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カットオフ条約の関連問題の多様性・複雑性を考えると、交渉には幅広い技術的専門性と、困難な政治的判断を要する。軍縮会議の膠着を打開し、5年以内の終結を目標に交渉を開始することが緊急の優先課題である。
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(2) |
カットオフ条約の関連問題は、3つ、即ち(1)条約の対象範囲、(2)検証を含む技術的検討、(3)組織的・法的事項に類型分けすることができる。将来の交渉のためには、これらを更に、法的・政治的事項と技術的事項に分けることができる。
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(3) |
シャノン・マンデート(1995年に合意済みの交渉マンデート)は、兵器用分裂性物質の生産禁止を求めるものであり、平和利用の核分裂性物質を禁止の対象からはずしていることは明白である。この問題が再度問われるべきではない。
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(4) |
交渉は、将来の生産に焦点を当てた幅広い技術的検討を伴う。検証制度が作られなければならない。将来の生産禁止をストックの問題と結びつける交渉上の戦術は、無用に交渉を長引かせることとなり、核不拡散・核軍縮に対して有害である。技術問題は条約の枠組みが決まるまで議論できないというような主張は、適切ではない。
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(5) |
検証制度については、包括的アプローチを取るべきか、限定的アプローチを取るべきかという重要だが難しい問題が存在する。この問題についての解答を見つけるためには、安全保障上の便益、秘密の保護、検証の実効性、コスト効率性等の要素について検討されなければならない。
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(6) |
基本的には、包括的保障措置及び追加議定書により定められるIAEA保障措置が将来の検証制度の検討のための基礎となり得ると考えられる。原則的には、包括的保障措置及び追加議定書を締結している非核兵器国に対して、追加的義務が課されるべきではない。
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(7) |
技術的検討の複雑性に鑑み、CTBTの検証制度についての技術的検討のために設置されたものと類似の専門家グループを設置するとの考えは、将来の交渉のための共通の知的基礎を整えるとの観点から、真剣な検討に値する。
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(8) |
検証制度の交渉を促進する観点から、IAEAの経験、専門知識、インフラを、カットオフ条約の枠組みと目的に適合する形で、十分活用することは有益である。組織事項については、カットオフ条約の検証制度が将来的には、核軍縮を検証し、究極的に核兵器のない世界を確保するための組織になる可能性の観点からも、検討されるべきである。
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