平成14年6月13日
- 6月3日から6日、生物・化学兵器関連資機材に関する輸出管理レジームであるオーストラリア・グループ(AG)の総会がパリで開催された。2001年9月の対米連続テロ事件及びその後の炭疽菌テロ以降、生物・化学兵器(CBW)の拡散防止とCBWテロ対策の強化のための努力が種々の場で重要性を増してきており、AGはその一翼を担うツールとして脚光を浴びるに至っている。今次総会において、2001年以来様々な形で検討されてきたAG機能強化の取組が下記2.のような形で成果を挙げた。
- AGは従来、関心国による非公式な集まりであることが強調されてきたが、その役割の重要性に照らし、今次総会でAGとしての輸出管理ガイドラインが採択され、参加各国が守るべき規範が明文化された。その他、生物・化学剤、前駆物質、製造装置などについて、従来よりも厳しい管理を行っていくことが合意された。これらの合意を通じ、生物・化学兵器関連の輸出管理のための国際的な協調体制が大幅に強化された。
- このほか、今次総会を通じての新たな傾向として、特に生物兵器との関連で、モノの移動と右に伴う技術の移転を水際で規制するという伝統的な輸出管理に留まらない新たな取組の必要性(国内において外国人に対し安易に技術を移転しないための管理や、外国人留学生や研究者への査証発給の厳格化等)が強く認識されてきていることが注目される。
- 日本は、生物・化学兵器の拡散を防止するための取組を強く支持してきており、今次AG総会の成果を全体として積極的に評価。また、今次総会では、生物剤の輸出管理を強化する日本提案が採択され、実質的な貢献となった。
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次回総会は、2003年6月、ロンドンにて開催される予定。
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