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プログレス・レポート (仮訳、阿部信泰特命全権大使より発表) 2001年11月11日 御列席の皆様、 本日、「調整国」である日本を代表して包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議においてプログレス・レポートを発表する機会を与えられましたことを光栄に存じます。 先ず、議長就任に心より祝意を表します。私は議長の卓越したイニシアチブの下、この会議が成功を納め、CTBT発効促進に向けた大きな流れができることになるものと信じており、支持を惜しみません。 議長、 また、私は、現在の状況の中で、この会議の開催の労を取られたアナン国連事務総長他の関係者の方々に深甚なる感謝の意を表しますとともに、事務総長及び国連によるノーベル平和賞受賞に心からお祝いを申し上げます。9月11日のテロ攻撃は、極めて卑劣かつ言語道断の暴挙であり、我々はこのようなテロ行為を厳しく糾弾します。ここで、あらためて米国及び全ての犠牲者に対して、心よりお見舞い申し上げますとともに、テロに対してともに戦うことを約します。 議長、 先ず、この機会に条約が早期に発効して実際の拘束力を持つようになることの意義を改めて確認したいと思います。 核実験を禁止することは核兵器国の核兵器開発そして核軍備強化を抑制する上で引き続き大きな効果があることについては疑いの余地はありません。また、CTBTの早期発効は軍縮会議、さらには二国間のものを含むその他の場における核軍縮・核軍備管理の流れを進める上でも現実に重要な意味を持つものであります。核実験の禁止は、核兵器国以外の国による核兵器の新たな開発と保有に対する大きな歯止めの役割を果たすものでもあります。このような意味において、CTBTはNPTを礎とする核兵器の全面的な廃絶に向けた国際的な核軍縮、核不拡散体制を支える極めて重要な柱であり、CTBTの早期発効の促進は引き続き国際社会に於いて重要な意義を持っていることを改めて強調したいと思います。 議長、 CTBTの早期発効に向けては、1999年10月にウィーンで開催された前回の発効促進会議以降、批准国、署名国を含む世界各国は勿論、関係国際機関や非政府組織もCTBTの重要な意義を認識し、不断の努力を継続して参りました。また、CTBTを早期に発効させ、核実験を永久に禁止することの重要性は、2000年NPT運用検討会議等国際的な場においても確認されて参りました。我が国としても前回の発効促進会議の最終宣言の規定による「調整国」として、総理親書や外務大臣書簡を数多くの国に対し発出するとともに、他の国々に対してミッションを派遣し早期の署名・批准を求める等、CTBTの早期発効に向けて最大限の努力をして参りました。 世界の国々、国際機関、非政府組織の大いなる努力の結果、前回の発効促進会議から現在までの2年間に、署名国は7、批准国は34増え、現時点において、署名国は161、批准国は85を数えます。この内、発効要件国で過去2年間に署名した国は無く、批准した国は5-トルコ、バングラデシュ、ロシア、チリ、ウクライナ-です。この結果、発効要件国44の内、批准国は31、署名済み未批准国は10、未署名国は3となりました。我々は、新規署名国、批准国の英断に敬意を表するとともに、CTBTファミリーへの参加を心より歓迎します。 CTBTは、署名開放後5年余りの期間に、数多くの国々が署名、批准を済ませていることに示される通り、核軍縮・核不拡散の分野における極めて重要な枠組みとして国際社会の中で普遍的な認識を得ていると言えます。他方、発効要件を満たす迄に未だ長い道のりを残している現状には、遺憾の意を禁じ得ません。今回の発効促進会議においては、未署名国、未批准国に対して、可能な限り早期に署名・批准を行うことを求める強いメッセージを発する必要があります。殊に、その批准が条約の発効要件になっている44カ国のうち、未署名・未批准の国に対し、早期に署名・批准するよう引き続き求めていく必要があります。また、未批准国に対して批准のインセンティブを与えるために現在暫定技術事務局が行っている、国際協力ワークショップ開催等の努力を更に奨励することも重要と考えます。 議長、 CTBTの早期発効に向けて、署名・批准の呼びかけを行う他に我々は何を為すべきでしょうか。 まず、核実験のモラトリアムを宣言しているCTBT成立後に核実験を行った2カ国及び全ての核兵器保有国においては、その政策を継続することは条約の趣旨に鑑み極めて重要なことであり、これを強く求めていく必要があります。また、検証制度の着実な整備も極めて重要であり、暫定技術事務局がそのために行ってきた努力は高く評価されております。批准に慎重な一部の意見として、核実験の検証可能性の問題を提起する向きがありますが、本件については必要に応じ、非政府組織の専門家も含め、率直かつ前向きな議論を重ねていくことが重要と考えます。 議長、 まさに、核兵器のない世界は、世界の圧倒的多数の人々の願いです。しかしながら、国際政治の現実としてこれを直ちに実現できないこともまた事実ですが、私は希望を捨てておりません。今我々のなし得ること、そしてなすべきことは、英智とエネルギ?を結集し、着実に核軍縮・核不拡散に取り組んでいくことです。私は、CTBTの早期発効はその過程における重要な一歩であると信じており、全ての国々が今後ともその実現に向けて最大限の努力をしていくことの重要性を訴えて、私の報告を終わります。 御静聴有り難うございました。 |
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