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白書・提言

第4章 外交体制



1.外交実施体制

 (1)外交実施体制の強化の必要性
 (2)機構・定員、予算面での努力
2.領事体制

 (1)日本人の海外渡航と邦人保護
 (2)旅券法改正-旅券の有効期間が10年に-
 (3)日系社会の世代交代への対応
 (4)在日外国人問題
3.外交と世論




1. 外交実施体制

(1) 外交実施体制の強化の必要性

 冷戦終結後の国際情勢の中で、外交の重要性はあらゆる分野において急激に増大している。外務省の業務量は冷戦終結以前から日本の国際的地位の向上とともに急速に増大してきたが、近年はますます増加の一途をたどっている。例えば、外務省本省と在外公館を結ぶ主要な通信手段である電信の総数は、94年の時点で15年前(79年)に比較して約4倍、経済協力額は約5倍、条約その他の国際約束の締結数は約3倍、査証発給数は約3倍となっている。また、海外の在留邦人数、海外旅行者数の増加に伴う事務も増えており、この状況に適切に対処する必要がある。
 このような通常業務の増大に加え、日本が世界の平和と繁栄、安定のための新しい枠組みの構築に積極的に参画していくことが必要となっている今日、新しい時代にふさわしい、より能動的かつ創造力豊かな外交を展開し得るような外交実施体制の整備・強化を図ることが不可欠である。具体的には、
(A)主要先進国に比べてまだまだ不十分な外務省定員等の増強、
(B)種々の外交課題に適切に対応するための機構の拡充、
(C)在外公館の機能強化(在外公館施設等の強化、海外邦人安全対策・危機管理体制の強化)、
(D)一層の情報化の推進 を速やかに実現することが必要である。

(2) 機構・定員、予算面での努力

 このような認識の下に、外務省は、95年1年間に機構・定員、予算の面で外交実施体制の強化に向けて次のような努力を行った。
 機構については、国際貿易において重要性が高まっているサービス貿易分野の情報分析、政策の企画・立案の体制を強化・拡充するためサービス貿易室を新設した。また、在外公館については、96年1月に、欧州連合(EU)において重要な役割を担っているルクセンブルグに大使館(実館)を設置した。これにより95年度末における日本政府の在外公館(実館)の数は大使館 112、総領事館63、領事館1及び政府代表部6の合計182となる。
 人員の増加については、情報収集・分析機能の強化、邦人保護を含む危機管理体制の整備、国際貢献策の充実・強化、外国人問題への対応などを重点として取り組んできた。この結果、厳しい予算、定員事情ではあるが、95年度には外務本省40人、在外公館 120人の合計160人の増員となる。
 外務省としては、既に定員の増加に限らず人材の採用・育成等の分野で、外交強化懇談会の報告を受けて所要の改革を実施してきている。
 予算面においては、厳しい財政事情の中ではあるが、95年度予算において、(A)外交実施体制の強化(定員等の増強、機構の拡充、海外邦人安全対策・危機管理体制の強化を含む在外公館の機能強化、情報・通信機能の強化)、(B)国際貢献策の充実強化(二国間援助等の拡充、平和及び地球的規模の問題に関する協力、国際文化交流の強化、平和友好交流計画)という2本柱を中心に着実な予算拡充に努め、前年度比4.3%増(301億円増)の7,248億円を計上した。
 情報化の推進については、外務省として「省内・在外LAN」システムの構築や情報提供機能の強化等を内容とする「外務行政情報化推進計画」(95年度を初年度とする5か年計画)を策定し、外務行政の一層の情報化を総合的かつ計画的に推進し、外交機能の強化及び国民等への行政サービスの向上を図るため努力を行っている。

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2. 領事体制

(1) 日本人の海外渡航と邦人保護

 94年の海外渡航者数は、新航空運賃制度の導入、関西国際空港の開港などの影響で、毎月前年比10~25%程度の大幅な伸びを示し、前年比13.8%増の史上最高の1,358万人に上った(観光白書)。また、94年10月1日現在、海外に3か月以上滞在の長期滞在者は前年比1.1%減少の428,342人となったものの、永住者は前年比2.6%の増加で261,553人となり、海外在留邦人総数は前年比0.3%増の689,895人に達し、過去最高となった(海外在留邦人数調査統計 平成7年)。
 海外渡航者数の増大に伴い、邦人が海外において事件・事故に巻き込まれる事案も増大している。94年に引き続き凶悪事件の被害者及び麻薬不法所持等による拘禁者の増大が特徴であるが、ヒマラヤをトレッキング中雪崩に遭い16名の邦人が死亡した事故も起きた。一方、国際情勢が不安定な状況下で、邦人が世界各地の紛争・テロ等に巻き込まれる危険性も依然として高い。
 政府としては、海外で事件、事故あるいは緊急事態に遭った邦人にできる限りの支援を行ってきており、一層の邦人保護体制の強化を進めている。安全対策の面でも、国内において海外渡航者の安全意識を高めるため、外務省海外安全相談センターを通じた各国安全情報等の提供、国別海外安全情報FAXサービスの充実、海外安全面での官民協力の推進、海外安全週間等行っている。
 また、領事体制を強化するために、政府は領事専門家を育成し、領事事務関係のノウ・ハウの蓄積に努めている。

(2) 旅券法改正-旅券の有効期間が10年に-

 近年の海外渡航者数の急増を踏まえ、92年6月の第3次臨時行革審の答申において、国民の便宜のため一般旅券の有効期間を現行の5年から10年に延長することが盛り込まれた。これを受け、政府は規制緩和の一環として、(A)一般旅券の有効期間を10年とする(右新規発給手数料は1万5千円。尚、申請者が希望する場合及び申請者が20歳未満の場合は従来通り5年間有効の旅券を発給)、(B)親の旅券への子の併記の廃止と12歳未満の申請者の手数料の減額(半額)等を主な内容とする旅券法の改正を行うとともに、旅券冊子及び旅券作成機器の改良等を行った。右改正旅券法は95年3月8日に公布の上、同年11月1日から施行され、日本の旅券史上でも特筆すべき大規模な制度改正が行われた。

(3) 日系社会の世代交代への対応

 戦後間もなく活発に行われた中南米移住は、今やほとんど見られなくなったが、移住者及びその子孫である日系人により形成される中南米の日系社会は現在150万人に達すると推定されている。日系社会では世代交代が進んでおり、今日では日系二世・三世がその中心となりつつある。これらの日系人は、居住国の各界で活躍して各国の発展に貢献し、また日本とのかけ橋として貴重な役割を果たしており、こうした日系人の活動を支援するための体制作りの重要性が増大している。また、最近日本で就労する日系人が多数に上っており、これらの人々の福利向上等のための施策も重要な課題となっている。

(4) 在日外国人問題

 94年日本に入国した外国人の数は383万人であり、また、同年末の外国人登録者数(注)は135万人(法務省統計)と、ともに一頃の急増傾向は影を潜めたが、趨勢としては今後も増加していくものと考えられる。このように入国、或いは滞在する外国人が増えることは、外国の対日理解を深めるため、また日本の国際化のために歓迎すべきことである。
 一方、近年アジア諸国を始めとする多くの国から日本で不法就労しようとして来日する者も急増した。
 滞在期限を過ぎても不法に残留する外国人(大部分が不法就労者)は、95年5月現在、約28万7千人(法務省推定)と93年5月のピーク時と比べれば約1万2千人の減少となっているが、依然大きな数字である。これら不法就労者は、不法就労であるが故に劣悪な労働条件下で働かされたり、犯罪を引き起こす例も多く、これら外国人の出身国における日本に対するイメージを著しく損なうばかりでなく、健全な国際交流の妨げともなっている。そのため、関係当局は不法就労者等の取締まりとともに、不法就労を助長するブローカーや悪質雇用主の取締りに力を入れている。
 外務省は不法就労等をしようとする者の入国を防止するため査証の厳格な審査に努める一方、諸外国との人的交流促進の観点から、規制緩和の一環として査証手続きの簡素化及び迅速化を推進している。95年においては、アジア太平洋経済協力(APEC)地域からのビジネスマンに対する数次査証の発給基準の緩和を行うこととしたほか、数々の査証手続きを簡素化及び迅速化した。
 また、開発途上国における人材育成の観点から民間による研修及び研修で得た技能や資格を実際の業務の場で実践的に身に付けるための「技能実習」を支援している。
(注)
出入国管理及び難民認定法によって日本に3ヶ月以上滞在する外国人は外国人登録を義務づけられている。

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3. 外交と世論

 95年は、戦後50周年、国連創設50周年に当たるとともに、アジア太平洋経済協力(APEC)大阪会合が開催されたこと等から、国際問題に対する国民の関心が特に高まったと考えられる。外交の円滑な推進のためには国民の理解と支持が不可欠であり、政府は、世論に十分耳を傾けつつ、国際情勢及び日本の外交政策について国民の更なる理解を図り、その支持を得る努力を続けてきた。
 具体的には、94年度から開始した全国の大学における「外交講座」の件数を増加し、大学生との対話の機会を広げ、また、テレビ・ラジオ等を通じて直接国民に語りかける機会を増加させた。さらに、「平和友好交流計画」の枠組みで訪日した海外の有識者をパネリストに迎えて実施する新たなシンポジウム「国際みらいフォーラム」を、地方の主要都市において開催した。
 また、海外の日本についての認識には、一面的・固定的な面もあることは否定できない。日本が国際社会の中で、国力に応じた役割を果たしていくためには、海外において日本の姿についての正確かつバランスのとれた見方を醸成することは極めて重要であり、そのため外務省は対外的な広報にも積極的に取り組んでいる。
 具体的には、従来から行っている海外の有識者、報道関係者、教育関係者、学生・生徒等を対象とした、講演、人的交流、パンフレット等の資料提供に加え、近年世界的レベルで急速に普及しているインターネットを活用した「外務省ホームページ」による本格的な情報発信を95年4月より開始した。さらに、11月に大阪で開催されたAPECに際しては、「APECオフィシャル・ホームページ」を別に開設して、日本で行われた大規模な国際会議として初めてインターネット上で会議情報をリアルタイムで発信した。また、外交青書を含む過去3年間の外交に関する主要な情報を収録したCD-ROMを作成するなど、外務省は新しい情報通信時代に向けて積極的な広報を展開している。

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