(イ) |
本条約案には、市民的・政治的権利(以下自由権的権利)と経済的・社会的・文化的権利(以下社会権的権利)の双方が含まれるため、社会権的権利に関しては、国際人権A規約で認められている「漸進的達成」の原則が適用されるべきことについて内容ベースではほぼコンセンサスがあった。
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(ロ) |
但し、障害者権利条約特有の点として、例えば参政権との関係での投票所のアクセシビリティ、あるいは投票システムや政見放送等のコミュニケーション支援(点訳や手話通訳等)に象徴されるように、国際人権B規約で「即時実施」義務が課されている自由権的権利と、財政的制約等も不可避的にかかわる社会的権利の交錯する論点があるため、条約の実際の案文についてはニュアンスの置き方について様々な意見が出た。
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(ハ) |
我が国は、自由権的権利と社会権的権利が共に含まれる児童の権利条約にならった規定を置くべきと主張し、議場の大勢もこれを基本とすることには異論がなかったが、更に加えて「漸進的達成」を明記すべきとの主張或いは逆に「即時実施」や「(権利侵害時の)救済」についても規定すべきとの主張もなされた。
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