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軍縮・不拡散


化学兵器禁止条約(第1回運用検討会議の開催)


平成15年5月10日


 4月28日から5月9日まで、オランダのハーグにて、117の締約国代表が参加し、化学兵器禁止条約(CWC: Chemical Weapons Convention)の第1回運用検討会議が開催された。この会議は、1997年にCWCが発効した後に開かれた最初の運用検討会議である。CWCの概要と今回会議の成果は、次の通りである。

1.CWCの概要
(1) CWCは、化学兵器の開発、保有、使用などの全面的な禁止を実現するために作られた多国間条約であり、1997年に発効した。現在、締約国は151ヶ国に及んでいる。条約の実施を担う国際機関として、ハーグに「化学兵器禁止機関」(OPCW: Organization for the Prohibition of Chemical Weapons)が置かれている。
(2) OPCWの業務は、化学兵器保有国(自らを保有国であると申告した締約国は、ロシア、米国、インドなど)がCWCの規定に従い一定の期限内(原則2007年まで)に化学兵器を廃棄処分することを査察などを通じて検証する他、諸締約国が平和目的のために生産、保有、使用する特定の化学物質が化学兵器の開発などに転用されないことを申告や査察により確認することである。


2.第1回運用検討会議の成果
(1) 会議では、50ヶ国の代表がCWCに関する基本的立場を表明する演説を行い、検証手続の強化、現存する化学兵器の廃棄の促進、CWCの普遍化(未加盟国の加盟促進)、各締約国によるCWCの国内実施のための措置の強化、国内協力の促進などを訴えた。
(2) 我が国より会議に出席した天野外務省軍備管理科学審議官が、次のような演説を行った。
  • 未だ40ヶ国以上の国がCWCに加盟しておらず、アジア及びその他の地域の未加盟国の早急な加盟を求める。
  • 化学テロ防止のためにも、締約各国がCWCの国内実施体制を強化することが重要である。日本は、アジアその他の地域の諸国に対し、輸出管理や国内法整備のための協力に着手しており、今後もそのような努力を強化していきたい。
  • OPCWの機能を強化していく上で、この機関の活動の効率性、透明性、公平性を高めていくことが重要である。
  • 中国に遺棄された化学兵器の処理に向けての日中間の協力が進展している。この問題の速やかな解決に向け、日本は引き続き取り組んでいく。
  • 国内で発見される老朽化化学兵器の速やかな処理のために引き続きOPCWの協力を求めていく。
(3) 政治宣言等の採択  会議は、9日、政治宣言及びCWCの過去5年間の運用状況に関する評価をまとめた文書を採択して終了した。  政治宣言の主な内容は次の通り。
  • CWCは、化学兵器の全面廃棄と化学兵器の不拡散の基盤をなす枠組であり、各締約国は、その全面的、効率的、かつ諸締約国とOPCWの信頼を強化するような方式で、その実施を進めていく。
  • CWCの目的を達成する上で、普遍性の達成が極めて重要であり、締約国は、二国間や多国間の努力により、未加盟国の早急な加盟に向けた努力を行っていく。
  • CWCの完全且つ効果的な実施は、テロリストが化学兵器を取得することを防止する上でも重要な役割を有する。
  • 締約国は、チャレンジ査察を要請する権利がある一方、CWCの実施に関する問題は可能な限り協議により解決するよう努力する。
  • 申告及び査察からなる検証手続の効果的な運用と強化を引き続き進めていく。
  • 一部の国では化学兵器の廃棄作業に遅れが生じており、OPCWは、CWCに従い、廃棄期限延長に向けた措置を取った。また、保有国の廃棄に関し国際協力が行われていることを歓迎する。
  • 遺棄化学兵器問題の重要性及び同問題の処理に関する関係国間の協力の重要性を認識する。今後発見される可能性のある遺棄化学兵器についても、このような協力は重要である。また、老朽化化学兵器の廃棄においても、進展が見られる。
  • CWCの効率的な運用のために、締約国が国内実施を強化していくことが重要であり、締約国は引き続き努力していく。国内実施の強化に関する国際協力を更に強化する。
  • 締約国は、CWCの実施に関する全般的な国際協力を更に進め、また化学物質に関する自由な貿易を促進したいとの願望を確認する。


3.今回会議の評価
 CWC発効後5年を経て初めて開かれた第1回運用検討会議において、政治宣言を全会一致で採択し、化学兵器の全面廃棄と不拡散を、検証を伴いながら実現することに対するCWC締約国の決意を改めて表明できたことは、高く評価できよう。


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