平成9年版外交青書の刊行にあたって
21世紀を数年後に控え、より安全で繁栄した世界を実現するため、国際社会は日々
努力を続けております。冷戦の終結により、東西陣営間の大規模紛争の可能性は大幅
に減少しましたが、他方で、国際社会は、地域紛争、大量破壊兵器の拡散、テロ、難
民、地球環境など、数々の新たな諸問題に直面しており、21世紀への道程は決して平
坦なものではありません。
冷戦後の国際社会は、しばしば「不透明で流動的」と形容されますが、現在の国際
社会を規定する最も基本的な特徴の一つは相互依存関係の深まりであり、この観点か
ら、本年の青書の副題は、「相互依存の深まる世界における日本の外交」といたしま
した。相互依存関係が深まる世界の中で、日本が自らと世界の平和と繁栄の実現とい
う大きな目標のために如何なる考え方に立って如何なる外交努力を行っているかが読
者の皆様に伝われば幸いです。
外交青書は、昭和32年以来、毎年刊行されてきており、今年で通算第40号を数えま
す。内政と外交がますます一体化する中で、政府の外交活動をできるだけ分かり易く
客観的な形で国民の皆様にご説明することは外交当局の義務であると考えております
。外交青書が、国際情勢と日本外交に対する皆様の御理解を深めるための一助となる
ことを願っております。
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