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国連人口開発特別総会
1.概要今次特総は、1999年6月30日から7月2日までニューヨークの国連本部において開催された。我が国からは、町村外務政務次官(当時)を団長とし、2名のNGO代表も加えた代表団が出席した。
「国際人口・開発会議(ICPD:International Conference on Population and Development) 」(1994年9月、於カイロ)で採択された「行動計画」の履行状況がレビューされ今次特総では、「ICPD「行動計画」の更なる履行のための行動提案」が、難航の末、現地2日夜に採択された。本行動提案には、人口開発分野における諸課題に対する取り組みに関し、106パラグラフにわたる詳細な規定が設けられている。2.「行動提案」の争点
本行動提案の採択に際しては、主に以下の4項目が争点となった。
(1)避妊問題
バチカン(ローマ法王庁)は、避妊の方法として自然的方法(禁欲とリズム法)しか認めていないが、一方米国、EUは避妊の選択肢の拡大を主張し、その具体的方法を「行動提案」に盛り込むことを主張した。結局、バチカンが米国、EU案に強く反発したため、具体的方法は盛り込まれなかった。但し、バチカンは、94年のカイロ会議では、HIV/AIDS防止のためのコンドームの使用についてすら反対していたが、今回は、HIV/AIDS防止のための男女のコンドーム使用につき盛り込むことについては反対しなかった。(2)中絶問題
米国・EUなどが、「不法の中絶を行った女性に対する懲罰を含む法を見直すべき」との文言を盛り込むことを要求したが、バチカンとイスラム諸国がこれに強く反発したために盛り込まれなかった。そのかわり、中絶が法に反しない状況のもとで、中絶が安全で入手可能(accessible) となるよう保健サービスの提供者にそのための訓練と器材を供給する旨の文言が盛り込まれた。(3)資金調達問題
94年のICPD「行動計画」には、人口プログラムへの調達資金として2000年時点で170億ドルが必要とされたが、具体的にどれだけの資金的コミットメントが求められているかについて、途上国・先進国間で対立があった。(4)女性の人権としてのリプロダクティヴ・ライツ(Reproductive Rights)
米国、EUは94年のICPD「行動計画」で確認されたリプロダクティブ・ライツ(全てのカップルと個人が自分たちの子供の数、出産間隔、ならびに出産する時を責任を持って自由に決定でき、そのための情報と手段を得ることができるという基本的権利)を女性の人権として認めるよう要求したが、これに対してバチカンやG77の一部が強く反発した。結果的には、リプロダクティヴ・ライツの定義は「行動計画」に従うこととされ、それにともなって「行動計画」の文言の多くが再確認されることとなった。3.「行動提案」の特色
「行動提案」には、「カイロ行動計画」における数値目標の一層の実施を促すために、2015年までの各5年ごとの数値目標、さらには新しい数値目標などが明記された。盛り込まれた項目は以下のとおりである。
(1)初等教育の普及
初等・中等教育を受ける男女格差を2005年までに解消し、2010年までに男女の小学校入学率を90%以上とする。(2)非識字率の減少
女性の非識字率を2005年までに1990年水準の半分にする。(3)家族計画の普及
各国政府は、2005年までに60%、2010年までに80%、2015年までには全ての保健・家族計画施設において、家族計画、避妊、性感染症の予防策を提供すべき。(4)妊産婦死亡率に関して「助産婦・医師の介助を伴う出産率」設定
妊産婦死亡率を引き下げるために、助産婦・医師が立ち会う出産の割合を世界全体で80%、2010年までに85%、2015年までに90%に引き上げる。(5)若者(15~24歳) へのHIV感染に感する情報・教育・サービスの普及、感染率の低下
各国政府は国連エイズ合同計画(UNAIDS) の支援を得て、15歳から24歳までの男女のうち2005年には90%、2010年には95%の若者がHIV感染予防のための教育やサービスが受けられるようにすべき。世界の若者のHIV感染率を25%減らすことを目標とすべき。4.我が国の貢献
今次特総は、我が国の人口分野における国際協力をアピールする場として大変有意義な機会であった。町村外務政務次官(当時)は、7月1日に日本政府代表としての演説を行い、(イ)我が国が「人口・エイズに関する地球規模イニシアティブ(GII) 」(94~98年度の5年間で約37億ドルのODAを実施)を通じて人口・エイズ対策支援に積極的に取り組んできたこと、(ロ)今後ともこのような支援を継続していくことを発表し、参加各国から高い評価を得た。
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