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文化外交(海外広報・文化交流)

ヤング・リーダーズ・サミット2000 in沖縄

沖縄からの提言―平和と共生の21世紀の構築

2000年6月14日
沖縄コンベンションセンター



前文

 G8は、政治面、経済面におけるリーダーとしての効果的な役割、また利益の共有感を創出するという挑戦に直面している。グローバリゼーションは、伝統的な国家主権及び国際経済環境の理解のあり方に挑戦をし、NGOや国境をまたぐ企業等、既存の国際的・地域的な組織に十分に統合されていない多くの新しい国際的なアクターを生んだ。こうした新しい発展は、G8に対して、これまでになく相互連関及び相互依存の高まる世界の普遍的な問題を解決するという使命を達成することを要求している。紛争という悪魔が人類の苦痛であり続ける世界において、我々、G8各国、EC、及びアジアの国々のヤング・リーダーは、平和と共生の21世紀を構築するための提言を行うためにここ沖縄に集まった。
 沖縄は平和の重要性が鋭く認識されている土地であり、従って、来るG8サミットが平和及び社会経済発展を促進するのであれば、沖縄及び国際社会の人々にとって大きな歴史的重要性を有することとなろう。こうした精神に則り、我々は九州・沖縄サミットのG8首脳に対し、以下の提言を提出する。

1. 紛争予防、解決、及び紛争終結後の復興のための包括的枠組み

 国家間よりも、社会間における紛争が益々一般化する中で、紛争予防、解決、及び紛争終結後の復興のための努力は、より包括的なヴィジョンを必要とする。G8は、暴力的紛争の予防、危機管理、及び紛争解決後の長期的安定構築のための方途を含む紛争の各段階における適当な対応を決定するため、国連及び全欧安保協力機構(OSCE)、ASEAN地域フォーラム(ARF)/CSCAP等の国際機関及び地域機関の間での包括的な紛争予防戦略の発展のための進行中の努力をエンドースすべきである。

2. 保健に関するイニシアティブ

 G8はG8各国に対して、他の政府及びNGOと協力しつつ、6つの主要な伝染病による死亡者及び障害者数を今後10年間で半減させるための世界保健機関(WHO)によるイニシアティブに貢献することを支持し奨励する。

3. 紛争介入のための基準

 紛争解決のための武力行使に関する国連及び地域的機関における既存の国際合意においては、危機に瀕する地域への距離あるいは近接性は、国家間あるいは一国内の社会の間での拡大した暴力的紛争に直面した際に行動を起こさないことへの弁明とはならない。外交的及び政治的努力が失敗に終わる事態に備え、G8は、市民の大量殺戮を回避するための最終的手段としての武力介入が正当化されるための国際的基準の採択を促進すべきである。その場合、国連におけるコンセンサスが、この基準の下で介入が正当化されるか否かを決定する。

4 .軍事的透明性の向上

 平和の促進のために、G8は政府および軍隊の間での情報交換、及び武器貿易情報のより一層の開示を通じて、市民に対する軍事的透明性を確立するような世界的・地域的な軍事管理政策を奨励すべきである。

5.メディアの責任

 G8は、暴力的紛争の危険のある、あるいはそれが発生した地域についての正確な情報を発信する際のジャーナリスト及びメディア組織の社会的責任を慫慂するべきである。そのために、独裁主義あるいは全体主義体制からの移行期にある国のジャーナリストを訓練するためのプログラムを拡大するべきであり、また、地域のメディア組織は公衆衛生、教育、紛争及び予防を促進するためのパートナーとして参加すべきである。

6.交流プログラム

 生き生きとした市民社会を促進するための人的交流の重要性を認識し、また、紛争の予防及び解決のための長期的戦略の一環として、G8は以下の分野における国際交流を奨励するべきである。

  • 公衆衛生および環境への認識等の分野における、異なる共同体間及び宗教間の対話及びプロジェクト
  • 紛争地域における共通の歴史教育課程を構築するための、地域専門家による共同歴史委員会
  • ヤング・リーダーズ及び若手専門家

7.NGOのための法的枠組み

 G8は、NGOがその活動を行うことを可能にするための国内法的・経済的枠組みを開発することを奨励すべきである。さらにG8は、政府がその政策決定過程においてNGOと協議することを奨励すべきである。この目的のために、政府は、特に環境保護等の死活的な分野において、情報公開関連の法整備を行うべきである。

8. G8サミット・プロセスにおける開発途上国代表の参加の改善

 G8が開発途上地域の政治問題解決に向けての提案の幅を拡大していることに鑑み、G8は、G8サミット・プロセスの一環として、開発途上国の指導者と協議を行うべきである。

9. グローバリゼーションの促進

 先進国及び開発途上国の双方の経済成長、市場の効率化及び生活水準の向上に表れている通り、グローバリゼーションは世界経済に利益をもたらす一つのプロセスとなっている。しかし、経済のリストラ(失業の増加等)に要する短期的なコストへの関心が高まれば、保護主義に走る可能性が出てくる。従って、G8メンバー国は世界における思想、資本、技術、モノ及びサービスの自由な流れが引き続き促進するようコミットしたことをここで再確認する必要がある。このコミットメントを実現するため、G8メンバーは、

  • 開発途上国及び工業国からの幅広い参画をもって開催されるWTO新ラウンドを確実に開始し、また、貿易の自由化が利益をもたらすことを市民社会に広報することが必要である。
  • 閉鎖的である経済活動分野(織物産業、農業等)を率先して自由化することにより、リーダーシップを発揮すべきである。

10.グローバリゼーションの利益の最大化

 グローバリゼーションは利益をもたらすが、一方でそこに付随的なコストや危険があることは明らかである。これに対処するためG8は、

  • (各国と)独占禁止法の調和を図りつつ、マルチにおける公平な競争を確保すべきである。(WTOの活用)。
  • グローバリゼーションは複雑なプロセスであることを認識した上で、その第一歩として地域的な機構(ASEAN、APEC及びMERCOSUR等)の発展を促進すべきである。我々ヤング・リーダーズは、これがマルチの交渉を加速し、世界の安定を促し、そして効率的規模の企業の発展を推進すると考える。特に日本及び中国は、アジア地域協力における積極的な取り組み方を模索するよう慫慂されるべきである。
  • 文化は、広義においては共通の市場性のあるモノとは異なること、その意味において人々の重要なアイデンティティを伝達するものであること認識しつつ、文化の多様性を保護していく必要がある。そこでは特に、G8は、偽装された保護主義という口実を使うことなく各国が文化的アイデンティティ及び文化交流の双方を支持できるよう留意しなければならない。G8各国は、自国民がグローバルな公共財を公平に選択できるようにするため、例えばユネスコ等を通じ、これを保護するためのマルチ及び各国の資金調達スキーム及び政策を促進させる必要がある。
  • ケルン憲章にて定義されている生涯を通じた学習の目的やそれに対する希望について追及しつつ、知識及び職業的技術を取得できるような枠組みを設置すべきである。これにより、工業国及び開発途上国の経済の双方でグローバリゼーションの進行過程においても雇用を確保することができる。

11.グローバル化する世界における開発途上国への援助

 グローバリゼーションに取り組むにあたって、開発途上国ではグローバルな社会に完全に参加するのに必要とされる資金が不足している。国家予算の大半を国家債務の利払いのみに当てざるを得ないため、多くの発展途上国の政府は、教育、インフラ及び社会保障といった社会的・経済的な支出に資金を集中させることができないでいる。このことは特に、社会を前進させる実質的な機会を与えるであろう「ニュー・エコノミー」からの利益を得るために必要とされる人的資源及び技術へ投資できないという結果をもたらす。開発途上国がこのような長期的に不利な立場に置かれるといった問題を解決するために、G8は、

  • 二国間ベースでの完全な債務免除についてのケルン債務イニシアティブが完全に実施されるようにし、また債務救済を促進する更なる方策を追求する必要がある。
  • 経済援助のインパクトを最大にし、更なる債務問題を防止すべく、ODAの調整を効果的に行う方法を探究する必要がある。
  • 持続可能な経済発展、市場経済、人権及び民主主義の促進の原則に従い、確実に、経済援助政策が実施されるようにする必要がある。
  • 技術、インフラの発展及び教育(例えば技術援助プログラムの促進)が移動できるよう支援することにより、開発途上国はIT(情報技術)からの利益を享受できるようにする必要がある。教育は開発途上国の未来を前進させる上で重要な役割を果たす。

12.「世界環境機構」の設立

 環境の将来を確保するには明確なリーダーシップが必要とされる。世界環境問題の解決にあたり、これに注目し、また調整するために、G8は、

  • 国連環境計画(UNEP)の目的及び経験に基づき、基本的にWTOをモデルとした、世界環境機関(WEO)の設立を促進する。この機構は、政府、国際政府組織、NGO、科学研究所、民間企業及びその他関係機関が各々の間で行っているものを含む、環境保護に向けたあらゆる努力を調整することを目的とすべきである。また、特定の問題についても地球規模で対処するよう促し、またボランタリー・ベースでの交渉による環境に関する合意や基準の採択を容易にすることが期待されている。更に、これら合意の実施及び、各国、各機構の環境に対する一般的な取り組みをモニターする役割を果たすべきである。

13.環境問題に対する民間部門の参画

 民間部門はグローバリゼーションの重要な推進力としての役割を果たしており、市場の失敗は経済活動の全てのコストが企業の行動に完全に内包化されない時に発生する。そこでは、G8は、

  • 環境保護活動を重視し活動するよう企業を奨励する方法を開発するべきである(1997年の京都環境会議での温室効果ガスの排出量取引に原則をおく)。これは持続的可能の開発のための国際ビジネス委員会、国際商工会議所、UNEP及UNCTAD等の機関を通じ推進されるべきである。
  • 「グリーン税制」「グリーン補助金」を促進する。これは交渉ベースで、WEOにより運営され得る。「グリーン税制」は地域における環境面での不均衡を是正するための資金源を提供し、更に開発途上世界における環境問題に取り組む資金となる。各国における「グリーン税制」は可能な範囲において国際的に均衡が図られるべきである。

14.環境問題に対する一般認識の向上

 環境問題がビジネス又は政府のアジェンダにおいて最優先の課題とされることはまれである。従って、環境問題に関する一般認識を慫慂すべきである。そのためにはG8各国は、

  • 広報及び教育を通じて環境問題の現状を伝えるべきである。
  • 環境に優しい行動を引き続き促進すべきである(政府によるリサイクル施設への支出等)
  • 環境認定制度を通じた環境問題の可視性及び透明性を促進する。(ISO及びG_ne punktシステム)。

15.持続可能な経済成長における開発途上国の支援

 工業国は、開発途上国の持続可能な発展に向け、これを支援する資金及び責任を有する。これを促進するためにG8各国は、

  • 開発途上国への技術移転の促進を行うべきである。(国際エネルギー機関(WEO)あるいは国家援助計画を通じた)
  • 援助のチャンネルを調整することにより、海外援助の効率性を向上させる必要がある。
  • 人口増加を管理するために既存の方策をエンド-スすべきである。


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