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線路敷設権:レベル3の意見

 今般、レベル3コミュニケーションズ株式会社(以下「レベル3」)は、日本政府が意見を募集している、新規電気通信事業者が既設事業者の線路敷設権および設備に対してアクセスを確保する能力について、返答する機会を得たことを歓迎する。

要約

 貴政府が国内の電気通信市場を競争下に開放すると約束したことに対し、レベル3は敬意を表する。ところで、競争が成功裏に展開されるには、新規事業者の発展が何人によっても、とくに競合他社によって、不当に妨害されないよう保証するだけの権利が新規事業者に与えられることが不可欠となる。現実に即していえば、既設事業者がすでに享受している線路敷設権を新規事業者が利用できることが必要になる。しかし、これら線路敷設権は既設事業者の中核的な財産であるため、拘束力のある法令を定め、規制当局がその実施にむけて積極的に取り組まないかぎり、他の事業者が利用することは難しい。

 以上の点から、レベル3は以下の改革を提案させていただく:

 上記の改革を行うことにより、新規参入事業者はネットワークをより迅速かつ効率的に構築する際に必要な手段が得られる。その結果、新たなインターネットや広帯域サービスなどの革新的なサービスが、日本の消費者に迅速かつ効率的に提供できるようになる。


 レベル3は第一種電気通信事業許可を取得しており、今年後半には日本でのサービス提供を開始する計画である。日本市場の開発計画の一環として、東京に6千平方メートルのゲートウェイ設備「日本最大級のコロケーション施設」を設置する予定である。レベル3を子会社にもつLevel 3 Communications, Inc. は、米国に拠点を置く情報通信関連企業であり、IP技術に特化した初の国際ネットワークを現在構築中である。また、今年後半に完成が予定されているJapan-US海底ケーブルシステムにおいては、その建設主体であるコンソーシアムの最大の参加企業の一つとなっている。この海底ケーブルが完成すれば、日本の設備が欧米のネットワークに接続されることになる。すなわち、レベル3はまさに、革新的かつ包括的なサービスを日本の消費者に対して提供しようとしている。

 日本市場への第一種電気通信事業新規参入者として、レベル3はネットワーク構築において以下の課題に直面している:

 このプロセスの多くの段階において、レベル3は既設事業者が構築した施設を利用する必要が生じる。潜在的顧客が集中しているエリアでサービスを提供するには、線路敷設権が不可欠であり、既設事業者およびその競争者双方にとって、きわめて重要な意味を持つ。線路敷設権をもつ事業者は、当然ながら、競争に有利となる特権を容易には手放さない。外務省が発行した報告書1に記載されているように、実施可能なアクセス権および規制当局の監督が欠如することにより、新規参入事業者が利用を希望する際、無用な遅れ、費用に基づかない料金体系、および差別的な扱いが生じる体制ができてしまっている。この状態がもし持続するならば、新規事業者による最新設備の展開インセンティブがこの体制によって阻害され、また電気通信業界への投資の減少を引きおこすことになる。

 このような状況は、日本だけに見られるものではない。米国やその他の国では、独占企業として長年運営してきた競合他社が多くのオフィスや個人宅にサービスを提供する際に必要な線路敷設権の大半を管理している。米国連邦通信委員会(FCC)は、本来あるべき競争を展開するには、そのような建物へのアクセス権を新規事業者にも与えることが必要だと認識するに至った。そして、次のように結論づけている。

 「競争的な電気通信業事業者が複合テナント環境下の顧客にアクセスできることは、地域の電気通信市場の競争を成功裏に発展させるうえで不可欠である」2

 米国の法令では、LEC(地域キャリア)を含めた公益企業は、その所有または管理下にある電柱、ダクト、コンジット、あるいは線路敷設権を、電気通信事業者に差別なくアクセスさせなければならない3。FCCはとりあえずの結論として、この義務におけるアクセス対象を、複合テナント環境にあるエンドユーザ機器を含め、事業者が所有または管理する線路敷設権、コンジット、屋上アンテナ、垂直管などの私有財産としている4。現在は、法律要件と矛盾しないアクセス責務を課す規則を採用する過程にある。

 オーストラリアでは、すべての第一種電気通信事業者は、その事業者の設備を他の第一種電気通信事業者のコンジット、交換機、鉄塔、およびサイトの機器類とコロケートする権利をもつ5。また、すべての第一種電気通信事業者は、私有地に入って検査を行い、また適切であれば公共ネットワーク用の通信設備をその私有地に設置したり、その設備を保守することが許されている6。このような法令は、これまで成功裏に利用されてきた。巨大な商業施設の顧客たちは、好みの通信サービスプロバイダを選択し、その事業者のサービスに迅速かつ効率的にアクセスしている。

 日本政府は、国内の電気通信市場を競争下に開放することを約束している。そして、遍在する既設事業者のネットワークに新規事業者がアクセスできるよう、相互接続などの要件を指令している。この約束を実行するには、顧客への物理アクセスを管理する事業者が新規事業者の発展を不当に妨害しないよう、貴政府が新規事業者の権利を保護する法令を制定し、それを積極的に実施することが求められる。

 レベル3は、線路敷設権の問題について日本政府が率先して取り組んでいる点を歓迎する。貴政府は1998年12月、「日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組み」の下での「規制緩和及び競争政策に関する強化されたイニシアティブ」の一環として、新規事業者が自らのネットワークを構築するために線路敷設権が得られるようその方策を検討すると約束した。
 1999年3月26日には、外務省によって「線路敷設に関する事業者等による改善策等の現状」という資料が発行された。それには、既設の第一種電気通信事業者が他の事業者に対して地上および地下の設備の利用を許可するための方法の詳細が記載されている。

 しかし、既設の事業者によって提案された方策は明らかに不適切である。手続きのタイムフレームは過度に長く、拘束力もなく、そのうえ一般に設備所有者に認められる自由裁量の度合いは容認しがたいものである。また計上されるコストは長期増分費用に基づいていない。さらに、プロセスは規制当局によって管理されず、適切な検査も行われない。

 レベル3は、日本が米国やオーストラリアで採用したのと同様の規則を採用し、競争的な参入を促進する体制が確立されるよう主張したい。

 これらのアクセス責務を立法によって課し、郵政省が主体になって施行・実施するべきと考える。これらの課題はすでに多団体からなる研究会によって検討されてきており、議案を今年中に国会に提出して悪い理由はない。法案はすべての第一種電気通信事業者に対し、少なくとも以下の点を義務づけるべきである:

 郵政省は線路敷設権の能力に関するあらゆる討論を調停するべきである。さもないと設備利用の提供がタイムリーに実施できなくなる。

 上述の規則では、支配的な事業者が競争的参入者を阻害するため、複合テナント環境において自社が管理する線路敷設へのアクセスを拒否するような事例が対象になる。しかし、他の事例として、競争的参入者の妨害を行うのが既設事業者ではなく、建物の所有者であるケースもありうる。もし規制による介入がなければ、建物の所有者は電気通信事業者から過大なアクセス料を徴収するか、あるいは最も高額な料金を支払う事業者にのみ排他的アクセスを認めるなどの方法により、テナントへのアクセスを制限することが可能になる。そのような建物に収容されるテナントは、利用するキャリアを自分で選択する機会を奪われ、競争的な電気通信市場に見られる料金の低下や技術革新などの恩恵が享受できなくなる。

 それゆえ、すべての第一種電気通信事業者は、個人ユーザまたはビジネスユーザの複合テナントを収容する建物に、調査目的、あるいは可能であればそこに収容される顧客を接続する設備を設置する目的で入室する権利を与えられるべきである。その後、建物の所有者はある手続き(郵政省が管理する)により、これらの事業者から妥当な代償を求めることになる。しかし、競争をあらかじめ阻害したり、あるいはテナントが自ら選択した電気通信事業者を利用できなくすることがあってはならない。事業者に迅速かつ不公平のないアクセスを保証し、かつ建物の所有者への公平な代償を保証することにより、このアプローチは、電気通信の発展と個々の財産権をバランスよく扱うことになる。

 この改革案を立法化すること--そして郵政省がそれを積極的に実現・施行すること--が日本で有効な競争を展開するにあたって不可欠となる。またそれにより、日本に住むより多数の消費者が、革新的なサービスを低料金で利用できるようになる。

 本件についてさらに意見を提出する機会、および外務省が主催する2月のフォーラムに参加する機会が与えられればレベル3として幸甚である。

[出典]

  1. 「線路敷設に関する事業者等による改善策等の現状」、外務省(1999年3月26日)
  2. Promotion of Competitive Networks in Local Telecommunications Markets, 14 FCC Rcd. 12673, 12687 (1999年)("Competitive Networks")
  3. 47 USC§224 (f)(1) 参照
  4. Competitive Network, 14 FCC Rcd. 12693-94
  5. Telecommunications Act 1997(1997年電気通信法)、スケジュール 1、パートV
  6. Telecommunications (Low-impact facilities) Determination 1997



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