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第2回アジア・エネルギー安全保障セミナー(概要)
平成13年3月12日
 3月6日(火)、第2回アジア・エネルギー安全保障セミナーを開催しました。昨年は、北東アジアにおける天然ガスの利用の拡大について議論しましたが、今年は、ダニエル・ヤーギン・ケンブリッジ・エネルギー研究所(CERA)会長やプリドルIEA事務局長らを迎えて、石油の問題に焦点を当てて、21世紀のアジアのエネルギー安全保障問題を様々な観点から議論しました。スピーカーやゲストとして招待したエネルギーの専門家、我が国政府関係者、外交団、本邦企業、研究機関を含め、約30カ国、3国際機関からエネルギー関係者約200人が参加しました。

1.概要

(1)開会挨拶では、衛藤外務副大臣が、アジアのエネルギー需要の見通しと石油の役割、エネルギー市場自由化の動き、環境問題等に言及の上、アジアの多様性を踏まえつつ、アジアのエネルギー安全保障のため、協力(cooperation)、協調(coordination)、協同(cohesion)の3Cを図っていくことを提唱しました。続いて、中山元外務大臣が、アジア・エネルギー共同体構想の重要性を指摘しつつ、セミナー開催の祝辞を述べました。

(2)第1セッション「アジアのエネルギー安全保障の課題」では、エクロフCERAアジア部長が21世紀のエネルギー安全保障に関連する各問題について、ボーフン・アジア開発銀行(ADB)インフラ局長がアジアにおける持続的開発とエネルギー利用の問題について、ムハンナー・サウディ・アラビア石油大臣顧問が中東とアジアの石油貿易等での関係強化の可能性について、それぞれ発表しました。

(3)第2セッション「アジアのエネルギー市場の行方」では、シオシャンシ・米メンロー・エネルギー研究所長がIT革命のエネルギー市場に及ぼす影響について、中澤東京工業品取引所理事長が原油先物上場計画等について、ウィロユド・インドネシア国営石油会社副総裁が今後の上流開発技術の問題について、周中国国家発展計画委員会顧問が中国の石油需給の見通しと供給政策について、それぞれ発表しました。

(4)丸谷外務大臣政務官が主催した昼食会では、「石油の世紀」でピューリッツァー賞を受賞したヤーギンCERA会長が、21世紀のエネルギー問題について、IT革命、グローバリゼーションの影響等に言及の上、第一次世界大戦前に軍艦燃料の石炭から石油への転換を推進したチャーチル海軍大臣が「いかなる一つの品質、一つのプロセス、一つの国、一つのルート、一つの分野にも依存すべきではない」と演説で述べたことを引用し、エネルギー源多様化の重要性を強調しました。

(5)3セッション「アジア地域のエネルギー・リスク管理」では、柳韓国産業資源部審議官が韓国の石油備蓄等の取り組み状況について、ウィラポン・タイ国家エネルギー政策局部長がタイのエネルギー政策について、須藤および東・三菱総研研究員が、ミクロ経済学一般均衡モデルにより分析した石油供給途絶のアジア経済への影響について、鄭アジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)副所長がAPEC地域でエネルギー安全保障のために取り組むべき問題について、それぞれ発表しました。

(6)第4セッション「アジアの地域協力の方向性」では、プリドルIEA事務局長が、グローバルな機関であるIEAが、アジア地域に対し、shared goals等の観点から貢献しうることを指摘しました。松永経済産業省資源エネルギー庁資源燃料部長は、アジアにおけるエネルギー安全保障のための具体的協力策として、(1)アジア地域に豊富な天然ガスと石炭の利用促進によるエネルギー源多様化、(2)エネルギー利用効率改善、(3)石油備蓄整備を挙げ、また、エネルギー源の域外依存の状況に鑑み、(4)中東との良好な関係の維持が重要である旨指摘しました。

2.成果

 アジア地域にはエネルギー事情が異なる国が混在していますが、今回のセミナーではアジアが持続的な経済成長を達成していくために、エネルギーの安定供給の確保が必要であり、そのためのアジア域内での協力、および中東産油国等域外との協力を一層進めていくことの重要性が確認され、その具体策について議論されたことが、今回のセミナーの大きな成果と言えます。市場の自由化、環境問題、技術革新などエネルギーを取り巻く環境が急速に変化する中で、必要なエネルギーの供給を量的に確保するとともに、価格の安定化を図るためどのように協力体制を構築していくかが今後アジアのエネルギー安全保障を図っていく上での根本的な課題であるという認識が、セミナー参加者に広く共有されました。外務省としては、このような今回のセミナーの成果を踏まえ、経済産業省など関係省庁と協力して今後のエネルギー外交を進めていく考えです。



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