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ITTO(国際熱帯木材機関)第33回理事会(概要と評価)
(International Tropical Timber Organization)


2002年11月9日


 ITTO(国際熱帯木材機関)第33回理事会が、11月4日から9日まで横浜で開催され、日本より日出外務大臣政務官が代表としてオープニング・セッションに出席したのを始め、外務省、林野庁が出席した。同理事会の概要及び評価は以下の通り。


1.概要

(1) 11月4日のオープニング・セッションには、日出外務大臣政務官、加藤林野庁長官に加え、ブラジル環境大臣、カメルーン森林・環境大臣、中田横浜市市長等が出席し、スピーチを行った。
 日出政務官からは、(イ)現行の国際熱帯木材協定の2006年末の期限切れを控え早期に協定改訂交渉を開始すべきである、(ロ)各種の支援事業の厳格化、効率的で計画日程に即しての執行が重要である、(ハ)NGOなど市民社会との新たな協力のあり方について議論されることを希望する旨を発言した。

(2) 今回の理事会においては、以下の決議が採択された。

(イ) 「1994年の国際熱帯木材協定の延長」及び「1994年の国際熱帯木材協定の協定改定交渉の準備」
 2003年末が期限となっている現行協定を3年間延長することが決議された(決議9)。また、2006年末の現行協定の期限切れを控え、新協定改定交渉を、各国国内の締結手続きに要する期間を考慮し、2005年初までに終了すべく、2003年5月から開始すること、その準備のためのワーキンググループ会合を2003年4月に開催すること等について合意した(決議8)。

(ロ) 「ITTOの経費削減及び効率化のための措置」
 ITTOの経費削減及びその効率化のための措置として、2002年8月に開催されたワーキンググループの報告を踏まえ、具体的な経費削減策、効率化のための改善策について決定、今後ともそのための努力を継続するとともに、これらの措置の結果を2005年末に評価すること等について合意した。

(ハ) 「持続可能な森林経営のための市民社会・民間とのパートナーシップ」
 持続可能な森林経営及び森林認証を促進するため、市民社会と熱帯木材生産者とのパートナーシップ、特に、小規模な林業経営者、コミュニティベースの森林経営者、ローカル及び国レベルの市民社会、森林所有者間のパートナーシップを支援すること、かかるパートナーシップを支援するためのITTOガイダンスを作成するためのワークショップを開催すること等が決議された。同決議にかかる活動に対し、日本が115,000ドル、スイスが70,000ドル、米国が15,000ドルの拠出を表明した。

(ニ) 「森林火災の予防及び管理」
 東南アジアをはじめとする熱帯地域でたびたび森林火災が発生していることを踏まえ、森林火災問題の経験を有する生産国8カ国に対し、要請ベースで、森林火災の予防・管理状況を評価するための専門家を派遣し、これらの国の森林予防の実際的な戦略・行動を明らかにするとともにプロジェクト・プロポーザルの実施を促進すること、ITTOがGFMC(国際森林モニターセンター)との共催で2003年10月、シドニーで、国際森林・原野火災会議及びサミットを開催すること等を決議した。同決議にかかる活動に対し、日本が277,500ドルの拠出を表明した。

(ホ) 「ITTOの広報、啓蒙活動、普及活動」
 事務局がITTOの目的、活動について、より一層の広報、啓蒙活動、普及活動を行うこと、加盟国がITTO出版物の普及、ITTO関連イベントへの参加等を通じ、ITTOの広報、啓蒙活動、普及活動に協力することが決議された。同決議にかかる活動に対し、日本が230,000ドル、スイスが50,000ドルの拠出を表明した。


2.評価

(1) 現行の国際熱帯木材協定が2006年末で期限切れとなることを踏まえ、2005年初までに新協定を採択する必要性、及びそのために早期に協定改正交渉を開始する必要性が認識され、そのための具体的な取り進め方について合意された。これにより、日本を含め各国が新協定の締結に必要な期間が確保され、安定的なITTOの運営の道筋が付けられたことは評価できる。

(2) ITTOの経費削減及び効率化のための措置について、具体的な措置が定められ、今後ともその改善について努力していくことが決議され、加盟国に経費削減と効率化の必要性が認識されたことは、それなりの成果であったといえる。

(3) 前回の理事会でCSAG(市民社会諮問グループ)が設置され、今回の理事会で、ITTOが持続可能な森林経営及び森林認証促進の観点から、市民社会と熱帯木材生産者とのパートナーシップを支援していく決議が採択されたことは、ITTOとNGOなど市民社会との協力関係を促進するものである。




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