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軍縮・不拡散


CTBT検証技術の民生及び科学への応用に関するシンポジウムの開催
(日本、ドイツ及びベルリン日独センター共催)

平成16年5月

1.開催概要

 5月10日、11日、ドイツのベルリンにおいて、「包括的核実験禁止条約(CTBT)検証技術の民生及び科学への応用に関する専門家による議論」と題するシンポジウムが開催された。本シンポジウムは、在ウィーン日・独両代表部及びベルリン日独センターの共催、CTBTO準備委員会暫定技術事務局(PTS)の協力で行われ、共催国である我が国とドイツのほか、オーストリア、カナダ、中国、フランス、インドネシア、イスラエル、ベトナム、英国、米国(このうち、中国、インドネシア、イスラエル、ベトナム、米国は未批准の発効要件国)からの専門家及び各国代表、国際機関としてPTS及び世界気象機関(WMO)から合計59名が参加した。我が国からは、高須在ウィーン代表部大使(CTBTO準備委員会議長)、山本気象庁地震津波監視課長、茅野日本原子力研究所東海研究所環境科学研究部長他が参加した。


2.目的

 CTBTでは、締約国による条約の遵守状況について検証するため、国際監視制度(IMS)を設け、世界321か所に設置される地震、水中音波、微気圧振動、放射性核種の4種類の監視観測所により、CTBTにより禁止される核兵器の実験的爆発または他の核爆発が実施されたかどうかを監視し、その監視データは、データの解析結果とともに、ウィーンに設置される国際データセンター(IDC)から各締約国に提供されることとなっており、現在、CTBTの発効を目指して、これらの検証体制・技術の整備を進めている。今回のシンポジウムでは、このようなCTBTの検証技術を、核爆発などの監視以外の、科学研究や防災・地球環境保護などの民生目的へ応用することについて、各国専門家からの最新の研究・活動成果をもとに、CTBT検証技術の科学・民生へ応用する可能性について参加者が議論した。

3.成果

(1) シンポジウムは、地震、水中音波、微気圧振動に関する技術について議論をする作業部会と、放射性核種に関する技術について議論をする作業部会とに分かれて行われた後、全体会合にて各作業部会で行われた議論を総括する形式で行われた。
 地中を伝わる地震波を観測することによって核爆発を監視する技術及びその結果得られたデータは、津波に関する予測情報をより正確かつ迅速に発表することに応用できるとの発表がなされた。
 海水中を伝わる音波を観測する技術については、氷山が岩盤を削る音や裂けるときに発生する音や海生哺乳動物が発する音などを観測した例が発表され、地球温暖化や海洋生態系などを長期的に監視することに応用できることが示された。
 大気中を伝わるゆっくりとした振動を微小な気圧の変化から観測する技術については、火山噴火の位置や時刻を正確に特定した例、スペースシャトル・コロンビア号の事故(2003年)を観測した例、暴風雨に伴って発生した大気中の振動を観測した例などが発表された。特に火山噴火に関するデータは、航空機が火山灰により引き起こされるエンジン停止などの被害を防ぐための情報を発表することに応用できると注目された。
 放射線を出す物質(放射性核種)が大気の流れに乗って運ばれてきていないかを監視する技術については、宇宙線や太陽活動の監視、南極大陸から掘り出した氷の年代特定などに応用できるとともに、大気の流れを逆に追って物質の発生元を突き止める技術は、気候変動の起こる過程の解明や、汚染物質が放出された場合にその流れを正確に予測することに応用できるなどの報告があった。

(2) CTBTの検証技術は、核爆発の監視が本来の目的であるので、それを別の用途にも広く利用することについては、国により様々な立場があり、結論が出ていない一方で、今回のシンポジウムにおいて、特に津波情報や航空路火山灰情報など、人命に関わるような国際協力活動に技術を応用すべきとの意見も多く出された。これらの成果は、今後CTBTO準備委員会などの場で、あるいはさらに広範な関係者の間で共有され、議論が進められる見込みである。さらに、今回シンポジウムの結果、CTBTの検証技術から得られる便益に対する理解が深まり、そのことにより条約の批准がいっそう促進され、条約の早期発効につながることが期待される。

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