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ITTO(国際熱帯木材機関)第35回理事会
(概要と評価)


2003年11月


 ITTO(国際熱帯木材機関)第35回理事会が、11月3日から8日まで横浜で開催され、42カ国(加盟国は58カ国)と1地域(EU)が参加した。我が国からは、外務省、林野庁、環境省が出席した。概要及び評価は以下のとおり。

1.概要

(1) オープニング

 フリーザイラー理事会議長、ソブラル事務局長、川口外務大臣(メッセージが代読された)、石原林野庁長官、アソア象牙海岸森林・水資源担当大臣、プラコサ・インドネシア森林大臣、プルアイチPNG森林大臣、ゴスン・フィリピン環境・天然資源大臣、エル・ラカニーFAO森林局次長によるスピーチが順次行われた。
 フリーザイラー理事会議長及びソブラル事務局長は、ITTOの設立(1986年)以来の日本及び横浜市の献身的な支援への謝意、熱帯木材の持続可能な経営と森林認証の重要性、市民社会・民間セクターとの連携の重要性、木材の違法な取引に対する対処の必要性、今回初めて理事会にオブザーバーとして参加したFAOへの謝意等を述べた。

(2) 主要議題についての議論

(イ) 「持続可能な木材生産及び貿易との関連における森林法の施行」(議題16)  事務局より、熱帯木材製品に関する輸出入データのケース・スタディーの進捗状況について報告があった。
 我が国からは、本年6月にインドネシアと共同署名を行った「違法伐採対策協力」について説明を行い、違法伐採に対するITTOの取り組み強化を促した。これに対して、スイス、エクアドルが、日インドネシア間の「アクションプラン」を違法伐採に取り組んでいくうえでの良いモデル、推進役として評価した。また、米国は、本年7月に発表した「大統領イニシアティブ」に基づく違法伐採対策のための活動を日本と協力して進めていきたい旨発言した。また、マレーシア、ニュージーランドは、ITTOが違法伐採・違法貿易の問題に取り組む必要性を指摘し、EU、韓国は、自らの活動内容を説明しつつ、違法伐採問題への積極的な取り組みを紹介した。

(ロ) 「劣化熱帯林・二次熱帯林の整備・回復のためのITTOガイドライン」(議題14)
 劣化熱帯林・二次熱帯林の整備・回復のためのガイドラインは、すでにITTO加盟国やIUCN(国際自然保護連合)、WWF(世界自然保護基金)、CIFOR(国際林業研究センター)、FAO(国連食糧農業機関)等の国際機関・団体に広く配布されており、このガイドラインに対する理解を深めるためのワークショップが5地域で開催されている。今回、事務局よりワークショップの開催状況に関する報告が行われた。
 報告に対し、我が国をはじめ、スイス、英国、インドネシアは、ワークショップの活動を高く評価する発言を行い、象牙海岸からは、コンゴ・ベイスンでも同様のワークショップを開催して欲しい旨の希望が出された。また、米国は、本件ワークショップへの追加的な財政支援を表明した。

(ハ) 「プロジェクト実施の管理に関する専門家パネルの報告」(議題13)
 理事会で承認された後、実施が遅れているプロジェクトに関し、プロジェクトの現状を調査し、遅延原因を特定するための「専門家パネル」が2003年9月に開催され、今回の理事会で検討結果の報告が行われた(本件は第34回理事会で日本が提案し、決議8として採択されたもの)。報告では、実施促進を図るため、ITTO規則・手続の遵守、プロジェクト管理に関する人材育成、モニタリングを行う際の地域担当官の関与の必要性等の提言が行われた。
 報告に対し、生産国(マレーシア、グアテマラ、エクアドル、ブラジル等)、消費国(米国、EU、オランダ等)の双方から、持続可能な森林経営を推進する観点から報告を高く評価する発言が相次ぎ、各加盟国が報告を自国に持ち帰り、報告にある提言に積極的に取り組んでいくことが重要との認識が示された。我が国からは、専門家パネル開催に対する謝意を述べ、報告を踏まえて各国がプロジェクトを早期に実施するための措置をとることが重要であることを強調した。

(3) 主な決議の概要等

(イ) 「プロジェクト等の承認」(決議1)
●今回の理事会では、28のプロジェクトについて、我が国は588万4,778ドル(外務省549万4,569ドル、林野庁39万209ドル)の拠出を決定し、これらを含むプロジェクト等の承認が決議された。

(ロ) 「2003年運営予算の管理」(決議2)
●生産国の一部で分担金の支払いが遅れているため、早急に不足分を補填するとともに、延滞国に支払を督促すること、引き続き経費削減を事務局に求めていく旨が決議された。

(ハ) 「実施機関勘定」(決議3)
●理事会で承認された後、各種の理由により実施が滞ったプロジェクトの資金を一元的に管理するため、実施機関勘定を2003年12月末に新設する旨が決議された。

(ニ) 「2カ年作業計画(2004年、2005年)」(決議4)
●第31回理事会決議2「横浜行動計画」(2002年~2006年の5カ年計画)に基づくものであり、2004年、2005年における活動予定、実施時期、見積もり経費等について決議された。

(ホ) その他
●2003年6月、ナイジェリアがITTOに加盟した。これにより、加盟国数は58カ国(消費国26,生産国32)及びEUとなった。
●2004年理事会議長に米国のジャン・マッカルパイン氏(国務省)、同副議長にガーナのアルハッサン・アター氏がそれぞれ選出された。(議長は、前年の副議長が就任する慣例となっている。)

2.評価

(1) 今回の理事会では、違法伐採についての関心が高く、活発な議論が行われた。これは、我が国より、本年6月にインドネシアと共同署名を行った「違法伐採対策協力」に関する説明を行ったこと、昨年9月の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD)で開始された「アジアにおける地域森林パートナーシップ」(AFP)の取り組みに関する紹介を行ったことが、議論の発火点かつたたき台となり、各加盟国が違法伐採に積極的に取り組む必要性を共有できたことは大きな成果であった。

(2) また、前回の理事会で我が国が提案し、今回の議題となった「プロジェクト実施の管理」(議題13)については、「専門家パネル」の提言内容を踏まえ、生産国、消費国の双方が活発な議論を行った点で有意義であった。各加盟国は提言内容を高く評価しており、持続可能な森林経営を推進するため、各国が報告にある提言に積極的に取り組み、プロジェクトの早期実施に役立てていくことが望まれる。

(3) 今次理事会では、我が国は、会議の内外で他の消費国側加盟国にさらなる拠出を促した。理事会の場で、我が方より、特定のドナーの任意拠出にプロジェクトを依存する体質は不健全であり、ITTOの安定的な運営のためには、消費国側が責任を共有し、ITTOを支えていく必要性を強調した。

(4) 今後のITTOのあり方として、FAO、UNFF(国連森林フォーラム)、GEF(地球的環境ファシリティー)、世銀など関係する国際機関等と連携を図り、お互いに問題意識を共有し、地球規模の課題の解決に向けた取り組みを行っていくことが重要である。新協定の策定にあたっては、分担金だけでなくプロジェクト実施のための拠出金についても何らかの資金確保のメカニズムを導入し、他のドナーの資金協力を継続的に確保する工夫が必要であり、新しい課題とともに右を意識したITTOとしての取り組みを促していくこととしたい。


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