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ITTO(国際熱帯木材機関)第34回理事会(概要と評価)


2003年6月3日


 ITTO(国際熱帯木材機関)第34回理事会が、5月12日から17日までパナマ・シティで開催され、日本より、外務省、林野庁が出席した。概要及び評価は以下のとおり。


1.概要

(1) オープニング
 フリーザイラー理事会議長、ソブラル事務局長、エミール・ガボン農林水産大臣、サー・ガイアナ農林水産大臣、ビアナ・ブラジル州知事、アンギゾーラ・パナマ環境庁長官、バヤリーノ・パナマ第一副大統領によるスピーチが順次行われた。
 フリーザイラー理事会議長は、「ITTOの設立(1986年)以来、日本及び横浜市の継続的な支援に感謝する。市民社会と連携しつつ、一層環境を重視した取り組みを行っていきたい」旨述べた。

(2) 主要議題についての議論

(イ) 「持続可能な森林経営達成に向けた手段としての熱帯木材生産国における森林認証への段階的アプローチの潜在的役割」(議題11)
 ブラジル、スイス、グアテマラから、段階的な森林認証のための法制面の整備に時間がかかる旨の指摘があった。我が方からは、森林認証制度が広く普及することが持続可能な森林経営及び違法伐採対策にとって効果的であると考える旨述べた。

(ロ) 「持続可能な森林経営のための市民社会・民間とのパートナーシップ」(議題12)
 ブラジル、スイス、米国等多数の加盟国が賛意を示したが、具体的なガイドラインやフォーマットの統一の必要性が指摘され、引き続き検討が必要とされた。

(ハ) 「プロジェクトの形成及び評価にかかる改善措置」(議題13)
 米国からは、透明性・効率性が高いものにすべきとの認識が示され、ニュージーランドからは、プロジェクト形成の費用を最小限に抑えるべきとの発言があった。また、EUからは、地域性やプライオリティーへの配慮も必要との認識が示された。我が方からは、効果的・効率的なプロジェクトの形成は喫緊の課題であり、専門家集団による技術的な支援や事務局による政策的な支援が必要であること、さらにプロジェクト形成のみならず、プロジェクト実施の適正管理が同様に重要であり、我が方提案決議案への各加盟国の理解と支援を得たい旨述べた。

(3) 主な決議の概要
(イ) 「プロジェクト実施の管理」(決議8)
●プロジェクトの早期実施を促すために、今回日本が提案。理事会で承認された後、実施が遅れているプロジェクトに関し、プロジェクトの現状を調査し、遅延の原因を特定、さらにはプロジェクトのモニタリングを行うこととし、本年10月末までに専門家パネルを開催し、応急の行動計画を策定するとともに、11月の第35回理事会(横浜)に検討のための報告書を提出することで合意した。
●同決議にかかる活動に対し、日本が50,000ドルの拠出を表明した。

(ロ) 「アジアにおける地域森林パートナーシップ(AFP)の強化」(決議3)
●日本がインドネシアとともに提案。昨年8月のWSSDヨハネスブルグ・サミットで、森林に関する新たな取り組みとして発足した「アジア森林パートナーシップ(AFP)」に関し、NGO等市民社会・民間セクターと情報交換・意見交換のためのワークショップを開催するとともに、インターネット・システムを整備することで合意した。
●同決議にかかる活動に対し、日本が126,500ドル、米国、オーストラリア、ノルウェー、フィンランドが各々10,000ドルの拠出を表明した。

(ハ) 「ITTO事務局長の選出」(決議5)
 現行協定が期限切れを迎える2006年12月31日までは、現体制を維持することが望ましいとされ、ソブラル現事務局長の再任が決議された(任期は4年間。再選による新たな任期は2007年11月5日まで)。


2.評価

(1) 日本がインドネシアとともに「アジアにおける地域森林パートナーシップ(AFP)の強化」を提案したことは、多くの参加国より支持され、NGO等市民社会に配慮したコンセプトが高く評価された。

(2) 「プロジェクトの形成及び評価に係る改善措置(議題13)」については、生産国側は、理事会で承認されたプロジェクトが全て実施されていないことにかなりの不満を抱いており、現在のプロジェクト・サイクルの見直しを要請する意見が相次いで提起された。なお、右議題との関連で、今次理事会において我が方は「プロジェクト実施の適正管理」に係る決議案を提案したところ、我が方の問題意識についても米国をはじめとする多くの加盟国から支持が得られ、右は理事会で承認された。

(3) 今次理事会では、日本は、会議の内外で他の消費国側加盟国にさらなる拠出を促した。理事会の場で、我が方より、これまで拠出を行っていない他のドナーに協力を呼びかけたことに呼応して、EUより、近い将来、新協定の下で、EUとしての拠出が可能になるよう制度面での検討を前向きに行う旨の発言を得た。また、会場外で、他のドナーの今後の協力につき照会したところ、スウェーデン、オランダから拠出に係る前向きの回答を得るとともに、ドイツからは財政当局とも相談し今後前向きに検討するとの姿勢を確認した。

(4) 今後のITTOのあり方として、FAO、UNFF(国連森林フォーラム)、GEF(地球的環境ファシリティー)、世銀など関係する国際機関等と連携を図り、お互いに問題意識を共有し、地球規模の課題の解決に向けた取り組みを行っていくことが重要である。新協定の策定にあたっては、分担金だけでなくプロジェクト実施のための拠出金についても何らかの資金確保のメカニズムを導入し、他のドナーの資金協力を継続的に確保する工夫が必要であり、新しい課題とともに右を意識したITTOとしての取り組みを促していくこととしたい。




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