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人権・人道
人種差別の撤廃に関する委員会
第58会期

人種差別の撤廃に関する委員会の最終見解
(仮訳)

CERD/C/58/CRP.
CERD/C/58/Misc.17/Rev.3
2001年3月20日
原文:英語
未編集版

日本

  1. 委員会は、日本の第1回及び第2回定期報告(それぞれの提出期限は1997年1月14日、1999年1月14日)を、2001年3月8日及び9日に開催された第1443回及び第1444回会合において審査し、以下の最終見解を採択した。


A.序論

  1. 締約国との建設的な対話を開始する機会を特に歓迎する。 委員会は広範な政府省庁を代表する大規模な代表団が出席したことに意を強くした。また、締約国が認めているように、その最初の報告の準備に際し、NGOコミュニティが関わったことにも意を強くした。

  2. 委員会は、締約国が、報告作成のためのガイドラインに従って作成し提出した詳細かつ包括的な報告及び委員会の委員により行われた広範な質問事項に対し代表団が提供した口頭による追加的な情報を歓迎する。また、委員会は報告の審査の後提出された書面による追加的な回答を歓迎する。


B.肯定的要素

  1. 委員会は、いくつかの種族的及び民族的マイノリティの人権並びに経済的・社会的及び文化的発展を促進するために締約国が行った立法及び行政面での努力、特に、(i)1997年の人権擁護施策推進法、(ii)1997年のアイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律、(iii)部落民に対する差別撤廃のための一連の同和対策事業特別措置法を歓迎する。

  2. 委員会は、アイヌの人々を、その独特の文化を享受する権利を有する少数民族として認めている最近の判例に関心をもって留意する。

  3. 委員会は、既存の人権基準の啓発に向けての取組み、特に、外務省のウエブサイトにあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約を含む基本的な人権に関する条約のテキスト全文を掲載し広報していることを歓迎する。委員会は、また、諸条約の実施状況に関する締約国の報告及びそれぞれの国連のモニタリング機関による最終見解についても同様の配布がなされていることを歓迎する。


C.懸念事項及び勧告

  1. 委員会は、人口の民族的構成比を決定することに伴う問題に関する締約国の意見に留意する一方、報告の中にこの点に関する情報が欠けていることを見い出している。委員会の報告ガイドラインにおいて要請されているように、人口の民族的構成比についての完全な詳細、特に、韓国・朝鮮人マイノリティ、部落民及び沖縄のコミュニティを含む本条約の適用範囲によってカバーされているすべてのマイノリティの状況を反映した経済的及び社会的指標に関する情報を次回報告の中で提供するよう、締約国に勧告する。沖縄の住民は、特定の民族的集団として認識されることを求めており、また、現在の島の状況が沖縄の住民に対する差別的行為につながっていると主張している。

  2. 本条約第1条に定める人種差別の定義の解釈については、委員会は、締約国とは反対に、「世系(descent)」の語はそれ独自の意味を持っており、人種や種族的又は民族的出身と混同されるべきではないと考えている。したがって、委員会は、締約国に対し、部落民を含む全ての集団について、差別から保護されること、本条約第5条に定める市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的権利が、完全に享受されることを確保するよう勧告する。

  3. 委員会は、憲法第98条が、締約国によって批准された条約が国内法の一部であると定めているにもかかわらず、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の規定が、国の裁判所においてほとんど言及されていないことにつき、懸念をもって留意する。条約の規定の直接適用は、その規定の目的、意味及び文言を考慮して、個別のケース毎に判断されるとの締約国からの情報に照らし、委員会は、国内法における本条約及びその規定の地位につき、締約国から明確な情報を求める。

  4. 委員会は、本条約に関連する締約国の法律の規定が、憲法第14条のみであることを懸念する。本条約が自動執行力を持っていないという事実を考慮すれば、委員会は、特に本条約第4条及び第5条に適合するような、人種差別を非合法化する特定の法律を制定することが必要であると信じる。

  5. 委員会は、本条約第4条(a)及び(b)に関し、「日本国憲法の下での集会、結社及び表現の自由その他の権利の保障と整合する範囲において日本はこれらの規定に基づく義務を履行する」旨述べて締約国が維持している留保に留意する。委員会は、かかる解釈が、本条約第4条に基づく締約国の義務と抵触することに懸念を表明する。委員会は、その一般的勧告7(第32会期)及び15(第42会期)に締約国の注意を喚起する。同勧告によれば、本条約のすべての規定が自動執行力のある性格のものではないことにかんがみれば、第4条は義務的性格を有しており、また人種的優越や憎悪に基づくあらゆる思想の流布を禁止することは、意見や表現の自由の権利と整合するものである。

  6. 人種差別の禁止全般について、委員会は、人種差別それのみでは刑法上明示的かつ十分に処罰されないことを更に懸念する。委員会は、締約国に対し、人種差別の処罰化と、権限のある国の裁判所及び他の国家機関による、人種差別的行為からの効果的な保護と救済へのアクセスを確保すべく、本条約の規定を国内法秩序において完全に実施することを考慮するよう勧告する。

  7. 委員会は、高官による差別的発言及び、特に、本条約第4条(c)に違反する結果として当局がとる行政的又は法的措置の欠如や、またそのような行為が人種差別を助長し扇動する意図を有している場合にのみ処罰可能であるとする解釈に、懸念を持って留意する。締約国に対し、将来かかる事態を防止するために適切な措置をとり、また本条約第7条に従い、人種差別につながる偏見と戦うとの観点から、特に公務員、法執行官、及び行政官に対し、適切な訓練を施すよう要求する。

  8. 委員会は、韓国・朝鮮人、主に児童、学生を対象とした暴力行為に係る報告及びこの点に関する当局の不十分な対応に対し懸念を有するものであり、政府に対し、当該行為を防止し、これに対処するためのより毅然たる措置をとることを勧告する。

  9. 在日の外国国籍の児童に関し、委員会は小学及び中学教育が義務的でないことに留意する。委員会は、更に、「日本における初等教育の目的は、日本人をコミュニティのメンバーたるべく教育することにあるため、外国の児童に対し当該教育を受けることを強制することは不適切である。」との締約国の立場に留意する。委員会は、強制が、統合の目的を達成するために全く不適切であるとの主張に同意する。しかしながら、本条約第3条及び第5条(e)(v)との関連で、委員会は、本件に関し異なった取扱いの基準が人種隔離並びに教育、訓練及び雇用についての権利の享受が不平等なものとなることに繋がり得るものであることを懸念する。締約国に対し、本条約第5条(e)に定める諸権利が、人種、皮膚の色、民族的又は種族的出身について区別なく保障されることを確保するよう勧告する。

  10. 委員会は、韓国・朝鮮人マイノリティに対する差別に懸念を有する。韓国・朝鮮人学校を含む外国人学校のマイノリティの学生が日本の大学へ入学するに際しての制度上の障害の幾つかを除去するための努力は払われているが、委員会は、特に、韓国語での学習が認められていないこと及び在日韓国・朝鮮人学生が高等教育へのアクセスについて不平等な取扱いを受けていることに懸念を有している。締約国に対し、韓国・朝鮮人を含むマイノリティに対する差別的取扱いを撤廃するために適切な措置をとることを勧告する。また、日本の公立学校においてマイノリティの言語での教育へのアクセスを確保するよう勧告する。

  11. 委員会は、締約国に対し、先住民としてのアイヌの権利を更に促進するための措置を講ずることを勧告する。この点に関し、委員会は、特に、土地に係わる権利の認知及び保護並びに土地の滅失に対する賠償及び補償を呼びかけている先住民の権利に関する一般的勧告23(第51会期)に締約国の注意を喚起する。また、締約国に対し、原住民及び種族民に関するILO第169号条約を批准すること及び(又は)これを指針として使用することを慫慂する。

  12. 日本国籍を申請しようとする韓国・朝鮮人が自分の氏名を日本語名に変更することを求められるいかなる行政的又は法的要件ももはや存在しないことに留意するが、委員会は、伝えられるところによれば、当局が引き続き申請者に氏名を変更するよう求めており、また、韓国・朝鮮人は差別を恐れそのようにせざるを得ないと感じていることに懸念を表明する。個人の氏名は文化的・民族的アイデンティティの基本的な要素であることを考慮しつつ、委員会は、締約国に対し、このような慣行を防止するために必要な措置をとるよう勧告する。

  13. 委員会は、締約国に受け入れられた難民の数が最近増加していることを留意しつつ、待遇に関する異なった基準が、一方でインドシナ難民に、他方で限られた数の他の国民的出身の難民に適用されていることを懸念する。インドシナ難民は住居、財政的支援及び政府の援助による日本語語学コースへのアクセスがあるのに対し、これらの援助は概して他の難民には適用されていない。委員会は、締約国に対し、これらのサービスについてすべての難民に対して等しい給付資格を確保するための必要な措置をとることを勧告する。また、この観点から、締約国に対し、すべての避難民が有する権利、特に、相当な生活水準と医療についての権利を確保するよう勧告する。

  14. 委員会は、国家賠償法が本条約第6条に反し、相互主義に基づいてのみ救済を提供することに懸念を有する。

  15. 委員会は、締約国に対し、今後の報告書の中で、特に、裁判所による適切な補償の提供を含めた本条約の違反に特に関係している判例について報告することを要請する。

  16. 委員会は、次回の締約国の報告が、ジェンダー並びに国民的及び民族的集団に分類した社会・経済的データ、並びに性的搾取と暴力を含むジェンダーに関連した人種差別を防止するためにとられた措置に関する情報を提供することを勧告する。

  17. 締約国に対し、次回の報告に、(i)1997年の人権擁護施策推進法及び人権擁護推進審議会の任務及び権限、(ii)1997年のアイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律、(iii)地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律及び同法律が2002年に終了した後に、部落民に対する差別を撤廃するために考えられている戦略、の影響に関する更なる情報を提供するよう求める。

  18. 締約国が本条約第14条に規定する宣言を行っていないことに留意し、委員会はこのような宣言の可能性につき検討するよう勧告する。

  19. 委員会は、締約国に対し、1992年1月15日に第14回締約国会合において採択された本条約第8条6の改正を批准するよう勧告する。

  20. 委員会は、締約国に対し、報告を提出した時点から直ちにこれを一般に公開し、また、報告書に関する委員会の最終見解についても同様に公開するよう勧告する。

  21. 委員会は、締約国に対し、第3回定期報告を、第4回定期報告と併せて、2003年1月14日までに提出し、また、同報告にはこの最終見解の中で取り上げられたすべての点を含むことを勧告する。

    (訳注:訳文中の「締約国」は日本を指す)


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