外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 外交政策 犯罪
犯罪

G8ハイテク犯罪対策・官民合同ハイレベル会合
プレス・リリース

(仮訳:英文が正文)


2001年5月24日

 今週、東京において、G8各国の政府・民間及び欧州委員会の上級代表が集い、ハイテク犯罪対策及び犯罪目的でのインターネットの使用について議論を行った。そこでは、公共の安全、プライバシー及び他の社会的な諸価値の擁護、並びに情報社会と電子商取引の成長の促進を含んだ公共の利益を増進するような、あり得るべき解決策が探求された。G8ハイテク犯罪対策・官民合同ハイレベル会合は、リヨングループという名で知られる国際組織犯罪対策上級専門家会合が主催して、5月22日から24日まで開催された。


1.  情報・通信技術(IT)は、21世紀を形作る可能性を秘めた力である。われわれが目の当たりにしている経済的、社会的及び文化的変容は、疑いもなく重大である。しかし、ITの絶え間ない発展はまた、犯罪者に新たな技術を濫用して犯罪を犯す機会をも与えている。ハイテク犯罪は、異なった国々の複数の電気通信/コンピュータ・ネットワークを通じて瞬時に実行される可能性があり、世界中の企業や国家のみならず、一般個人にまで直接影響を及ぼす。ハイテク犯罪は、深刻な世界的な脅威となっている。

 ハイテク犯罪に効果的に対抗するためには、国際的な協力が不可欠である。G8は、リヨングループの枠組み内で、この緊急課題の解決に努めてきた。しかし、政府間のみの協力では不十分である。政府・民間の間のパートナーシップが重要であり、このことは1998年のバーミンガム・サミット以来、G8各国の首脳により強調されてきた。

 このような背景から、リヨングループは、2000年5月、パリにおいて、第1回のG8政府・民間代表者会合を開催した。パリ会合においては、G8各国の政府代表者は、主要な通信・新技術関連企業130社の代表者と対話を行った。出席者は、新技術の犯罪における使用が通信及びコンピューター・システムの安全性を脅かす方法について議論するとともに、あり得べき解決策を模索した。

 2000年7月の九州・沖縄サミットにおいて、G8各国の首脳は、パリ会合で生み出された成果及びモメンタムを歓迎し、民間との対話を促進する必要性を強調した。リヨングループは、官民の対話を進展させるため、2000年10月、ベルリン会合を開催した。ベルリン会合での作業の大部分はワークショップで行われ、政府と民間との協力を妨げる障害の除去、及び、ハイテク犯罪を予防、探知、捜査するための実務的な解決策の追求に重点が置かれた。


2.  今週の東京会合は、九州・沖縄サミットにおけるG8各国首脳のコミットメントを受けて、実質的な成果を生み出すことを目的として、民間との対話を更に促進するために開催されたものである。

 この目的を達成するため、G8各国の政府及び民間の上級代表(約200名)は、個別のプロジェクト・グループにおいては、主要な問題点について意見交換を行うとともに、一堂に会した全体会合においては、横断的な問題や官民間の将来の協力のあり方を模索した。

 ベルリンで始められたワークショップでの議論を継続し、国内的及び国際的レベルでの成果に基づいて、5つのプロジェクト・グループは、i)データの保存、ii)データの保全、iii)脅威の分析及び予防、iv)電子商取引の保護及びユーザー認証、v)トレーニング、の各問題を検討した。

データ保存-以下の事項について討議され、または、検討された。
  • 資源(resources)及びビジネスチャンスの観点からのコスト及び優先事項に関する討議;
  • 現在存在する様々なサービス、ビジネス・モデル及びサービス・プロバイダーに関する検討;
  • 法的、技術的、財政的な問題及びプライバシーの問題に配慮した上でのデータ保存の実務に関する討議。

データ保全-以下の文書が作成され、以下の問題が検討された。
  • 法執行機関がデータの保全を要請する際に用いるためのチェックリストの作成
  • データ保全に関する法的枠組みを考えるに当たり検討されるべき事項に関するリストの作成
  • データ保全の要請に対するプロバイダの協力を妨げる法の衝突及び裁判権の問題に関する討議
  • データ保全に関する法執行及び産業界のためのベスト・プラクティスの作成

脅威分析及び予防-以下の勧告がなされた。
  • コンピュータを利用した犯罪とコンピュータ・ネットワークへの攻撃の予防には官民の緊密な協力が必要である。
  • 内容(コンテンツ)関連の脅威の予防は技術的または法的な理由により末端利用者のレベルにおいてはじめて対処可能となる。
  • 政府は、IT社会において、すべてのユーザーの意識を高めることにさらに関与されなければならない。
  • G8諸国及び非G8諸国における共通の慣行が定められるべきであり、かつ、国ごとの脅威の分類が相互に通用するものとなるべきである。
  • 各国は、社会の様々な分野におけるハイテク犯罪とその影響の正確な構図を集積し、明確にする機構を設立すべきである。

電子商取引の保護とユーザー認証-以下の諸分野が討議され、勧告に至った。
  • データ/ネットワークのセキュリティ・ポリシー
  • データ/ネットワークのセキュリティモデルの要素についての提案
  • より安全な電子商取引の指針についての提案
  • G8共通の電子商取引ウェブサイト
  • 相互認証
  • 情報共有
  • 将来の討議

トレーニング-以下の文書が作成された。
  • トレーニング戦略の概要表
  • トレーニングと認識のための論理モデル
  • 産業界のための戦略の概要表
  • 政府・産業界協力のひな形
  • 技能セット及び対象者のひな形 

 政府及び民間双方からの参加者の積極的な参画によって、全てのグループは自由、率直かつ実務的な討議を行った。パリ会合及びベルリン会合での成果に立脚して、各グループは実務的な解決策と具体的な結果を探求した。彼らの討議の成果物のうちいくつかは別添されている。更に、対話自体が価値のあるものであると証明された。


3.  プロジェクト・グループ会合の後、参加者全員が全体会合に出席した。参加者はプロジェクト・グループで取り上げた分野について、より幅広い視野から議論を行い、とりわけ、関係者間での将来の協力、一般市民の意識および非G8諸国へのアウトリーチを含むより広範な問題についても考察した。

 拘束力を有するような約束や、いかなる種類の公式な合意の形成は目指されていなかったが、関係者全員が、この対話の価値及び適当な場において対話を継続することの必要性を認識した。


4.  ワークショップ会合に参加した各国政府代表は、民間代表との協議の後、以下の認識を共有した。

 ITは、情報へのアクセス、共有及び交換並びに経済発展のための前例を見ない機会を与える一方で、その濫用が国際社会にとってますます懸念材料となっている。ITがグローバルな社会の不可欠な基盤になればなる程、サイバー空間における安全性及び信頼性を確保することが、ますます重要になる。信頼性の欠如が、ITに導かれている社会のまさに根底を危険にさらすことにもなりかねない。この意味で、政府、民間および個人ユーザー全てが、ハイテク犯罪に対する闘いにおいて、共通の利害を有している。更に、ITの保護は、個人のプライバシーと安全を、ある面では増進することを可能にする。

 個人のプライバシー、産業の健全な発展及びその他の社会的諸価値を尊重しつつ、サイバー空間における安全性と信頼性を確保するためには、脅威が特定されて、予防され、ハイテク犯罪者を追跡・特定できる法執行能力が維持される必要がある。これらの課題の解決策は、更なる官民協力の進展を必要とする。ハイテク犯罪を扱う教育の改善及びトレーニングの機会も、官民双方にとり死活的に重要である。

 東京会合は、これらの分野におけるG8の官民間の対話の深化における、新たな重要な1歩となった。21世紀を迎え、われわれは、サイバー空間における繁栄、機会及び市民的権利の促進に努める。

 今次会合の結果、ハイテク犯罪と戦うためには、官民間の協力関係を更に強化し、世界規模における国際協力を促進する必要があることが再確認された。

 今次会合の成果は、2001年7月、ジェノバに集うG8首脳間の議論を促進することが期待される。



目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省