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第三回国際経済・金融システム研究会


日時:1999年5月19日、8:00~10:00
場所:帝国ホテル「竹の間」


【第一部】

<基調報告>

行天座長

 お忙しいところ、皆さんお集まりいただきまして大変有り難うございます。外務省の原口審議官もお忙しいところご出席いただきありがとうございます。
 前2回に引き続きまして、今日は委員の方々からお話を承りたいと思いますが、今日はお三方、早稲田大学の浦田委員から「貿易と投資」、連合の鷲尾委員から「国際貿易・投資と国際中核的労働基準」、そしてトヨタの長谷川委員から「アジアにおける自動車産業の状況と課題について」ということで、お話を伺いたいと思います。
 前2回の経験を踏まえまして、討論の時間がなかなかきついものでございますから、今日は誠に申し訳ないのですが、三委員の方には間に時間をおかないで、引き続いてお話を伺って、その後で討論ということにさせていただきたいと思います。では宜しくお願いします。

基調報告
浦田委員「貿易と投資」

 先ず貿易と投資の近年における推移なのですが、ご存じの方が多いと思いますが、貿易には財の貿易とサービスの貿易があります。近年の動きとしては、財の貿易の増加率に比べてサービスの貿易の増加率が高いということであります。しかし直近について見ますと、95、6年から世界の貿易の金額に関しては低下傾向にある、その伸びは低下傾向にあるということであります。ただ興味深いのは、量の動きと金額の動きでかなりばらつきが出てきているということであります。
 もう少し具体的に申しますと、量ではある程度伸びているけれども金額で伸びていない。この場合の金額というのはドル表示であります。ですからこれはアジアその他の地域における経済危機によって現地通貨がドルに対して切り下がったことなどに関連して起こっている現象だと思います。
 それから直接投資に関してですが、直接投資も、もちろん計る時は金額ベースでしか今のところ取れないわけですけれども、80年代半ばから90年代半ばにかけまして急速に拡大しました。直接投資の伸びというのは、財およびサービス貿易の伸びよりも著しく高かったということであります。しかし96年になって、その伸びは大きく低下しました。97年にまた回復するのですけれども、98年に関しましてはまだ統計が揃ってないということで、はっきりしたことは言えません。しかしある程度出てきている数字から見ますと、直接投資に関しては各国によってばらつきが非常に大きいということが言えるかと思います。
 続きまして貿易体制の変遷ということで、ざっと振り返ってみたいと思います。ご存じの方が多いと思いますが、1948年にGATTが設立されました。当初の考えは、国際貿易機関ITOを設立しようということであったわけですが、アメリカの反対などがありITOが設立されずに、その規定の一部を取り出してGATTという形で暫定的にGATT協定が発効したわけであります。GATTの原則というのは自由、無差別、互恵ということであります。ここで無差別というのは最恵国待遇及び内国民待遇を意味します。
 GATTの体制のもとで、関税切り下げを中心とした貿易自由化交渉が行われてきました。具体的には5回にわたって一般関税交渉、これは2国間の交渉ですが、それが行われました。その後は、2国間交渉ではなく、関税一律引き下げ交渉ラウンドという形で自由化が進んでいきます。具体的には、ケネディ・ラウンドは3年、東京ラウンドは6年、ウルグアイ・ラウンドは8年かかって行われました。一番直近のラウンドでありますウルグアイ・ラウンドに関して少し話をしたいと思います。
 ウルグアイ・ラウンドは86年から94年にかけて自由化交渉があったわけですけれども、それが開始された背景としては、いくつかの要素があります。第一に80年代初めは第二次オイルショック後の世界経済不況の中で保護主義的な動きがかなり見られるようになってきたということが挙げられます。ウルグアイ・ラウンドが開始された背景の第二点としましては、それ以前において財の貿易を規律する枠組みは作られてきたわけですが、現実の経済の動きとして、サービス貿易、知的所有権に関する貿易、および直接投資といったような新しい形の国際取引手段が大きな位置を占めるようになってきました。そういった新しい分野への対応の必要があるのではないかということからウルグアイ・ラウンドが開始されたと言えます。第三の理由としましては、それまでの貿易交渉では対象外になっていた分野、具体的に言いますと農業及び繊維ですが、そういった分野についても自由化の枠組みの中に含めるべきではないかという見方が強まったことが挙げられます。
 続きまして、ウルグアイ・ラウンド交渉についてですが、先程も申しましたようにこれは8年かかっております。その8年の間に世界経済では色々な新しい動きが出てきております。特に顕著な動きとしましては地域主義および地域化が活発化したことがあるかと思います。地域化については、また最後のところで少しお話をしたいと思います。8年かかってウルグアイ・ラウンド交渉が合意に至ったわけですが、ウルグアイ・ラウンドによって得られた成果について述べたいと思います。ここでは5項目を挙げますが、もちろんこれらだけではなく、それ以外にも成果があったわけですが、特に取り上げるべきだと思われるものを選びました。
 第一にサービス協定であります。これは先程も申しましたように財の貿易以外の国際経済取引が活発化してきました。そのような動きに対して自由化の枠組みを作ろうということで、サービス協定が合意に至りました。サービス分野を大きく11業種、そして細かくは155業種に分類しまして、それぞれについてサービス貿易の4形態、具体的には越境取引、国外消費、業務上の拠点、および労働移動ですが、これらの4つの取引形態に関しまして自由化の約束をメンバーに求めました。自由化を約束したメンバーは、以下のような義務を負います。
 義務には2つありまして、第一には、サービス協定に合意した国すべてに当てはまる義務であります。具体的に言いますと、サービス貿易に関する措置の透明性および最恵国待遇を確保するということであります。第二の義務としましては、自由化を約束した分野のみに課される義務であります。具体的に申しますと、内国民待遇と市場のアクセスであります。市場アクセスというのは、外国企業による企業設立権でありますので、この義務が課されるということは、外国の企業、この場合はサービス分野ですが、サービス分野に従事する外国企業に対する設立権を、自由化を約束した国は与えなければいけないということであります。サービス協定ができたことから、サービス分野に於ける自由化は進展したと思われます。
 続きまして第二の分野として、貿易関連投資措置に関する取り決めがあります。これは投資に関するものですが、そのなかでもGATTの内国民待遇および数量制限の一般の禁止という条項に違反する措置を禁止するという協定であります。具体的にいいますと、ローカル・コンテント要求、輸出入均衡要求、国内販売要求といったような措置は禁止されるということであります。しかし、投資の自由化における基本的措置である企業の設立権、つまり市場アクセスとか、内国民待遇、最恵国待遇などは、この協定の中には含まれていないという問題点があります。因みに、サービス分野では、先程も述べましたように、企業設立権は認められております。
 第三の大きな進展は知的財産権に関する協定であります。これは知的財産権に対する保護の水準の強化、最恵国待遇の供与および紛争処理手続きの明確化ということでございます。
 続きまして紛争処理であります。GATTのもとでも紛争処理メカニズムがあったわけですが、紛争処理に時間がかかるとか、手続きが明確ではないといったようなことからあまり利用されてきませんでした。そのような不備を補うために紛争処理機能が強化されました。具体的には、紛争解決に関するタイムスケジュールを厳格に設定するとか、ネガティブ・コンセンサスの導入などが挙げられます。ネガティブ・コンセンサスとは、紛争処理に関わる小委員会による勧告に対して理事会メンバーの全てがノーと言わない限り小委員会による勧告は採択されるという方式ですが、この方式が導入されたことで、紛争処理が迅速に行われるようになりました。
 次に5番目ですが、農業と繊維貿易に関する取り決め、これを以前の例外項目から自由化対象へシフトさせたということで大きな進展があったと思います。
 6番目としましてはWTOの設立ということが大きな成果であったと思います。
 続きまして次期ラウンドにおける課題なのですが、ご存じのように先週の半ばに、4極通商会合がありまして、11月にアメリカで開かれるWTOの閣僚会議に向けての話し合いが行われました。その会議の成果をもとに話をしたいと思います。
 4極通商会議での合意点ですが、農業とサービスに関しましては、これはビルト・イン・アジェンダということでウルグアイ・ラウンドの中で、次期交渉の対象とするということが決まっておりました。そこで次期ラウンドでは農業とサービスの分野が含まれるということであります。交渉の分野としましては、それらだけではなく範囲を広げるということも今回の会議で合意されました。
 続きまして交渉期間ですが、ウルグアイ・ラウンドの8年は長すぎるということで、次期交渉の期間はだいたい3年ぐらいにしようということで合意されています。第三の合意点としては、中国のWTOへの早期加盟を支持するということであります。
 交渉対象分野に戻りますが、農業とサービスはビルト・イン・アジェンダということでもう決まっているというお話をしました。その他の交渉分野として4極通商会議で合意を得られた分野には、鉱工業品の関税引き下げがあります。これは途上国についてはまだまだ鉱工業品に対する関税が高いということでありまして、それを下げるのが目的であるかと思います。その他に有力な交渉対象分野として考えられていますのは投資ルールであります。投資自由化についてはOECDでMAI(多国間投資協定:Multilateral Agreement on Investment)交渉が行われてきました。しかしこれは挫折しまして、合意まで至らないで終わっております。その理由は色々あるかと思うのですが、一つには、ハイレベルの、つまり高い水準の自由化の枠組みを設定しようとしたことがあります。そこで、WTOで投資ルールが交渉の対象となった場合には、OECDでの失敗を繰り返さないような形で交渉をする必要があると思います。具体的に言いますと、低いレベルと言っていいのかどうかよく分かりませんが、内国民待遇、最恵国待遇、透明性の確保、投資保護といったような基本的な項目に関しての合意を目標にしていくというのが一つの交渉のやり方かと思います。これに関しましては、APECの中で、非拘束投資原則というのがありまして、非拘束という言葉からも分かりますように、緩やかな取り決めではありますが、これが参考になるのではないかと思われます。
 続きまして、交渉分野として取り上げるかどうかということを4極通商会議で継続審議するということになった分野としましては、競争政策、貿易円滑化、電子商取引、アンチダンピングなどがあります。競争政策につきましては、企業活動のグローバル化が急速に進んでおりますので、企業行動の反競争的行為を規制する枠組みを作る必要があるということについては、あまり異論はないと思います。しかしどのような枠組みを作るかということに関しましては、先程の投資のルールと似てるのですが、高水準の規制、規律を求めるのか、あるいは低水準の規律を求めるかという議論があるかと思います。WTOでは、先進諸国だけではなく途上国もメンバーであるということから、まずは基本的な規律について合意を見いだし、そして次の段階でハイレベルの規律にしていくのが好ましいという気がいたします。具体的には競争ルールについて透明性とか無差別といったような原則を適用することから始めて、次に競争ルールの内容に関する相互承認、さらには調和へと進んでいくことが好ましいんではないかと思います。
 すでに15分経過してしまいましたので、個別交渉分野の話はここで止めさせて頂いて、また後で何か議論になればそこで話をさせて頂くということで、最後のテーマである地域化、地域システムの拡大についてお話ししたいと思います。
 地域システムとしては、EU、NAFTA、APEC、ASEM、OECD、ASEANなど様々な枠組みが作られております。この枠組みにつきましては、結びつきの強い統合市場というような枠組みもありますし、それほど結びつきの強くない自由貿易地域、さらにはAPECのような非常に緩やかな枠組みでの地域協力というように様々な形で進んでおります。
 これらの中で特に興味深いのはAPECだと思います。APECの目的はご存じのように貿易と投資の自由化および円滑化でありますが、それだけではなくて、経済開発協力も重要な目的になっております。私はこの経済開発協力に非常に興味を持つわけですが、これについて最後の結論のところで少しお話ししたいと思います。
 様々なレベルでの地域化、あるいは地域システムが作られてきているという話をしたわけですが、この点についてお話ししたいと思います。
 様々なレベルと言う場合に、先ず始めに考えるのが地域的範囲の問題です。WTOというグローバルレベルでの枠組み、そして今お話ししましたAPECやASEANのような地域レベルでの枠組み、そして日韓と、まあ別に日韓でなくてもいいわけですが、二国間レベルでの枠組みがあります。各レベルで貿易・投資の自由化が進められているのですが、これらは相互に排他的な関係にあるのではなくて、補完的にあり、相互に影響し合いながら自由化が進められていくということが重要であると思います。また、地域化を進める主体ですが、自由化交渉などは政府レベルで行われるのですが、実態としては、市民や企業などが地域化に大きく貢献しているわけです。したがいまして、自由化交渉などにおいても、市民や企業などからのサポートをうまく引き出すような戦略が必要なのではないでしょうか。
 第二の点は第一の点とも関係するのですが、自由化の対象となる分野に応じて、自由化を進めるためにあたって適切なレベルが異なるのではないかということです。具体的に言いますと、例えば競争政策のような分野ですと、先進国同志の間であれば、自由化の枠組みを作ることはそれほど難しいことではないかもしれません。しかし途上国が入ってきますと、そもそも多くの途上国では競争政策がないという状況ですから、それらの国々も含めて自由化を進めていくのは難しい。したがって、先ずは先進諸国間、それも二国間で枠組みを作り、その次に、異なった発展段階の国々での枠組みに拡張するといった方法が考えられるかと思います。
 最後ですが、前回、前々回と続いてアジア危機の話がありました。今までの話しはWTOを中心とした貿易・投資の自由化であったわけですが、WTOと国際通貨基金あるいは世界銀行といったような国際援助機関との連携、WTOとAPECといった地域システムとの連携を積極的に進めるべきではないかということを主張したいと思います。WTOによって貿易自由化が進み、貿易が促進されることによって、資源の効率的な使用を可能にすることを通して、世界経済の成長が促進されるのです。しかし、貿易自由化によって被害を受けるグループも出てきます。そのような被害を恐れて、貿易の自由化に反対するグループが政治力を持つならば、貿易自由化は進みません。そこで、貿易自由化を進めるためには、貿易自由化によって被害を受けるグループに対して人的資源の育成などの経済・技術支援が必要になります。そのような支援の大きな担い手は世界銀行やアジア開銀などの開発銀行です。この例からも分かりますように、WTOによる自由化の議論をする場合に、WTOだけで議論を完結させるのではなくて、国際通貨基金とか世界銀行、アジ銀などの国際機関、さらには経済技術協力に重点を置いているAPECとの協調なども考える必要があるのではないかと思います。最後に、繰り返しになりますが、貿易自由化を進めるにあたって、WTOといったグローバルな枠組みと、APEC、ASEMなどの地域の枠組み、さらには二国間の枠組みを相互補完的に効果的に使うことが重要であると思います。

基調報告
鷲尾委員 「国際貿易・投資と国際中核的労働基準」

 私、実は今日のコメンテーターは非常にグットタイミングで、私どもは毎年「労働サミット」と申しまして、サミット開催国にG8の組合のトップメンバーが集まり、議長であります首相にサミットで労働組合の立場からいってこういうことを議論してほしいということを毎年やっているわけでございます。これは二十数年間続いております。今年はケルンのサミットでありますので、先週の月、火曜日、ボンで、シュレーダー首相と1時間45分、G8の労働組合と一緒にいろんな注文を付けたわけです。もちろん事前にはどうした発言をするかという打ち合わせを致しましたし、それと併せて私どもは知恵も不足しておりますので、前日にはドイツの経済大臣だとか、あるいは大学の先生などをお招きしてパネルディスカッションをやって、その中でどんなことが問題になってるのかということを議論したわけです。
 中心的な課題は、私がテーマに挙げました国際貿易、あるいは投資、金融マーケット、そうしたものの自由化の影響と、我々の立場から言うと国際的な中核労働基準と言いますか、言い換えれば、被害を受ける立場からセーフティネットをどういうふうに張ったらいいかということで。そのことによってグローバリゼーションの流れの中で長期的な安定的な成長、持続的な世界的な成長というものをどのように実現するか、逆にそれによって色々な影響を受ける方々に対して、どのような政策を打っていく必要があるかということが議論になった訳であります。
 そういう議論を致しまして、その後、引き続き、G8の労働サミットの事務局はOECDの労組諮問委員会の事務局が引き受けることになるのですが、せっかく集まりましたので、その後パリでOECDの労組諮問委員会の、運営委員会と総会というのをやって参りました。そこでも同様な議論をしたわけであります。
 決して私は保護主義者ではないし、国際労働運動の主張も決して保護貿易になるべき、保護しなきゃいけない、規制論者ということではないのですが、どうしてもある一定の制約を課することによって被害をできるだけ少なくする、あるいはソフトランディングをさせるというような立場に立ちますから、やや保護主義に聞こえるかもわかりませんけれども、今の国際労働運動のレベルでの議論がどうなってるかということをご紹介しながら、私の意見も多少付け加えていきたいと思います。
 私たちの認識は、このグローバリゼーションということを、とりわけ金融や資本のマーケットというものが国際経済を混乱させているという認識であります。もちろんこれは色々な意見があると思います。ただその場合に、これはシュレーダー首相も同じことを言ってたのですが、水も漏らさないような規制とまでは言わないまでも、何らかのコントロールが必要なんではないかと。いわば投機的な投資家だけが富んで、それぞれの国の国民が被害を受けるということをできるだけ避けなければいけない。こういう認識については共通しているということでございました。従って、いわばマーケットの中では、供給側のサイド、需要側のサイド、金融市場、様々なマーケット全てのバランスを上手に取るということが、大変難しいことであるけれども必要なのではないかという認識でございます。
 私もシュレーダー首相に申し上げたのですが、私はアジアの国の一員ということからも、アジア経済危機について見て参りますと、アジア経済の急速な成長とその後の危機というものは、グローバリゼーション、マーケットの自由化ということと、それからセーフティネットをどう考えるかということに対しては、大変いい教訓を与えているのではないか。従って急速な成長とまた急激な危機というものの原因分析をするということが、今後のこうしたテーマに対する参考になるのではないかということを主張したいわけであります。特にアジア経済の成長というのが、そんな断定的に言うわけにはいかないと思いますけれども、急速な投資の拡大によってバブル経済を引き起こしたことにあるでありました。これは日本のバブル経済も似たような問題があるのですが、これは前回、前々回とお話があったようでありますけれども、世界的にいわば貯蓄過剰で、余った資金がバブル的な投資にまわるというようなことでありました。アジア経済危機の場合には、いわばその国の誘導政策によって、短期的な資本を中心にして投資が過剰に行われることになった。そして供給体制がある程度整うことによって、これは当然のことでありますけれど、輸出主導型にならざるを得ないということでありました。輸出主導型になればなるほど、グローバル化が進むということになるわけであります。実体経済的なマーケットとマネタリーなマーケットとの間に、東南アジアで乖離や対立が起こるわけでありまして、そうした乖離、対立というもの、いわばアンカップリングが発生することによってマーケット自体が機能を失うということが、今回のアジア経済危機の特徴と言いますか、要点ではないかということであります。従って金融や通貨のオーバーシュートによる市場経済の混乱要因をどのようにコントロールするかということが、先ずマーケットコントロールとしては一番必要なのではないかと。これは言うのは簡単ですけれど、やるのは大変だということは良く分かってるんですが、しかしそういう主張をやっぱり言い続けなければいけないということであります。
 国際労働運動のグループとしては、とりわけ短期資本の流入、流出、流入だけは良くて、流出はコントロールするというのはなかなかできないのですけれど、流入、流出というものが急激に動くことをコントロールするためにはどのような仕組みがあり得るのか。これは先程の浦田委員のお話ではありませんけれども、レベルとしては、国際的なあるいは地域的レベル、二国間といろいろあるのでしょうけれども、しかしなによりもその国が、その国の政策としてある種のコントロールをする、これはやや国際的に水準を合わせなければいけないと思うのですけれども、それぞれの国々がそうしたシステムというものをある程度議論するということも、これは容認されなければいけないのではないか、こういうことでございます。
 もう一つ重要なことは、需要側の要素でありまして、実体経済自体を持続的な成長ができるような投資に向けていくというような誘導をしなければいけないのであって、短兵急な輸出主導型の市場を形成するということ自体を避けていくような投資政策というものを、国内政策と、それからもちろん外国の資本がどのようなところに投資するかということはなかなかコントロールしにくいのではありますけれども、国内それぞれの国々の政策と国際的な金融市場との間の調整をどのようにするかということが大変重要であると、こういうことでございます。
 端的に言うと、アジアの経済危機自体は、国内需要が投資に見合って伸びないことがその要因だということでありまして、IMFやワールドバンクの話もそうでありますけれども、そうした持続的成長に寄与するような投資計画というものを、民間の投資家だけではなくて、国際機関がそうしたものを調整していくという役割を果たさなければいけない、これが一つあります。
 それからその需要側の要素というものを持続的な成長をさせるためには、どうしても成長のパイが、ここからが労働組合らしいところなのですが、成長のパイというものが公正に分配されなければいけない、こういうことでありまして、公正というのは何かと、色々難しいのですけれども。そして我々から言いますと、貧困層を所得をあげるということによって、国内需要を持続的に増加させるような市場を作っていかなくてはいけないということであります。と同時に将来の不安のない社会保障をセーフティネットという形で作るということも重要ではないかということであります。
 これで実例を出しますと、今回のアジア経済危機の場合でも、復活というか、回復のテンポが早いのは、やはり韓国でありまして、遅いのはインドネシアでありますけれど、こうした事から言いますと、韓国の場合は、これもご承知の通り、社会保障制度について、例えば失業保険一つを取りましても、インドネシアについては全くゼロ、韓国についてはささやかながら、ある程度のところは、まあ考えられるということでもあると思います。また労働組合の団結権の問題もそうでありまして、インドネシアの組合の団結権と、韓国の団結権では、国際的な水準から言うと、韓国の結社の自由についても十分ではないと、こういうふうに言われるんですけれども、インドネシアよりまだましでございまして、中核的労働基準というのは労働条件ではなくて、団結権であるとか、あるいは児童労働の禁止であるとか、囚人労働・強制労働の禁止であるとかというようなことを、私どもとしては指しているわけでありますが、それらが確保されているか、それと同時にいわば社会的なセーフティネットと社会保障の問題をどう考えるかということではないかというふうに思います。
 そのためには市場利益の公正配分と市場リスク回避のための規制というのは、やはりある程度必要なんだという立場に立つわけでありまして、ただ公正に分配されるというのはどのようなことかということであります。公正なんていうのはそれぞれの立場によって違いますから、何が公正かっていうのは分からないわけですけれども、国際労働運動も、日本の労働運動もそうでありますけれども、労働組合の立場から言うと、やはりパートナーシップということでありまして、労働組合や市民社会の公式参加がないままに利益配分が行われると言うことについての問題指摘をしているわけでありまして、結果として利益が、公正に配分されているかどうかっていうのがポイントではなくて、利益配分について参加ができてるかという事であります。場合によるとプリミティブな労働組合運動というのはどうしても過激になりまして、あまり理性的な判断をしないから参加させてはダメだという意見はあることは承知をしているのですが、しかしながらそれでもしなくてはいけないわけでありまして、私どもはパートナーシップというものを作り上げる、そのためには何よりも中核的労働基準ということから言いますと、結社の自由、団結権というのが大事でありまして、その点では、これもご承知かどうかわかりませんけれども、昨年の6月のILO総会が新宣言を採択しているわけですが、その新宣言の中にはグローバル化とそれから中核的労働基準ということが提起されていて、ILOの主要の6条約について、全ての国々が早期に批准をし、それを守らなければいけないということが提起されているわけであります。その宣言のウオッチング、モニタリングもしなくてはいけないということがILOで決められているわけであります。
 そこでここからは、おそらく今日ご出席の皆様方も絶対反対と言うことになるのかも分かりませんけれども、WTOにILOの基準を持ち込むべきであるという方針が出てくるのです。これは保護主義であるという反論を受けるんですが、私どもの側は、WTOの中でILOの新宣言のようなものについて、ある程度、それは罰則の対象になるとかなんとかいうのではなくて、WTO自体にそうした問題を議論する機会を持つべきではないかと、こういうことを主張しているわけであります。
 例えばBISが議長になりまして金融安定フォーラムなどを作っておりますが、こうした金融安定フォーラムについても、閉ざされたものではなくて、いわゆる規制する立場の人間だけではなくて、広い立場の人たちを参加させるということが必要で、これは国際自由労連だとか、TUACの事務局も参加させろと、こういう意味ではあるのですが、こういう議論がいわばパートナーシップとなり、利益配分については参加する、公正な配分とは何か、ベスト、ベターということは神のみぞ知るですが、参加をすることによって利益配分に対して納得性を持たせるということが必要なのではないかということであります。
 今年の1月に世銀のウォルフェンソン総裁が包括的な開発のフレームワーク構築に対する提案をやっておられたのはご承知かも分かりませんが、その中でウォルフェンソン総裁が開発投資計画については二つの側面を持つバランスシート、貸借対照表が必要だと言っています。貸借対照表の左側はIMFの第4条報告であるとか、国民所得勘定だとか、国際収支や貿易統計、その他あらゆる種類の金融・経済分析などが評価のシステムになっている。しかしながら、こうした国内総生産、金利、外貨準備高、経済成長率などの統計を使うということは慣れているのだけれども、それについての右側、構造的、社会的、人的な分野を示す分析的フレームワークを充分に反映する第2の側面が必要だと述べています。そこには、例えば、乳幼児死亡率や、出産時の母親の死亡率、失業率、就学率、あるいは社会開発の構造範囲・中身という長期的な問題について、バランスシートとして右側に置かなければいけないということを主張しているわけでありまして、個別には申し上げませんけれども、いわばマクロ経済に似た側面と、社会的・構造的・人的側面をともに考慮する必要があるということで、彼は14の考慮しなければいけないテーマを出しているわけであります。そうしたバランスシートを大事にすることを我々は主張しているわけです。
 IMFの改革や世銀の改革についても、私どもの側から言いますと、社会的側面と言うか、とりわけ団結権を大事にするということが必要であり、国際金融ガバナンスの改善とともに、コーポレート・ガバナンスの基準ということが必要であって、ステークホルダーというのは資本だけではなくて、労働者、市民もステークホルダーの一員であるということであります。その意味から言うと、OECDで現在議論されております、コーポレート・ガバナンスの討論の中に、いわば労働組合、市民の参画を推進するということを強調しているわけであります。ILOと国際金融機関ならびにWTO等における相互の議論の擦り合わせというものは必要なのではないかということであります。
 具体的な運動としては、国際労働運動は最近、IMFと世銀の定期的な会合というのをやっておりまして、 IMFと世銀もそれを受け入れるような状況になってきたのは、ずいぶん前進をしているということでございます。インフォーマルな会合でありますけれども、理事会の前には国際自由労連とOECD/TUACのメンバーが臨時に召集されまして、理事会メンバーと議論するということが繰り返されているところであります。
 アジアの場合にはアジア開銀との対話というのやらなくてはいけないということで、来週も私どもの会長代行がマニラで総裁にお目にかかるという話がありますけれども、そうした対話の積み重ねを通じて、セーフティネットと、それからパートナーシップというのを考えていくというのが、私どもの現在のところの主張点でございます。

基調報告
長谷川委員 「アセアンにおける自動車産業の状況と課題について」

 先ずアジアの市場、自動車市場はどんな様子なのかということですが、世界市場におけるアジアは、大体世界の市場というは5000万台を少し越えるところなのですが、アジアは96年で1200万台、全体の24%、その中でアセアンは3%。今回の危機後、98年は、アジアは18%に落ち、アセアンは1%と、つまり3分の1になったという動きです。アセアン4ヶ国の合計は3分の1に縮小しておりまして、我々のベストエスティメイトでは、大体2003年から5年の間に前のレベルに戻るのではないかと予想しております。
 それからアセアンで我々も自動車産業の育成に協力しているのですが、どんなことをやって、域内でどんな事業体制を作っているかです。基本的には各国の政策に沿って参加をしているわけですが、特に量を要する大物につきましては、各国での分担を決め、相互補完をする。例えば我々の例でいうと、タイでディーゼルエンジン、インドネシアではガソリンエンジン、フィリピンでトランスミッション、マレーシアでステアリングシステム、この辺を中心にして各国で部品産業を育成をしながら、域内で補完をしている。もちろんここに挙げた大物以外の部品でも、それぞれ補完はしております。
 さらに最近では域内外で完成車の輸出も始めておりますが、これは少し実力以上のことをやっております。具体的に言えば、技術的にも大変苦しい状況にあり、かつコストでは更に苦しい状況にあります。
 それから日本がこんな風にやってきているわけですが、欧米がどんなことをしているか。60年代まではアジアというのは欧米の市場だったわけです。そこへ我々が入ってきまして、そのころからだんだん我々に対する競争力を失いつつある。そこへアジア各国が自国の工業化政策を打ち出し、自動車に関しても国産化規制を発表致しました。これを嫌い、かつ競争力を失いつつあったところで、撤退をしていったというのが欧米の実態でございます。最近になってまたアジアの市場を睨んで再進出を始めているというというのが現状でございます。
 域内各メーカーはいずれも工場等は合弁ないし技術支援で持っておりますが、単純なアセンブリの域をほとんど出ておりません。従いまして国産化率でカウントするようなところまでは行っていないというのが現状というふうに見ております。
 アセアンでの事業展開に関する我が国、私どもトヨタの話しを中心にしておりますが、今回の危機を迎えまして、生産・販売が先程の通り、極端に落ちております。その結果、新聞等でも再三書かれておりますが、過剰雇用、過剰設備、過剰借入に陥っております。従いましてこれをどういうふうに切り抜けるかが最大の課題でございまして、我々、今、増資、あるいは投資の繰り延べ、それから減価低減、経費の節減、販売増といったような、販売増の最大の策は価格を値上げしないということで踏み留まっています。さらに輸出の拡大、それにこういう人の余っている状況の中で、なんとかこの人達の技能レベルを維持したいということで教育に力を割いています。これが実体でございます。
 さらにこういう状況で、私どものパートナーも同じような影響を受けており、大変経営状況が苦しくなっておりまして、増資等をしたくてもパートナーが追随できないというような状況にあります。但し、我々は長いパートナー関係でございますので、ここでごり押しをして増資をする、つまり現地パートナー側の持ち分が下がるというようなことは避けたいというのを基本原則にしながら、なんとかお金の手当をしたりというようなことをしております。
 そういう中でWTOのルールに従って自動車市場も自由化しなければいけない。つまり自動車政策の変更をするわけです。内容は先程浦田委員のお話にもありました通り、ローカルコンテント要求の撤廃、それから完成車の解禁と関税の引き下げといったようなことがございます。
 こういったことを見据えた上で、我々は一体これからどういったような事業戦略を展開していくかが大変重要な話になってきますが、我々としては今後とも現地政府と協力して、特に部品産業の育成を図っていきたいと考えております。さらに先程申し上げました通り、一国では量産効果が望めないために、現在推進中のAICO(ASEAN Industrial Cooperation)の資金を活用して、域内で相互補完を図りつつ量を確保し、生産コストを下げ、競争力を付けていきたいというふうに考えております。
 こういった状況の中で、アジアは市場としても重要ですが、我々自動車メーカーにとりましては、自動車の部品等を作る工場としても大変重要であるというふうに認識しております。欧米の進出戦略を見ておりますと、もちろん現地の市場も考えておりますが、そこから部品をグローバルに補填しようという考え方がはっきり出ております。従いまして現在、米国は中南米を中心に、色々、部品産業の育成等をやっております。欧州も東欧に向かっていろいろ進出をし、安い労働力を利用しながら生産コストを下げていく。そういう中に欧米がアジアへも投資してきますと、日本がぼやぼやしていればアジアの市場も失うし、工場も失うというのが現状であるというふうに認識しています。
(AICO、アセアン・インダストリアル・コーポレーションとは、アセアンの中で域内の取引を促進するために、関税率を引き下げたり、あるいは国産化規制を早めに撤廃をしながら、育成しようという計画でございます。すでに実施されつつあります。ただ自動車の場合、まだ実際にこの取引に乗ったものはございません。申請の最終段階です。)
 それから先程申し上げました通り、我々は欧米メーカーとの競争を今でも覚悟しているところです。そういった中で、オーナー国の政府、これは我々自身の問題でもあるわけですが、色々な提言を2、3述べさせて頂きます。
 先ず不良債権等の問題をできるだけ早く解決していきたい。そういうことによって現地の資金繰り、経営安定を一日も早く達成したい。その為に日本などがどんな支援をするか。ここでは前回、前々回、同じことを何回も繰り返してお話をしていますので省略させて頂きます。繰り返しになりますが、日本が本当にアジアを支援するのであれば、現在の色々な円借等は貸すのではなくて支援する、つまり利子の一部は日本が負担するというような恰好でないと私は本当の支援にならないと思っています。
 それからこういった支援をするに当たって、私は経営の近代化をはっきり義務づけるべきだろうと思うのです。その為にはお金とともに人材を派遣して経営指導に当たる、それから経営、そういった指導を中心に、経営内容の公開、そしてその内容が公正であるということを義務づける。このためには財務諸表をしっかり作らせるということだと思います。財務諸表をしっかり作らせるためには、これは私の個人的見解ですが、アジアの人々の納税意識の向上と、関係省庁の徴税能力をどうやって付けるかと、これがポイントではないかと。皆さんご存じでしょうが、アジアの企業家はほとんど財務諸表を三つ四つ持っております。税務所用、銀行用、会社用、自分用と。そんなような状況でございますから、やはりこのあたりからきちんと手を付けていかないと、情報の信頼度、公開といったものは望むべくもないというふうに私は思っております。
 それから各国政府へ我々が今どんなことを働きかけているかと申しますと、WTOルールに基づいた自由化をして下さい。但し、鷲尾委員からありました通り、やはりそれは計画的、段階的にやって下さいよ。アジアはまだ残念ながら日本をはじめとする欧米とは競争できませんということを申し上げています。それから今、域内で自由化をさせようとしているわけですが、各国のエゴにより足並みが乱れるような兆しが見られます。この辺をどうやって調整していくか、大変重要な問題ではないかと思います。それから同時に域内はある程度まとまっても、域外に対する関税、ある程度、統一関税、共通関税を運用しないとやはり足並みが乱れる原因になるということで、我々も強く訴えております。
 それから安定した事業関係の構築と言うことで、これは皆さん議論頂いている、為替の、短期資金の異常な動き等を監視する機構を早く、地域として持つべきではないか。各国バラバラに持ったのではとてもこういった世界の短期資金の動きには対抗できない。現実に皆さんご存知の通り、タイの経済規模というのは、大体、埼玉県と同じ位の規模ですから、誰かが動こうとすれば、一夜にしてつぶすことくらい簡単なわけです。そういったようことをみんなが認識におけば、地域としてまとまり、且つ日本、欧米がそれにどう協力するかです。
 それから自動車関税等の引き下げを、このアジア危機にIMFの指導によって行っておりますが、これを早急に、妥当なレベルに早く戻すと同時に、その一貫性というものを強く訴えております。それから裾野産業の育成、これは政府の要望でもありますが、我々としても色々な形での提言を致しております。
 そういった中で、あまり議論されてないのは、技術学校等、専門教育の学校設立の自由化をやったらどうですか。技術者が不足している、学校が足りない、という声もアジアの皆さんから、大変、再三、聞かれますが、残念ながら、教育の自由化についての議論はほとんどやられておりません。私は初等教育、義務教育は大変、独立国として重要なものですから、ここへ踏み込むことはタブーだと思いますが、専門教育、技術教育あるいはマネージメントの教育については、自由化しても別段差し支えないのではないかと。当然、その国のルールに従ってやるべきだ。そういう意味でスタンフォード大学だとか、一流の学校が分校を作って、アジアの子弟、あるいは我々の従業員を教育して頂ければ、大変我々は助かるというふうに思っております。
 それから最後に、外資の規制の緩和は特に長期資金が安定的に入ってくる、今回の我々の反省は短期資金に頼りすぎた部分がある、あるいは短期資金に頼らざるを得なかった部分がある。先程申し上げました通り、増資をしたくてもパートナーの関係でできない、あるいは増資したくても規制の関係でできない、ということで設備投資等について短資に行かなければならない、それが結果として現在、大変大きな資金負担になっているという反省がございますので、もう少し長期資金に対して、安定的に運用できるような規制緩和を我々として一層求めていきたいというふうに思っています。
 以上でございます。それから数字について簡単にご説明しますと、タイの市場の動きですが、80年代の後半から少し右肩上がりになって90年代下がっておりますが、これはタイの場合は12月にアジア大会などをやり、一時的に景気が先行したところがありまして、1月はそれの調整に当たっておりますと同時に、1、2月は大体シナ正月に当たりまして非需要期になりますので、大体こんなパターンでございます。そして3月はご存じの通りタイが減税等の景気刺激策を発表するという直前で、4月に実施されますので、これが市場に流れておりまして少し頭を打っておりますが、 4、5月とまた右肩上がりになっております。
 それから次に支払条件の変化、これは金の動きを一般的に表していると思うのですが、96年では現金と月賦、ローンの比率が4対6だったわけですが、それが98年には62対38に逆転しております。これはいわゆるファイナンス・カンパニー等が、もうほとんど機能していないということです。
 アセアンの域内の部品補完、先程説明いたしましたが、96年から順調に伸びていますが、98年、ちょっと域内が景気の後退がありましてへこんでおりますが、99年以後、輸出にドライブをかけておりますので順調に伸びてきております。
 それから輸出、これはタイの場合でございますが、エンジンだけ取ってみますと、2000年に向かって増えていきます。2000年の数字は、南ア、インドを追加していきますので、54,000台以上になるのではないかと見ております。ただ車両の方は非常に緩いテンポでしかまだ伸びていかない。これは先程申し上げましたとおり、実力以上のことをやっているからでございます。何故やっているかと言えば、政府からの協力要請があるからでございます。
 それから延滞金と売掛金の推移でございますが、売掛金は販売が落ちていくと同時に少しづつ低下してきますが、去年の後半から少しづつ伸びている。但し延滞金の方は経営内容がまだ完全に立ち直ってないために減っていないのが現状でございますが、今年に入って少し市場に動きが出てきたために、若干、延滞金の方も減少の傾向が見られます。
 それから在庫の動き、危機直後大変な在庫を抱えましたが、去年の末にほぼ在庫調整を終わっております。本年3月に少し右肩上がりの在庫を示してますのは、4、5、6月に需要が伸びることを予想に入れております。
 以上が業界の状況であります。



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