OPEC協議会合の概要
平成14年1月7日
2001年12月28日、カイロで開催されたOPEC協議会合の結果、次の通り。
1.合意内容(ポイント)
(1)非OPEC産油国であるアンゴラ、メキシコ、ノールウェー、オマーン、ロシアが合計46.25万バレル/日の削減を行うことを約束するという前向きな発表を検討の上、OPECは、2001年11月14日に発表した全体の生産量を更に150万バレル/日削減するという措置を2002年1月1日から6ヶ月間行うという決定を確認。
(2)OPECは、全ての産油国が約束した削減量を遵守することの重要性、並びに、産油国、消費国のいずれにとっても良い公平かつ公正な価格レベルによって持続的な市場の安定性が達成されるよう協力を継続することの必要性を強調。この目標のため、他の産油国と緊密に協議して、今後数ヶ月、世界経済の動向と需給状況の双方を引き続きモニターし、望ましい結果が得られることを確保する。
(3)次回定例総会を2002年3月15日(金)にウィーンで開催することで日程を再調整した。
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(注)2001年11月14日の第118回OPEC臨時総会後、今回の会合の開催までに、非OPEC産油国全体で46.25万バレル/日(ロシア15万バレル/日、ノールウェー15万バレル/日、メキシコ10万バレル/日上限、オマーン4万バレル/日、アンゴラ2.25万バレル/日)の減産実施(但し、ロシアについては、減産ではなく、輸出量の削減)の発表等がなされたが、これらの合計が、OPEC諸国による計150万バレル/日の減産実施のための条件である「非OPEC産油国による計50万バレル/日の減産」に満たない中、今回の会合において、OPECが2002年の減産実施に踏み切るか否かが注目されていた。
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2.記者会見概要
(1)OPEC側(ロドリゲス事務局長及びケリル議長)は、今後の市況をモニターしていく必要があり、経済状況を見つつ、必要があれば6ヶ月以内でも新たな適切な措置を決定すると述べた。
(2)OPECと非OPEC産油国との協調のためのより良いメカニズムを作る考えがあるかとの問に対し、OPEC側は、現時点でOPECと非OPECとの協力のための公式なメカニズムができるとは言えないが、OPECと非OPEC産油国の協力関係は今後とも強化されるであろうとの見方を示しつつ、非OPEC産油国との協調は積極的に進めており、ノールウェー、ロシア、メキシコ等を訪問していると応じた。また、ロシアについては、時期はまだ決まっていないが、近い将来訪問することを予定していることを明らかにした。また、2001年9月11日以降、世界経済の不況、石油需要への影響、及び石油の過剰生産の問題を考慮する必要が出てきたが、今回の決定は、これらのうち石油の過剰生産の問題を解決するためのものである旨説明した。
(3)ロシアの対応についての問に対し、OPEC側は、ロシア政府の公式見解は輸出を2002年第1四半期に削減するというものであるが、第2四半期にかけて特に同国と十分コンタクトしていく考えを示した。
3.石油市場の動向
今回の会合を受けて、28日の原油市場は一時価格の上昇が見られたが、WTI原油は、結局前日比0.49ドル/バレル下落し、20.41ドル/バレルで取引を終えた。
4.評価
世界経済の停滞による石油需要の減退が続く中、今後の石油需要の回復、OPEC諸国の生産目標の遵守状況、非OPEC産油国の減産表明の達成状況等が、石油市場に与える影響を引き続き十分注視していく方針。
OPEC各国(イラクを除く)の生産目標
(単位:千バレル/日)
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2001年9月生産目標 |
今回合意生産目標(注1) |
生産枠変動幅(注2) |
現生産量(注3) |
アルジェリア |
741 |
693 |
▲48 |
820 |
インドネシア |
1,203 |
1,125 |
▲78 |
1,190 |
イラン |
3,406 |
3,187 |
▲219 |
3,450 |
クウエイト |
1,861 |
1,741 |
▲120 |
1,940 |
リビア |
1,242 |
1,161 |
▲81 |
1,290 |
ナイジェリア |
1,911 |
1,788 |
▲123 |
2,080 |
カタル |
601 |
562 |
▲39 |
610 |
サウディアラビア |
7,541 |
7,055 |
▲486 |
7,700 |
ア首連 |
2,025 |
1,893 |
▲132 |
2,000 |
ヴェネズエラ |
2,670 |
2,496 |
▲174 |
2,670 |
(イラク) |
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- |
- |
2,770 |
合 計 |
23,201 |
21,701 |
▲1,500 |
23,740
(含むイラク)
26,510 |
注1、2 |
各国別の減産量は従来の減産実績による推測値 |
注3 |
2001年11月の生産量(IEA月例オイルレポート) |
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