1.これまでの経緯 |
(1) |
昨年4月の日タイ首脳会談で、日タイ経済連携協定(JTEPA)を検討するための作業部会の設置に合意。 |
(2) |
両国政府間で、5月と7月に2回の予備協議を開催し、日シンガポール経済連携協定(JSEPA)の法的構造を基礎または参考として検討を進めること等を確認。 |
(3) |
9月から今年5月の間に5回の作業部会が開催され、日タイ経済連携の可能性について議論が行われた。 |
(4) |
今年6月のタクシン首相訪日の際の日タイ首脳会談の結果を受けて、産・学の参加者を拡大したタスクフォースを設置。今年7月~11月の間に3回の会合を開催。タスクフォースは作業部会における成果を引き継ぐと共に、機微な分野の検討も含め双方の理解を深める作業を行った。また、これまでの議論の内容をまとめた報告を作成し、これを日ASEAN特別首脳会議に際して両首脳に提出。
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2.報告書の主な内容
両国間の経済関係の概観及び二国間経済連携による経済効果分析の結果報告に続いて、日・タイ経済連携協定の対象となり得る貿易・投資の自由化及び円滑化、並びに協力の各分野についての議論の概要が記載されている。主な内容は以下の通り。
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(1) |
日本側学界関係者から、両国とも二国間の貿易自由化によりマクロ経済的便益を享受することができる旨の分析結果が報告された。 |
(2) |
物品の貿易の自由化に関しては、両国は各々の機微な品目の状況等について説明した。交渉に際しては、WTOルールとの整合性を確保しつつ、機微な問題に対処するための各種の手法を用いることを考慮することとした。 |
(3) |
競争政策については、日本側の経験を基に具体的な各要素につき議論を行うことを提案し、建設的な議論を通じて、協力に関する基本的な構造につき合意した。 |
(4) |
政府調達については、日本側よりWTO政府調達協定の諸要素を提示するなどして議論を行った。 |
(5) |
サービス貿易の自由化について、両国は、各々の具体的な関心事項についての意見交換を行った。機微な分野については適切な考慮が払われるべきだが、JTEPAでの約束はWTOのそれよりレベルの高いものであるべき点で一致した。 |
(6) |
投資については、両国は他国のモデルになるような高いレベルのルールの策定を追求することで一致した。 |
(7) |
自然人の移動は、経済面での連携を達成する有益な方途であるとの認識を共有した。日本側からは労働許可の問題等、タイ側からは医療関係者等についての入国等の自由化・円滑化についての関心が示された。 |
(8) |
税関手続、貿易取引文書の電子化、相互承認及び基準認証、知的財産といった円滑化分野については、日・タイ経済連携の枠組みで進展を図ることの重要性について一致した。またビジネス環境の整備を促進するべき点で一致した。 |
(9) |
金融サービス協力、情報通信技術、科学・技術・エネルギー・環境、教育・人材育成、観光、中小企業、貿易投資促進、農林水産業協力等、日・タイ間の互恵的な協力は二国間の経済連携の強化に貢献するとの認識で一致した。 |
1.背 景
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2.概 観
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3.経済効果分析
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4.議論の概要
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(1) |
物品の貿易 |
(2) |
原産地規則 |
(3) |
税関手続 |
(4) |
貿易取引文書の電子化 |
(5) |
相互承認及び基準認証 |
(6) |
競争政策 |
(7) |
知的財産権 |
(8) |
政府調達 |
(9) |
サービスの貿易 |
(10) |
投資 |
(11) |
自然人の移動 |
(12) |
金融サービス協力 |
(13) |
情報通信技術 |
(14) |
科学・技術・エネルギー及び環境 |
(15) |
教育及び人材育成 |
(16) |
観光 |
(17) |
中小企業 |
(18) |
貿易投資促進 |
(19) |
農林水産業協力 |
(20) |
ビジネス環境整備 |
(21) |
紛争の回避及び処理
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5.添付書類
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(1) |
参加者リスト(作業部会) |
(2) |
参加者リスト(タスクフォース) |
(3) |
統計:日タイ間の貿易及び投資 |
(4) |
日タイ間の貿易自由化の量的分析 |
(5) |
日タイ経済連携協定における農業合意の方向 |
(6) |
知的財産分野における可能な要素 |
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(参考)
1.日・タイ経済連携の意義 |
(1) |
日本企業の重要な生産拠点(産業界からの強い要望)。 |
(2) |
比較的高関税であり、経済連携による貿易拡大効果や投資促進効果が大きい。
:平均約26%(日本:約3%)、有税品目割合約90%(日本:約29%) |
(3) |
ASEANの中核としてのタイとの政治経済関係の強化(両国の政治的コミットメントの度合いも高い)。 |
(4) |
タイ経済の成長と安定性:市場としての重要性。昨年は、約5.2%の経済成長率。
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2.日・タイ経済関係 |
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【日本】 |
【タイ】 |
人口 |
1億2,748万人 |
6,219万人 |
GDP |
約4.0兆ドル |
約0.1兆ドル |
1人当たりGDP |
約3万1千ドル |
約2千ドル |
平均関税率(2002年) |
約2.9% |
約25.8% (単純平均譲許税率) |
貿易(2002年) |
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(1) |
輸出(日本→タイ)1.65兆円(2002年)(第8位の輸出相手国)(対ASEAN輸出額の23.7%) |
(2) |
輸入(タイ→日本)1.31兆円(2002年)(第11位の輸入相手国)(対ASEAN輸入額の20.3%)
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3.主な輸出入品目 |
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(出所:人口、GDP、1人当たりGDP:IMF International Financial Statistic Nov.2003より、平均関税率:WTO CTSより、貿易:財務省貿易統計より) |