外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 人権・人道
人権・人道

障害者権利条約に関する第4回国連総会アドホック委員会(概要)


平成16年9月

 8月23日より9月3日にかけて、NY国連本部において標記会合が開催されたところ概要以下のとおり。我が国よりは角国社部参事官を団長に内閣府、法務省、外務省、文科省より出席。また、国会議員5名(八代英太議員、原口一博議員、石毛えい子議員、今野東議員、岡崎トミ子議員【順不同】)、延べ約30名の我が国障害者NGOが参加した。

1.全般

(1) 本年1月に行われた条約草案作業部会の作成した草案(全25条:構成別添)に対し、全国連加盟国が参加出来る本委員会にて、前回会合(5-6月)及び今回会合前半で全ての条文の第一読を終了し、一定の進展があった。

(2) 我が国は、全ての条文に関して積極的に発言・提案を行った他、9月2日午前に八代議員がNGOの声に耳を傾けつつ各国が柔軟性を発揮して障害者が熱望している本条約の交渉の早期妥結を訴えるスピーチを行った。また、我が国の障害者NGOと国連代表部の共催にて、2回に亘り委員会のサイドイベントとしてセミナーを開催(合理的配慮と労働・教育、条約が各国制度に及ぼす意義)し、八代・原口・石毛・今野・岡崎各議員が各国の障害問題専門家とともに積極的に発言を行うなど、我が国全体として大きな貢献を行った

(3) 今後の日程については今秋の国連総会にて決定されるが、委員会としては明年1月に第5回会合を開催することを提案することとなった。

2.主要論点(非公式協議にて集中的に議論された諸点[第4-7条])

(1) 市民的・政治的権利と経済的・社会的・文化的権利の整理(第4条関係)

(イ) 本条約案には、市民的・政治的権利(以下自由権的権利)と経済的・社会的・文化的権利(以下社会権的権利)の双方が含まれるため、社会権的権利に関しては、国際人権A規約で認められている「漸進的達成」の原則が適用されるべきことについて内容ベースではほぼコンセンサスがあった。

(ロ) 但し、障害者権利条約特有の点として、例えば参政権との関係での投票所のアクセシビリティ、あるいは投票システムや政見放送等のコミュニケーション支援(点訳や手話通訳等)に象徴されるように、国際人権B規約で「即時実施」義務が課されている自由権的権利と、財政的制約等も不可避的にかかわる社会的権利の交錯する論点があるため、条約の実際の案文についてはニュアンスの置き方について様々な意見が出た。

(ハ) 我が国は、自由権的権利と社会権的権利が共に含まれる児童の権利条約にならった規定を置くべきと主張し、議場の大勢もこれを基本とすることには異論がなかったが、更に加えて「漸進的達成」を明記すべきとの主張或いは逆に「即時実施」や「(権利侵害時の)救済」についても規定すべきとの主張もなされた。

(2) 障害者の家族の扱いについて(第4条・第5条・第7条関係)

 我が国は、本条約は障害者本人の権利を保障するための条約であるので、焦点はあくまで障害者本人であるべきと主張した(但し、個別の論点毎には検討し得るとの立場)。
 基本的には我が国の考えを支持する見方が大勢を占め、NGOよりも本件発言を評価する声が寄せられたが、イスラエル、インド等、家族に力点を置く見方も見られた。

(3) 統計とデータ(第6条関係)

 障害者施策の企画立案やモニタリング等を適切に行うため、プライバシーや情報の保護に留意した上で、締約国に統計・データ収集を行う義務を課すことに関し(条文の位置は後ろにずらしてモニタリングと並べる等工夫しつつも)、独立の条文を置くことについてはコンセンサスがあった。

(4) 差別・合理的配慮・積極的是正措置(第7条関係)

(イ) 「全ての障害に基づく差別を禁止する」との点に関し、障害の種別や差別の態様を詳細に列挙すべきとの意見(直接差別/間接差別、組織的な差別、障害と見なされる状態、過去・将来の障害等)と、これら詳細については定義が不明確乃至不可能であり、詳細には言及すべきでないとの意見がともに強く表明され、今後の議論に委ねられることとなった。

(ロ) 第7条3(差別が許容される例外事由)について、その内容自体は、合理的な理由のある場合は許容されることが国際人権法上確立した解釈とはいえ、既存の人権諸条約にそのような明文の規定はないとして削除すべきとの意見が表明される一方、「合理的配慮」といった新たな概念が条約に入ってくる以上、右とのバランスの問題であるとの意見もまた強く、今後の検討に委ねられた。我が国は(双方の意見とも一理あるが少なくとも)本部分を明文規定することにより、否定的なニュアンスが伴わないよう、「国際人権法と整合する形で」と付加することを提案した。

目次

外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省