目次 > 外交青書2010(HTML)目次 > 第2章 地域別に見た外交 第5節 ロシア、中央アジアとコーカサス【総論】

第5節 ロシア、中央アジアとコーカサス

【総論】

ロシアは、近年、アジア太平洋地域との関係強化を目指す方針をとっており、極東・東シベリア地域をこの地域に統合していくことによって、東シベリア以東の開発を活発化させる方針を示している。そのような中で、メドヴェージェフ政権は、日本との外交を優先課題と位置付ける姿勢を見せている。

2009年を通じ、日露間では、首脳レベルを含め、積極的な政治対話が行われた。特に、鳩山政権発足後は、両国首脳間で、アジア太平洋地域における新たな日露関係を切り拓く意思を確認し、同地域で日露がパートナーとして行動すべきことで認識が一致している。日露両国がこの地域で協力と連携を深めていくことは、両国の戦略的な利益に合致するのみならず、地域の安定と繁栄に貢献し得る。そのためにも、日露間の最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決して平和条約を締結するため、強い意思をもって精力的に交渉を行っている。

中央アジア・コーカサス諸国注1については、2009年、在グルジア日本大使館の開設、コーカサス3か国外相の訪日等を通じ、関係強化に弾みをつけた。また、トルクメニスタンの大統領を日本に迎えて首脳会談を行い、同国との政治対話・経済関係の深化に努めた。今後とも、日本は、エネルギー資源等の天然資源を豊富に有し、アジアと欧州、ロシアと中東を結ぶ十字路として地政学上も重要な中央アジア・コーカサス諸国と、二国間関係のみならず、「中央アジア+日本」対話の枠組みなども活用して、一層の関係強化を図る考えである。

(注1) 中央アジア諸国は、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの5か国、コーカサス諸国は、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアの3か国を指す。