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第9回国際エネルギー・フォーラム(IEF)
(概要と評価)


平成16年6月21日


1.概要

(1) 5月22~24日、蘭アムステルダムにて、65ヶ国のエネルギー担当の閣僚級および11の国際機関の代表が参加し、第9回国際エネルギー・フォーラム(IEF:International Energy Forum)が行われた。なお、主催国は蘭、共催国はイラン及びノルウェーが務めた。
注:本フォーラムは、91年仏での第1回開催以降、石油市場の安定等について産油国および消費国間の対話促進を図るため、原則、隔年で開催されており、前回(8回)は2002年9月に大阪で開催)。

(2) 我が国からは、中川経済産業大臣が、初日午後第1セッション(テーマ:Setting the Scene)にパネリストとして参加し、リード・スピーチを行った。
(他の主な参加者は、米エイブラハム・エネルギー省長官、露マテロフ産業エネルギー省次官、仏ドゥジャン経済財政産業担当大臣、英ティムズ貿易産業大臣、イラン・ザンギャネ石油大臣、サウジアラビア・ナイミ石油鉱物資源大臣、中国張国宝国家発展改革委副主任、マンディルIEA事務局長、プルノモOPEC議長兼事務局長等)。

(3) 同フォーラムの主要テーマは、今後、アジアを中心に増大が見込まれる世界の石油需要を満たすためには、OPECを中心とする産油国における継続的な石油投資が不可欠であり、そのために必要な産消国双方の取り組みを議論するというもの。他方、同議論とは別に、同フォーラム参加のために集まったOPEC加盟国が、記録的な油価高騰が続く石油市場に対し如何なるメッセージを発出するかについても多大な関心が寄せられた。

(4) そのため、会議後の記者会見で発出された主・共催国によるフォーラム・サマリー(別添参照(仮訳付き))においても、“現状の油価高騰に対する懸念”が表明され、その要因は、“予想外の需要増、上流・下流部門でのキャパシティ不足、地政学的不透明感等と指摘”されており、市場の安定のため、“産消国双方とも、安定的な価格水準を実現するための措置をとることが必要、産油国による増産の動きは歓迎すべき”と表現されている。


2.評価

(1) 今次会合は、市場における油価高騰から、フォーラムそのもののみならず、参加するOPEC等の産油国関係者の動向が大いに注目を集める結果となった。実際の議論でも、消費国や途上国の代表から油価水準への懸念が表明され、産油国からもOPECの価格政策(プライス・バンド)の妥当性やバンド帯の引き上げなどが言及され、政治レベルによって忌憚のない意見交換が行われた結果、世界経済の健全な発展のために安定した石油市場の必要性について認識が共有された点は評価に値する。

(2) 他方、本来のテーマ“将来の需要を担うための継続した投資の必要性”についても、産消国双方は、途上国におけるエネルギーへのアクセスの向上等の問題も含めて、その役割に応じた対応が必要であること等について共通理解が得られたことは意義が大きい。



第9回IEFセッション別の概要


(1) 第1セッション(テーマ;状況設定)

IEAおよびOPECによる石油需給の見通しに関するプレゼンの後、中川経産大臣より、(a)前回大阪大会の成果のレビュー(産消国双方の利益として国際石油市場の安定が重要、市場の透明性向上のために統計データの整備に関する国際協力の必要性等)、(b)直近の油価高騰が世界経済にマイナスに作用する等からなる最近の国際エネルギー情勢に関するプレゼンテーションが行われた。各国等の代表より、昨今の価格高騰への懸念が表明されたほか、安定した市場の必要性等の認識が共有された。

(2) 第2セッション(テーマ;石油と天然ガスの比較)

化石燃料の中でクリーンなエネルギーである天然ガスの利用促進のため、政府或いは民間部門が認識すべき点について議論が行われ、石油と異なり、国際市場での流動性に乏しい天然ガスの開発は、多額かつ複雑な投資構造と長期のプロジェクト管理に加え、(国境をまたぐ)輸送面での大型インフラ(長距離パイプライン、積出し港湾施設等)の整備も同時に行う必要がある性格を有することから、投資家へのリスクに見合った利益の確保を前提としつつ、透明性を有した契約形態および価格決定メカニズムの必要性、並びに公正な競争を阻害しない範囲で、政府による公的支援や投資環境の整備に係る施策が不可欠である点が述べられた。また、輸送における法的枠組みとしてのエネルギー憲章プロセスの意義についての言及があった。

(3) 第3セッション(テーマ;投資の促進方法)

中長期的に今後もエネルギーの太宗を占める石油および天然ガスの安定的な生産を確保するため、石油分野への投資促進を如何に実現するかという点が主に議論された。結論は、2030年までに6兆米ドルとも試算される必要な投資量を実現するには、外国からの直接投資の意欲をそがないため、産消国双方にとってリーズナブルな価格安定と、透明かつ公正な投資環境の整備、産油国資源に対する消費国によるアクセスの確保が必要である旨が言及された。 また、途上国の代表から、石油分野への投資の問題は、世界経済の成長の鈍化を防ぐという意味で着目されがちだが、それ以前の問題として、途上国の貧困問題(極貧地域では基本的な生活のために必要なエネルギーにもアクセスできない)にも深く関わっており、先進国の再認識を促す旨が述べられ、国際援助機関等からもこれに賛同する意見が続いた。

(4) 第4セッション(テーマ;エネルギー:ダイナミックな将来)

世銀代表より、「エネルギーと貧困」に関するプレゼンテーションが行われた後、IEAおよびOPECより、JODI(共同石油データイニシアティブ)の取組みの現状、さらにワルターIEF事務局長より、IEF事務局の今後の活動方針等に関する説明が続けて行われた後、最後に、蘭ブリンクホルスト経済大臣より、今次IEFの活発な議論の総括が行われた。



第9回IEF主催国・共催国サマリー
(仮訳)


 5月22日から24日、蘭アムステルダムで、「エネルギー分野への投資」を全体テーマに、第9回国際エネルギー・フォーラム(産油国・消費国の対話の場である閣僚級会合)が開催され、会合後に主催国(蘭)と共催国(イラン、ノルウェー)によるサマリーが発出されたところ、主要点以下の通り。
  1. 本フォーラムは、世界のエネルギー情勢を議論するとともに、現状の油価高騰に対する懸念を表明した。油価高騰は、予想外の需要増上流・下流部門でのキャパシティ不足地政学的不透明感等の要因によって引き起こされている。合理的水準での油価の安定は、世界経済(特に途上国経済)の回復に寄与する。

  2. 本フォーラムにおいては、産油国と消費国双方の利益が認識されるとともに、異なる立場に対する相互理解を基礎として真の対話が行われた。価格に関しては、産消国双方とも、安定的な価格水準を実現するための措置をとることが必要である。今後の生産増加見込みは歓迎すべきことである。

  3. 本フォーラムは、特に長期的な選択肢に注目するとともに、必要とされる投資を強調する。今後30年間で、必要な石油・ガスを確保するためには、6兆ドルの投資が必要とされる。

  4. 十分な外国直接投資等を引きつけるためには、安定的で、かつ透明性が確保された経済、財政、法的な枠組みが不可欠であり、二国間、多国間の投資協定は、投資条件を明確かつ安定的にするための手段である。

  5. 投資家がエネルギー市場の安定性及び投資を決定する上で、原油生産と在庫についての法的、政治的な透明性が重要。

  6. 本フォーラムは、新設された常設事務局(サウジアラビアのリヤド)の支援を得て、これらの課題に対処するための努力を継続する。

  7. 第10回国際エネルギー・フォーラム(2006年開催)の主催国はカタール(共催国は、イタリアと中国)。また、第11回国際エネルギー・フォーラム(2008年)の主催国はイタリア。


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