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軍縮・不拡散

天野軍備管理・科学審議官挨拶

国連軍縮大阪会議における天野軍備管理・科学審議官挨拶

平成15年8月19日



ご列席の皆様、

本日、国連軍縮大阪会議の開催にあたり、日本政府を代表して御挨拶する機会を得ましたことを、大変光栄に思います。会議開催のために尽力された国連軍縮局、特に今年7月に就任された阿部国連軍縮局長を始めとする関係者の方々、開催地として準備に奔走された大阪市の皆様に対し、心から感謝いたします。また、世界各国から大阪の地を訪問された参加者の皆様を暖かく歓迎致したいと思います。

我が国における国連軍縮会議の開催は、1989年の京都会議を皮切りに、今回で15回目を数えるに至り、これまで多くの成果を上げて参りました。この四日間が、大阪市民の皆様、更には日本国民にとって、軍縮・不拡散と平和の問題をより身近なものとして捉えるための良き機会となることを心より願っております。

現在、日本人は、軍縮の舞台で大きな活躍をしています。今年の7月から、国連の軍縮局長に阿部信泰氏が就任しました。軍縮について世界情勢は厳しいですが、今後の活躍が期待されています。また、8月18日から、猪口軍縮代表部大使が、ジュネーブ軍縮会議で議長を務めております。また、川口大臣は、我が国が議長を努める時期に、現職外務大臣として12年ぶりにジュネーブ軍縮会議を訪問しスピーチをする予定です。このように軍縮についての多くの有能な人材を排出し、また力を入れている我が国において、国連軍縮会議を開催することで、多くの良い考えが生まれることを大いに期待しています。

世界で唯一、核兵器の惨禍を経験した我が国は、核兵器が再び使われてはならないという強い決意をしております。今年の8月6日、9日の広島、長崎での原爆式典で、小泉総理が、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという非核三原則について表明しているなど、歴代の内閣は、非核三原則について繰り返し表明しております。我が国としては、核のない世界の実現を目指し、今後とも世界の平和と繁栄のために取り組みたく、核軍縮・不拡散のための粘り強い努力を重ねていく所存であります。

核兵器不拡散条約(NPT)は、北朝鮮の核兵器開発問題等が起こっている中で、現在、危機に瀕しております。NPTは、国際核不拡散体制の礎として、そして核軍縮促進の基盤として1970年の発効以来、そして特に冷戦の終結後、国際社会の平和と安全の維持・強化に多大な貢献をしてきており、その面でのNPTの役割は不可欠のものであります。2005年の運用検討会議に向け、更にNPTを強化しなければなりません。

また、我が国は、核兵器のない平和で安全な世界を実現するための現実的かつ具体的措置として、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に向けて努力をしています、99年に開催された第一回発効促進会議で議長国を務め、その後も発効のための要件となっている国々に対して、早期批准の働きかけを行っています。9月にウィーンにて開催される第三回CTBT発効促進会議においても、川口大臣がこれに出席し早期発効を強く訴えていきたいと考えています。

また、我が国は、94年以降毎年、核軍縮に関する決議案を国連総会に提出しています。この決議は、現実的なアプローチにより核兵器のない平和で安全な世界を目指すものであります。昨年11月にも、「核兵器の全面的廃絶への道程」決議案として提出し、圧倒的多数をもって採択されております。

核兵器以外の大量破壊兵器として、「貧者の核兵器」とも呼ばれる生物兵器及び化学兵器があります。これらの兵器の開発、生産等については、生物兵器禁止条約(BWC)及び化学兵器禁止条約(CWC)によって包括的に禁止されており、今後それらを如何に普遍化・強化するかが重要な課題となっています。BWCについては昨年11月に今後3年間の作業計画が策定され、締約国が条約強化に向けて更に努力を続けていくことが合意された他、CWCについては、本年4月の運用検討会議において、化学兵器の全面廃棄と不拡散に対する決意が改めて表明されました。我が国として、今後ともこれらの体制強化のため、積極的な外交努力を行っていく考えです。

大量破壊兵器を運搬可能な弾道ミサイルの拡散も国際社会の平和と安全に対する脅威です。我が国は、従来から弾道ミサイル不拡散のための国際的な取組に積極的に貢献して参りました。2002年11月、オランダのハーグにて、我が国を含む93カ国の参加を得て採択された「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範」(ICOC)は、これまで国際社会全体のルールが存在しなかったミサイル不拡散分野での新たなルールが作成されました。我が国としても、現在106カ国が参加するICOCが更に幅広い支持を得て普遍的なものとなるよう努めていく考えです。

また近年、大量破壊兵器に対する新しい取組も行われています。昨年のカナナスキス・サミットで合意された「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」は、大量破壊兵器削減の為に資金と人材を投入するという意味で新しい試みです。特に、ロシア極東地域には、多くの退役原子力潜水艦が未処理のまま残されており、これらの安全かつ迅速な解体は、核軍縮・不拡散の観点とともに、環境保護の観点からも緊急の課題となっています。我が国は、極東ロシアにおける退役原子力潜水艦解体事業を「希望の星」と名付け、ロシアと協力して進めています。今年6月には、この「希望の星」プロジェクトの第一号となる原子力潜水艦の解体に関する実施取り決めが締結され、近く解体に着手できる見通しとなっています。

軍縮の問題は、大量破壊兵器だけにとどまりません。国際社会には、過剰なまでの小型武器が存在しています。実際の紛争の死者の90%以上が小型武器によるものであり、事実上の大量破壊兵器とまで言われています。過剰に蓄積された小型武器を破壊し、非合法に取引される小型武器を規制するために、国際社会は行動計画を策定しました。本年七月には、猪口軍縮代表部大使が国連小型武器中間会合で議長を務め、小型武器問題の解決に向けた積極的なイニシアチブを発揮しました。

また、我が国は、対人地雷の問題にも積極的に取り組んでいます。我が国は、今年の2月に、対人地雷禁止条約に基づき貯蔵対人地雷の廃棄を完了しました。また、本年9月には、タイのバンコクにおいてアジアで初めて対人地雷禁止条約の締約国会議が開催されます。今後とも、地雷除去活動や犠牲者の支援を進め、対人地雷のない社会の実現に向けて努力を重ねていきます。

以上、我が国の軍縮・不拡散分野における最近の主な取組についてお話しました。最後に改めて、国連軍縮大阪会議で、皆様の活発な議論により、世界平和に向けた道筋が示されることを期待しています。 どうもありがとうございました。


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