なる促進のため、ロシア連邦政府は、ウラジオストクに「軍人再教育センター」を設置する意向であり、これに対し日本国政府は、同センターにおける研修の実施のための専門家の派遣及び必要な機材の供与につき協力する用意があることを表明する。
4. 余剰兵器プルトニウムの管理・処分の分野における協力
 双方は、振動充填燃料の製造、同燃料の高速炉BN-600における照射試験及び高速炉BN-600のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を装荷した炉心の特性データの整備をはじめとして、ロシアの高速炉BN-600においてMOX燃料を燃焼させるための研究協力が日露の関係機関の間で活発に進展していることを歓迎する。
 双方は、高速炉BN-600を活用することにより、ロシア連邦における余剰兵器プルトニウム処分を促進する用意を表明する。双方は、二国間での協力を継続するとともに、この問題をG8の枠組みで検討することも通じて、余剰兵器プルトニウムの安全な管理と処分の方法を探求する努力を行う。
5. ロシアによる1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約附属書1993年改正の受諾
 ロシア連邦政府は、日本海を含むロシア周辺の海域における環境保護のため、1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約附属書の放射性廃棄物その他の放射性物質の海洋投棄の禁止に関する1993年改正をできる限り早期に受諾するよう努力する。また、ロシアはそれまでの間、放射性廃棄物の海洋投棄を停止する。

2000年9月4日
東京
日本国政府のために
ロシア連邦政府のために
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