![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ||||||||||
|
トップページ > 外交政策 > 人権・人道 |
![]() |
橋本元総理閉会挨拶 ご出席の皆様、 「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」の閉会に際しまして、我が国国会の超党派の団体であるUNICEF議員連盟を代表して、一言ご挨拶をさせて頂きます。 児童の商業的性的搾取は決して新しい問題ではありません。過去の長きに亘って、多くの児童が極度の貧困の中で売買の対象となり、様々な搾取を受けた歴史が存在し続けてきました。高度な科学技術を有し経済社会のグローバル化が進んでいる現在の発達した豊かな社会においてもインターネットの悪用という新たな形を取って現れつつあります。国際社会は、5年前にストックホルムにおいて、各国議会、政府、NGO並びに国際機関が幅広く連帯して、この人類の恥ずべき問題の根絶に向けて立ち上がりました。そして、今年は21世紀の最初の年として、ストックホルム世界会議の成果をフォローアップし、人類社会が改めてこの問題の根絶へ向けた取り組みにコミットする上でこの上ないタイミングであったと考えます。 17日の開幕以来の4日間に亘り、会議において、この問題を巡る様々な課題についての内容の濃い議論が熱く行われました。そして、「横浜宣言」とも称すべき児童の商業的性的搾取に反対する成果文書が採択される予定です。これにより、人類社会は21世紀に臨んでその優先課題を我々自身の後継者である子どもたちの問題に置くという明確な決意を表明したのです。わたしは改めて参加者の皆様のこの素晴らしい成果に向けてのご貢献を心より讃えたいと思います。 ご出席の皆様、 今後、私たちにとって重要なことは今回の会議で達成された成果を着実に実施していくことです。ストックホルムで第1回の世界会議が開催されて以降、国際社会はその成果を着実に実施に移してきましたが、まだまだ問題の根絶に向けての道のりは遠く、新たな課題も現れつつあります。私たちは今回の第2回世界会議の成果を着実にフォローアップし、実行して行かねばなりません。そして、おそらくは更に現れくる様々な新たな課題に全神経を集中させて毅然として取り組んで行かねばなりません。国連では、先の不幸な事件により延期された国連子ども特別総会が明年5月に開催される予定と承知しています。日本は第2回世界会議のホスト国として、その模様を特別総会に報告し、国連での本件問題の一層の取り組みを求めることになるでしょう。 私は、また、一人の国会議員として、このフォローアップの作業に強くコミットしていく責任を感じるものです。日本においても、国民の海外における行動も含め、児童買春や児童ポルノを規制し処罰する法律が施行されましたが、まだまだ児童買春や児童ポルノに関する嘆かわしい事例が後を絶ちません。児童買春と児童ポルノの根絶のためには、立法及び法執行を通じた取組みと、子どもから大人までの一人一人の意識の向上が不可欠です。今回の会議にも幾つかの国から本件問題に関心を有する立法府の議員の方々が参加されていますが、法の支配を通じて、児童の商業的性的搾取という憎むべき問題の根絶に向けて決意を新たにされていることと思います。 ご出席の皆様、 私が本件会議の開催を意義深いと思うのは、この問題に関する私自身の強い思いもあります。私の母、正は、60年代から80年代にかけて、日本ユニセフ協会の専務理事として、世界中を飛び回り、日本においてはユニセフの仕事の大切さを訴えて回りました。当時は、慈善事業に対する国内の理解が今ほど高くはなく、募金集めにも相当苦労したようです。こうした母の地道な努力が実って、88年に伊藤正義元外務大臣を代表として超党派の国会議員からなるユニセフ議員連盟が結成されました。その発会式の直後、母は病に倒れ、長い闘病生活の末、98年に永い眠りにつきました。その後、私も、母の遺志を継ぐべく、昨年、ユニセフ議員連盟の会長役を引き受けさせて頂きました。世界中からかくも多くの方々の参加を得て、児童の権利に関する歴史的な会議が日本で開催されている様子を目にしたら、母も万感の想いを抱いたことでしょう。 ご出席の皆様、 今回の会議の成果が、世界各国における児童の商業的性的搾取の根絶に向けた具体的な取組みに繋がることを、そして、子どもたち一人一人が一個の人格として権利と尊厳を尊重され、もって生まれた創造力を十分に発揮できる世界の実現に繋がることを祈りつつ、閉会の挨拶とさせて頂きます。 ご静聴ありがとうございました。 |
BACK |
| ||||||||||
![]() |