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ITTO(国際熱帯木材機関)第37回理事会
(概要と評価)


平成16年12月


 ITTO(国際熱帯木材機関)の第37回理事会が、12月13日(月)~18日(土)の6日間、横浜市において開催され、わが国からは外務省、林野庁、環境省、横浜市等からなる代表団が出席した。今次理事会には、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ブラジル、コートジボアール、ガボン等の熱帯木材生産国及びわが国、米国、EU、スイス、ノルウェー、韓国、ニュージーランド等の消費国(計59カ国と1地域)の政府代表のほか、FAO、UNFF等の国際機関、木材業界団体、NGO等が参加した。概要及び評価は以下のとおり。

1.概要

(1) オープニング

 開会式では、マッカルパイン理事会議長、中田横浜市長、ソブラルITTO事務局長、前田林野庁長官、ドゥンバ・ガボン森林経済大臣、ジャンボ・コンゴ(共)森林経済・環境大臣、角外務省国際社会協力部参事官によるスピーチが行なわれた。
 マッカルパイン理事会議長及びソブラルITTO事務局長からは、ITTOの設立(1986年)以来のわが国及び横浜市の献身的な支援への謝意表明が行なわれたほか、これまでITTOは対立ではなく対話の中から多くの問題を解決してきたこと、ITTOの役割と存在感は年々大きくなってきていること、また、民間分野や地域コミュニティーの関与を強化する必要性等について言及があった。
 中田横浜市長、前田林野庁長官及び角外務省参事官からは、森林の持続的な経営と保全に取り組んでいるITTOに対して敬意を表するとともに、ITTOを通じた国際協力はわが国及び横浜市の誇りであり、今後とも支援を継続していくこと、わが国は持続可能な森林経営を著しく阻害する違法伐採問題への取り組みを推進していくことなどが述べられた。また、現在交渉中の国際熱帯木材協定の改定内容が、ITTOが地球規模の環境保全に対してより一層貢献するものとなるよう期待が述べられた。
 ドゥンバ・ガボン森林経済大臣からは、これまでのITTOによるガボンへの支援に対する謝意のほか、各国からのアフリカに対するさらなる支援の要請があった。

(2) 主要議題についての議論

(イ) 加盟国によるワシントン条約(CITES)附属書記載の提案(議題10)
 本年9月から10月にかけてバンコクで開催された「ワシントン条約第13回締約国会議」において、インドネシアの提案を受けて、熱帯木材のラミンが附属書 II(取引の一部規制)に掲載された旨、報告があった。

(ロ) 1994年の国際熱帯木材協定改定交渉(議題12)
 協定改定交渉議長のパラニャス大使(ブラジル)およびUNCTAD事務局より、本年7月にジュネーブで開催された「第1回協定改定交渉」についての報告、及び来年2月14日から18日までジュネーブで予定されている「第2回協定改定交渉」の取り進め方について説明があった。

(ハ) 持続可能な木材生産及び貿易との関連における森林法の施行(議題14)
 第31回理事会において、(a)生産国・消費国の自主的な協力の下、熱帯木材製品の国際貿易に関する輸出入データについての調査・分析の実施、(b)森林法の施行、違法貿易等に対処していくための生産国の取り組みや人材育成の支援、(c)違法な木材製品の貿易を阻止するため、他の国際機関と協力して地球規模での調査を行うことが決定されている。今次理事会では、マレーシア及びホンジュラスについての報告が行われ、これに対し、スイス、EU、コロンビア、パプアニューギニア等から、ITTOによる違法伐採への取組みの重要性が述べられた。わが国からは、「生産国と消費国が協力してこの問題に取組むことが重要であり、お互いにアイデアを出していく必要がある。ITTOや国際的な議論の中で、違法伐採対策が一層強化されることを期待する」旨の発言を行った。

(ニ) アジア森林パートナーシップ(AFP)の強化(議題15)
 第34回理事会決議3に基づき、AFPイニシアティブの進歩状況に関する報告が行われた。本年8月に、ITTOの協力の下、AFP強化のための地域ワークショップがインドネシア(ジャカルタ)で開催されたことや、12月8日~10日にかけて、「第4回実施促進会合」が東京で開催され、違法伐採問題等について具体的な議論が展開されたことなどが報告された。
 わが国からは、「AFPの特徴は、各国政府、国際機関、市民社会(NGO、産業界等)、学会等から幅広い参加を得ていることにあり、それらが共通の目標に向かって協力して取り組んでいる。今後ともAFPを積極的に支援していく考えである」旨の発言を行った。

(ホ) 段階的な森林認証(議題18)
 段階的な森林認証を進めていく際の手順及び森林認証の費用対効果の調査報告が行われた。マレーシア、スイス、コンゴ等からは、「森林認証が普及することは、持続可能な森林経営の達成のために重要である。今次理事会で報告された具体的な実施手法により、今後、森林認証の普及が促進されることを期待したい」等の発言があった。

(ヘ) 持続可能な森林経営のための基準・指標(議題21)
 事務局から、本年11月にアーボン(スイス)で開催された「ITTOの基準・指標及び報告フォーマットの改訂に係る専門家会合」の報告が行われた。なお、本件議題に関連し、今次理事会では、コンゴ(共)から要請があった「ITTOの基準・指標に則したコンゴにおける基準・指標の開発」(447,702ドル)にわが国が347,702ドル、米国が100,000ドルの拠出を表明した。

(3) 決議の概要等

(イ) プロジェクト決議案の承認(決議1)
 今次理事会では、34件のプロジェクトが承認され、わが国は、これらの承認されたプロジェクトに対して、483万ドル(外務省422万7千ドル、林野庁60万3千ドル)の拠出を決定した。

(ロ) その他の決議案の承認(決議2、決議3)
 事務局より、「ラミンとマホガニーに関するITTOとCITESとの協力」及び「プロジェクト・サイクルの改善と強化」に関する決議案が提案され、理事会により承認された。

(4) その他

(イ) 理事会議長及び副議長の選出
2005年の理事会議長にはアルハッサン・アター氏(ガーナ)、副議長には伊藤康一外務省地球環境課長(日本)が選出された。
(理事会議長は1年交代で、副議長が就任する慣例となっている)

(ロ) 次回以降の理事会開催予定
第38回:2005年6月21日~24日 ブラザビル(コンゴ共和国)
第39回:2005年11月7日~12日 横浜

2.評価

(1) 今次理事会は、わが国及び横浜市のITTOへの貢献に対して、東南アジア、中南米、アフリカ等多数の生産国から度重なる謝意が表明されるなど、従来と同様、終始親日的な雰囲気の中で開催された。

(2) わが国より、近年の極めて深刻な財政事情を受けて、ITTOに対する拠出の増加が困難であることを説明し、参加国からは一定の理解が得られた。また、わが国は、ITTOの安定的な運営のために、主要な消費国からの任意拠出が行われるよう強く働きかけるとともに、新協定における財政構造の議論に積極的に参加した。特に、会議の内外で、特定のドナー国にプロジェクト実施のための任意拠出を依存する体質は不健全であり、消費国側が責任を共有してITTOを支えていく必要性を強調した。

(3) わが国としては、ITTOに対する財政的な支援に加えて、一層の人的・知的な貢献を行うため、今次理事会において来年の理事会副議長に立候補し、コンセンサスにより選出された。これは、ITTOの将来展開の枠組みを検討する10年振りの協定改定交渉という非常に重要な時期にあたり、わが国のITTOに対する取組の決意を示すものであり、それに対する各国の理解と期待を反映した結果と言える。


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