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組織力 |
外務省の2008年度予算においては、[1]「我が国の平和・安全の確保とアジア・近隣諸国との協力強化」(自由、基本的人権、法の支配等、基本的価値を重視する外交の推進、アジア・近隣諸国との対話・協力の強化と諸懸案の解決、外交の地平の拡大)、[2]「グローバルな課題への責任ある取組」(G8北海道洞爺湖サミットにおけるリーダーシップの発揮、TICAD IVの成功、ODAの戦略的拡充と地球規模課題の解決に向けたリーダーシップ、グローバル化への対応と国際ルールの強化、エネルギー安全保障)、[3]「力強い外交のための基盤強化」(外交実施体制の強化、国民の安全・安心を確保する体制の強化、戦略的な「発信」体制の強化、情報収集・分析機能の抜本的強化)を重点外交政策の3本柱とする総額6,794億円(対前年度比1.3%増)を計上した。
また、2008年度の補正予算では、[1]アフガニスタン人道復興支援拠出金、[2]アフリカ緊急支援経費(食糧等)、[3]世界的な金融混乱に伴う悪影響を回避するためのASEAN緊急支援拠出金、[4]世界エイズ・結核・マラリア対策基金拠出金などについて総額2,241億円を計上し、緊急性が高く、義務的又は外交上の必要性が高い事項に対応した。
外務省の組織の中でも、在外公館は、海外において国を代表し、情報収集、邦人保護、関係促進などの分野で重要な役割を果たす外交力の源泉であり、外務省が組織としての基礎的な体力を強化するためには、その拡充を図ることが不可欠である。2008年度には4大使館(トンガ、ラトビア、グルジア、ブルキナファソ)及び1総領事館(青島)が開設され、2009年1月1日現在における日本の在外公館(実館)数は、大使館127、総領事館65、政府代表部7の合計199となった。このほか開設が予定されているモーリタニアに加え、2009年度には、5大使館が更に新設される予定であり、日本の大使館数は133となる見込みである。しかしながら、この大使館数は、ドイツの149、フランスの159、中国の166、米国の167と比べても依然として小さく、国力に見合う規模ではない。外務省としては、組織力の強化という観点から、引き続き在外公館の増強に取り組む考えである。
在外公館の増強を実のあるものにするためには、職員定員の増強も重要である。2008年度においては、国民の安全の確保と繁栄の促進、アジア外交強化と望ましい国際環境の確保、在外公館を中心とした外交力強化等を目指して合計99人の増員を行い、定員数は合計5,603人(外務本省2,175人、在外公館3,428人)となった。この人員数は、例えば、英国、ドイツの7,000人以上の体制と比しても十分とは言えないため、政府全体での厳しい予算・定員事情の中で、事務合理化等により既存定員の再配置に努めつつも、人員の増強を図っていく。2009年度においては、合計100人の定員の増員を行う予定である。
2008年度 重点外交政策のための主な予算措置