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「線路敷設権」に関する意見、要望 平成12年1月26日
エムシーアイ・ワールドコム・ジャパン株式会社、グローバルアクセス株式会社、ケーブイエイチ・テレコム株式会社、ピージーイージャパン株式会社、レベルスリー・コミュニケーションズ株式会社(以下USCCGという)は、「線路敷設権」につきまして、以下の通り意見を述べさせていただきます。
米国系競争的通信事業者グループ
エムシーアイ・ワールドコム・ジャパン株式会社
グローバルアクセス株式会社
ケーブイエイチ・テレコム株式会社
ピージーイージャパン株式会社
レベルスリー・コミュニケーションズ株式会社米国では、地域通信市場へ公平な参入条件を整え、情報通信分野の発展と競争促進させるため、線路敷設権に関し、通信法やFCC規定にて、公益事業者に対して管路等設備の非差別的な開放を義務付けており、詳細に非差別的取扱い、利用料金、禁止事項、裁定等につき規定しております。USCCGは、日本においても地域通信市場に競争導入し、インターネット等の情報通信分野の発展促進に向けた公平な参入条件が必須であり、その為には日本の線路敷設権に関する法的整備の遅れを是正することが不可欠と考え、以下の点の改善を要望いたします。
1.総論
日本において電気通信事業者の「線路敷設権」の整備が遅れているのは、現在の線路敷設権に関連する道路法、道路交通法、建設業法等におきまして、“第一種電気通信事業者の公益性”が明確に規定されていないことに起因していると考えます。即ち、電気通信事業法上では、“第一種電気通信事業者の公益性”が認められておりますが、一方、その他の法律にてこの公益性の明確な規定がないことから、歴史的に公益性を認められているNTT、電力会社、鉄道会社等のみが線路敷設での特権を有し、その特権を利用して構築された設備を専ら自社や関連子会社等のみに提供されており、通信事業者間の公正競争が線路敷設の面で阻害していると考えます。よって、“第一種電気通信事業者の公益性”を鑑み、線路敷設権に関する全ての法律にその公益性を明記することにより、線路敷設上にてNTTと同等の特権を全ての第一種電気通信事業者に与えると同時に法律にてNTT、電力会社、鉄道会社等の公益事業者の既存設備(ビルアクセス設備を含む)利用を希望する他の通信事業者に公平に開放することを義務付けるべきと考えます。
2.各論
1)線路敷設上の問題点及び改善策
(1)線路敷設上での問題点
- 行政は公益事業者以外の新規事業者のみに埋設管路に対し行政との共同利用協定締結を強制しております。
- 全ての事業者は、昼間の道路上での工事が可能であるが、交通渋滞回避の必要性から昼間道路工事が許可されることが極端に少なくなっております。
- 道路占用許可に関し、掘削禁止期間(3年、5年)や道路調整会議、申請等により新規参入事業者は工事希望区間での工事開始までに数年を要します。
- 公益事業者は幹線道路での管路網を既に構築済であり、大規模工事は頻繁に必要とせず小規模工事が殆どであるが、新規参入事業者は、幹線ネットワーク構築のために殆どが大規模工事となり、道路工事では常に公益事業者より厳しい工事規制を受けております。
(2)改善策
(Aに対する改善策)
- 全ての第一種電気通信事業者の公益性を線路敷設権に関する法律で明確にし、第一種電気通信事業者を公益事業者として、NTTや電力会社と同等の権利を持たすべきと考えます。
(B,C,Dに対する改善策)
- 新規参入第一種電気通信事業者に対する育成措置として、道路占用許可や工事規模基準は全て小規模工事と見做し、昼間道路工事許可基準の緩和をすべきと考えます。
2)ビルアクセス上の問題点と改善策
(1)ビルアクセス上の問題点
- ビルへの引込み管路及びビル前マンホール・ハンドホールは、NTTと電力会社が殆ど独占しており、既存ビルへ新規事業者用の管路を設備することは、ビルの耐震性や水漏れ等への影響から実質上不可能となっております。
- NTTは、十分スペースがある管路の場合でも、1管路に1本のケーブル敷設の基準でのみ貸与を認めております。
- 電力会社は資本関係のある特定の通信事業者にのみビル引込み予備管路やビル前マンホール・ハンドホールへのケーブル敷設を認めております。
- 新築ビルで新規通信事業者用管路の必要性の認識が低く、新規通信事業者用管路が設備されておらず、新規ビルへの引込みも困難となっております。
(2)改善策
(Aに対する改善策)
- 公益事業者の既存ビル引込み管路やビル前マンホール、ハンドホールの開放を法律で義務化し、拒否する場合は書面にて全ての証拠の提出を義務付けすべきと考えます。
- 第三者機関(行政等)が公益事業者の既存ビル引込み管路やビル前マンホール、ハンドホールの空き状況を把握し、空き情報を公開し、予備管路設備等の開放の可否を公平に審査すべきと考えます。
(Bに対する改善策)
- ビル引込み管路(NTT管路、電力管路)についても、2001年に米国で導入予定のハーフダクト方式(1本の管路に2本のケーブルを敷設することを前提に料金を1/2にする方式)等を導入し、管路に2本以上のケーブルを敷設することを法律で義務化し、管路スペース確保すべきと考えます。
- NTTの光化計画の進展に伴い、相当数の未使用メタルケーブルが存在し、この未使用ケーブルがビルへの引込み管路を占有していると考えられ、この引き込み口の開放をすべと考えます。
(Cに対する改善策)
- 公益事業者は特権を用いて構築した設備を資本関係のある通信事業者のみへ特別優遇をすることは公平な競争が確保できない為、法律で禁止すべきと考えます。
(Dに対する改善策)
- ビル所有者に新規ビル建築の際は、新規電気通信事業者用管路設備を法律にて義 務付けすべきと考えます。
3)公的空間の開放状況及び改善策
(1)公的空間の開放状況
公的空間:問題点
電気事業者:
資本関係のある特定企業にのみ特別優遇で、芯線譲渡・貸与及び管路・送電線網等設備を膨大に貸与
空き管路、電柱添架スペース、送電線の空き空間情報は、客観性が無く不透明
- NTT:
- 管路借用時には、NTTへケーブル敷設工事や保守を委託する必要有
技術基準をNTT工事基準に合わせる必要性有
管路等の調査費用、貸与料金及びケーブル工事費が高額且つ算定根拠が不透明
管路調査に2~4ヶ月かかっており、ケーブル敷設工事完了まで8ヶ月以上必要(15ヶ月かかった実績有)
管路利用実現迄の手続きが煩雑:調査依頼(NTT地域会社)、実際の調査(NTTインフラネット)、管路賃貸契約(NTT地域支社)、管路接続工事(NTTインフラネット)、ケーブル敷設(NTT地域支社)、工事立会(NTT-ME)
1本の管路に1本のケーブルの敷設しか認めていない
空き管路や電柱添架スペース情報は、客観性が無く不透明
- 鉄道(JR):
- 資本関係のある特定企業にのみ特別優遇で、芯線譲渡・貸与及び管路等設備を膨大に貸与
空き管路やスペース情報は、客観性が無く不透明
- 高速道路:
- 資本関係のある特定企業にのみ特別優遇で、ラック等設備やスペースを膨大に貸与
ラック等のスペース情報は、客観性が無く不透明
- 道路:
- 審査期間が長く、既存橋梁への添架許可まで1年間程度必要
新規橋梁にて新規事業者のための余分スペースが無い
- 共同溝(建設省):
- 建設時に負担金を支払い、敷設権を持つ企業以外の事業者が利用する場合は、全ての負担事業者の合意が必要である為、殆ど借用された実績がない
スペース利用料金は高額且つ算定根拠が不透明
- 共同溝(企業間):
- スペース利用料金は高額且つ算定根拠が不透明
空きスペース情報は、客観性が無く不透明
- 下水道:
- ケーブル敷設工事は1社が請負っており、競争が無く、工事費用が高額
- ガス管:
- 既設管路は開放の意志無いが、不要管路は開放の意志有
上表のように日本の公的空間の開放は殆どされておらず、線路敷設上で特権のある公益事業者自身と公益事業者と資本関係のある特定の通信事業者のみがアクセス網を独占しております。
(2)改善策
(共通改善策)
- 公益事業者の管路設備、送電線網、電柱、公道使用権の開放と拒否する場合は書面にて全ての証拠の提出することを法律で義務付けすべきと考えます。
- 第三者機関(行政等)が公益事業者の既設管路設備等の空き状況を全て把握し、空き情報を公開し、管路設備等の開放の可否を公平に審査すべきと考えます。
- 公益事業者は特権を用いて構築した設備を資本関係のある通信事業者のみへ特別優遇をすることは公平な競争が確保できない為、法律で禁止すべきと考えます。
- 公益事業者の管路設備等の使用料金は、郵政省が上限と下限を規定し、帳簿価格ベースで算定式や入力データ等も規定し、料金の根拠データ提示の要望があれば提示を法律で義務化すべきと考えます。
- 2001年に米国で導入予定のハーフダクト方式(1本の管路に2本のケーブルを敷設することを前提に料金を1/2にする方式)等の導入や管路に2本以上のケーブルを敷設することを法律で義務化し、管路スペース確保と管路利用料金の低減を図るべきと考えます。
- 郵政省が公益事業者の管路設備利用上での苦情処理手続きを明確にし、裁定を実施すべきと考えます。
(NTTに対する改善策)
- ネットワークの光化に伴い、管路スペースが膨大に余っている可能性があり、それらの管路は減価償却等が完了していると考えられる為、管路スペースの更なる開放と利用料金の低減が実現可能と考えます。
- NTTの管路、共同溝等は国民の税金で構築されたものであり、管路借用時に競争事業者はNTTに基幹ルートを開示しなければならないことは公正競争を阻害するため、NTTは保有している管路や共同溝の占有権を放棄し、その管理を第三者の機関に委ねるべきと考えます。
- 事故や障害発生時までもNTTに依頼をして修理する必要があり、管路を開放しているとは言えない為、管路利用要望事業者がケーブル敷設工事及び保守を実施することを可能にすべきと考えます。
- 要望があった場合は、工事期間の妥当性を担保可能な根拠の提示を法律で義務化すべきと考えます。
- 管路利用実現迄の手続の煩雑さの簡素化と工期短縮するためにも窓口の一本化やNTTが認定工事事業者に全工事を委託することも可能にすべきと考えます。
(道路に対する改善策)
- 橋梁への添架可否の審査期間が1年も必要で、余りにも長期であるため、短縮化をすべきと考えます。
- 橋梁建設時に新規電気通信事業者用の管路敷設と開放を義務付けすべきと考えます。
(共同溝-建設省に対する改善策)
- 利用状況につき即刻調査・報告を実施し、結果次第で共同溝特別措置法の改正により、既存共同溝の空きスペースは開放を義務付けすべきと考えます。
(下水道に対する改善策)
- 管路利用要望事業者がケーブル敷設工事を実施することを可能にすべきと考えます。
- 他の工事事業者にケーブル敷設工事への参入を認め、料金の低減を図るべきと考えます。
以上
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